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レーヨンとは?素材の特徴・洗濯時の注意点も

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レーヨンとは?素材の特徴・洗濯時の注意点も

レーヨンとは人工的に作られた化学繊維の一種です。レーヨンは再生繊維に分類される素材であり、吸水性と放湿性に優れていることが特徴です。シルクに近い素材で通気性が高いため、さらっと着られる春夏用のシャツやスカートなどの衣料品に多く利用されています。 この記事では、再生繊維であるレーヨンの歴史や特徴を紹介します。また他の化学繊維の生地との違いや取り扱いの注意点、洗濯方法についても解説するため、ぜひ手芸やハンドメイドの作品作りの参考にしてください。 レーヨンとは? レーヨンとは、木材パルプから取れる天然素材を原料に、薬品加工処理をした「再生繊維」の1つです。レーヨンは石油から作られる「合成繊維」とは違い、原料が自然由来の天然繊維のため、環境に優しい素材となっています。 レーヨンは高級素材である「シルク(絹)」の代替となる安価素材として、開発されました。開発当初は素材の強度や耐火性に課題がありましたが、現在は加工技術の進歩により、大幅に改善されました。 レーヨンの大きな特徴は、シルク同様に通気性に優れている点です。また、静電気が起こりにくい素材でもあるため、洋服の裏地などに多く使用されています。レーヨンは繭からできる絹と違い、人工的に絹糸に寄せて製造された化学繊維であることから、人造絹糸を略した「人絹(じんけん)」とも呼ばれています。 レーヨンはどんなアイテムに使用されている? レーヨンを使用したアイテムは、身近なものだと「シャツ・ブラウス・ルームウェア、肌着」などが挙げられます。シルクのようなとろみのある肌触りと爽快な着心地を兼ね備えているため、暑い時期でも汗がべたつくことなく、さらりと着こなせる点が人気です。 また、滑らかで柔らかい質感や通気性・吸湿性の高さを生かし、シーツなどの寝具やカーテンなどのインテリア用品、ジャケットの裏地など幅広いアイテムに使用されています。さらに、染料をよく吸水する特性があり、発色がきれいなことから、ハンドメイドで柄ものの生地や鮮やかな色の生地を使用したい際もおすすめです。 再生繊維とは? レーヨンは、再生繊維の一種です。再生繊維とは、ペットボトルや木材・綿などの材料を薬品で一度溶解し、紡糸として再生したものです。 再生繊維は「植物系」「化学系」の2種類に分かれ、レーヨンは植物系再生繊維に属し、材料は木材パルプまたは綿セルロースを使用しています。化学系再生繊維は、ペットボトルの原材料であるPETを材料にして作られています。 植物系で作られた再生繊維は、土に埋めると微生物によって分解されるため、土に還る性質があります。また、燃やしても有毒ガスが出ないという特徴もあります。一方、ペットボトルから作られる化学系の再生繊維は、土に埋めても分解されませんが、ペットボトルのリサイクルにつながります。 再生繊維は、天然由来の原料を使っている点や土に分解される点、また資源を再利用している点などから、環境に優しい素材と言われています。 レーヨンの起源・歴史 レーヨンは歴史が古く、1884年にフランスのイレール・ド・シャルドネ氏が「硝酸セルロース」と呼ばれる人工絹を発明したことが起源です。硝酸セルロースは耐火性が低く、硝酸セルロースで作った衣服を着用したモデルが炎上死するなど、当時は危険性が高いものでした。 試行錯誤を繰り返し、1898年にビスコース溶液を元にした、レーヨンの製造方法が発見されます。その後、1905年のイギリスにてビスコース法によるレーヨンの工業生産が始まったことをきっかけに世界中に広まりました。 日本においてもレーヨンの国内製造を目指し、さまざまな会社が参入し、工場を立ち上げます。質を高める努力を続け、1930年代に日本国内のレーヨン工業は世界トップクラスの規模に成長しました。現在、レーヨンは世界中で生産され、幅広いアイテムに使用されています。 レーヨンの主な特徴 レーヨンの特徴は、以下の通りです。 レーヨンの主な特徴・性質 高級感のある滑らかな肌触り 静電気が起こりにくい 通気性・吸湿性に優れている 染色性が高い 価格が安い レーヨンは、シルクに似た光沢のある滑らかな肌触りが特徴で、繊細なフィラメント糸を使用しているため、軽さと柔らかさも兼ね備えています。また熱伝導率も高く、生地に触れたときに少しひんやりする性質があり、夏でも清涼感のある着心地を実現できます。 電気抵抗値が低いレーヨンは、静電気が起こりにくい素材です。衣服が肌にまとわりつく不快感を防ぎやすいことから、洋服の裏地にも多く使用されています。さらに、レーヨンは人工繊維のため、比較的安価でシルクと似た素材を楽しめるというメリットもあります。 洗濯時の注意点は? レーヨンは吸水力に優れている反面、水分や摩擦に弱い性質があります。縮みやすく、しわになりやすいため、家庭で洗濯するには難易度が高い素材の1つに挙げられます。基本的には自宅で洗濯せずに、ドライクリーニングに出すことをおすすめします。 ただし、レーヨン素材の中には、コットンやポリエステルが含まれた混紡素材や、水洗い可能な「ウォッシャブルレーヨン」もあるため、洗濯前には品質表記を確認してからお手入れしましょう。 「水洗い可能」と表示がされている場合でも、水や摩擦に強いわけではありません。できれば手洗いがおすすめですが、洗濯機を使う場合は以下の点に注意しましょう。 おしゃれ着用洗剤を使う 洗濯ネットに入れる 30℃以下の水を使用し、短時間で洗う 脱水は10秒程度 レーヨンは、干す際にも注意が必要です。日光に直接当ててしまうと色褪せする可能性があります。また、型崩れもしやすく、ハンガーを使うと生地が伸びてしまう場合もあるため、風通しのよい日陰で平干しするとよいでしょう。 レーヨンと他の生地・素材の比較 衣類の裏地に使用される素材は、レーヨンの他にポリエステル・キュプラなどが挙げられます。肌触りや風合いなどは似ていますが、それぞれ異なる特徴があります。 以下では、ポリエステル・キュプラの生地の特徴を紹介し、レーヨンとの違いについて解説します。 ポリエステル ポリエステルは、主に石油などの化合物を原料にして作られる合成繊維です。一般的にポリエステルと呼ばれるものは、ほとんどがペットボトルの原料として知られる「PET(ポリエチレンテレフタレート)」で作られています。PETを原料にしたアイテムは、衣類を中心にカーテンなどのインテリア用品、リネン、テント・傘などがあります。 ポリエステルは、熱や摩擦に強く、縮みや型崩れをしにくいことが特徴です。取り扱いが容易であり、大量生産できるため、ポリエステル素材のアイテムは手に入れやすい価格設定のものが多くあります。 レーヨンとの違いは吸湿性が低く、静電気が起こりやすい点です。衣類の裏地にポリエステルが使用されていると、冬場は静電気で服が肌にまとわりつくこともあります。着心地へのこだわりが高い方は、組成表示をよく確かめてから購入しましょう。 キュプラ キュプラとは、コットンリンターと呼ばれる天然素材を原料にした再生繊維を指します。コットンリンターとは、綿花から数センチほどの長い繊維を採取した後に残った、数ミリ程度の短い繊維のことで、「リンター」とも呼ばれています。 リンターはそのままの状態だと紡績することが難しいため、レーヨンと同様に一度原料を融解し、長い繊維に人工的に再生します。キュプラは「銅アンモニア法」という、リンターを酸化銅アンモニア溶液で溶かし、ポンプを通して凝固液の中に押し出し繊維に凝固形成させる製法で作られています。銅アンモニア法を使って生産されていることから、「銅」を意味する「キュプラ」と名づけられました。 キュプラはレーヨンよりも摩擦や紫外線に強く、吸水性・染色性も優れています。しわになりにくく手触りもよい素材です。光沢がある質の高い生地のため、和装やオーダーメードスーツなどの裏地にも使用されています。こまめにケアをすることで風合いが長持ちするため、ハンドメイドをする際は、素材の特徴を掴んでおくとよいでしょう。 まとめ レーヨンは、シルクの代替品として開発された再生繊維のことです。吸水性・吸湿性に優れているため、シャツやブラウス、衣類の裏地にも使用されています。レーヨンは熱伝導率が大きく、ひんやりとした質感が特徴で夏でも心地よく着られることが魅力です。 メリットの多いレーヨンですが、水や摩擦、直射日光に弱いという性質もあり、自宅での洗濯はあまりおすすめできません。しかし中には、自宅で洗濯できる素材もあるため、洗濯表示を必ず確認してからお手入れしましょう。 レーヨンの他にポリエステル、キュプラなどの生地の特徴も紹介しました。特徴や違いを知り用途に合わせて素材選びをすることで、ハンドメイドの生地選びに悩むことも少なくなるでしょう。ぜひ参考にしてください。

2022.07.26
ナイロン生地の特徴・性質|ポリエステルとの違いも解説

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ナイロン生地の特徴・性質|ポリエステルとの違いも解説

ナイロンは、衣料品をはじめさまざまな製品に使われている素材です。しかし、ナイロン生地とはどのようなものが、どのような製品に使われているのか、具体的には知らない人も多いのではないでしょうか。 この記事では、ナイロン生地の特徴や使用されているアイテム、ナイロンと似た生地であるポリエステルとの違いについて解説します。また、ナイロン生地を洗濯する際の注意点や干し方なども紹介するため、ナイロン生地を扱う人、これから扱いたいと考えている人はぜひ参考にしてください。 ナイロン生地・ナイロン素材とは? ナイロン生地とは、絹(シルク)に似た性質を持つ化学合成繊維でできた生地のことです。ナイロンは、「ポリアミド」と呼ばれる石油を原料とした合成樹脂から作られており、他の合成繊維と比べて摩擦や引っ張りに強く、丈夫で軽いという特徴があります。水に濡れても乾くのが早く、型崩れしないため、自宅で気軽に洗濯できる点が大きなメリットです。 ナイロンは、1930年代にアメリカのデュポン社のウォーレス・カロザースという科学者の指揮の下、世界で初めて開発された人工の繊維です。当時は石炭・水・空気から作られており、絹よりも丈夫で安く作れるナイロンは世界中で話題を集め、現在でもさまざまな製品に幅広く使われています。 また、女性用のストッキングとして商用化されたことが始まりのため、「伝線(run)しない繊維」を意図した「no run(ノーラン)」が名前の由来と言われています。 繊維の種類 ナイロンとは合成繊維の一種であり、合成繊維は科学的に作られた繊維のことです。繊維には他にもさまざまな種類があり、それぞれ異なるメリットやデメリットを持っています。 ここからは、繊維の種類や特徴について紹介します。 ■天然繊維 植物繊維 繊維名 メリット デメリット 綿 吸湿性や通気性がよく、熱に強い しわや縮みが発生しやすい 麻 吸湿性や通気性がよく、清涼感がある しわや毛羽立ちが発生しやすい 動物繊維 繊維名 メリット デメリット シルク(絹) 発色が鮮やかで、光沢がある 日光で劣化しやすく、汗や摩擦にも弱い ウール(羊毛) 吸湿性と保温性に優れている 縮みやすく、虫害を受けやすい ■化学繊維 再生繊維 繊維名 メリット デメリット レーヨン 光沢があり、吸湿性と染色性に優れている。安価で手に入りやすい しわが発生しやすく、水に濡れると強度が低下する ポリノジック レーヨンのデメリットを改善した繊維で、水への耐性がある しわになりやすい キュプラ 吸湿性がよく、静電気が起こりにくい 水に弱く、しわになりやすい 半合成繊維 繊維名 メリット デメリット アセテート しわになりにくく、光沢がある 吸湿性が低く、摩擦やアイロンの熱に弱い トリアセテート アセテートよりも光沢が優れている 吸湿性が低く、しわになりやすい […]

2022.07.26
シルク生地の特徴は?特徴・歴史・洗濯時の注意点

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シルク生地の特徴は?特徴・歴史・洗濯時の注意点

シルクは「繊維の女王」と評され、約5,000年前に中国で使用され始めてから今日に至るまで、常に世界中の人々を魅了してきた素材です。日本でも古くから親しまれ、幅広いアイテムに使われています。 「シルク=高級」というイメージが強いですが、実はシルクにも蚕の飼育方法や製糸方法の違いにより複数の種類があり、それぞれに特徴や魅力、価格が異なります。この記事ではシルク生地の特徴や種類、歴史を紹介します。シルク素材でできた衣服などを洗濯するときの注意点も解説しているため、シルクを取り扱う際の参考にしてください。 シルクとは? シルクとは、蚕蛾(カイコ)という蛾の幼虫が生み出すタンパク質の糸で、日本語では「絹」と呼ばれています。強さとしなやかさを兼ね備えたシルクの生地は、滑らかで高級感があり、昔から多くの人の憧れを集めてきました。 ここでは、シルクが具体的にどのようなアイテムに使われているか、どのような種類があるのかについて紹介します。 シルクはどんなアイテムに使用されている? シルクは日本で最も有名な素材の1つと言って良いほど、身の回りのさまざまなものに使用され、親しまれている存在です。シルクが使われるものとしては、以下のようなアイテムが挙げられます。 ワンピースやシャツなどの衣服 パジャマ、ルームウェア、ナイトキャップ 布団カバーや枕カバーなどの寝具 インナー類 スカーフやハンカチ マスク 肌触りが良く素肌に優しいため、衣類全般やマスクなど、肌に直接触れるアイテムを手作りする場合でも安心して使用できます。 また、吸湿性や放湿性にも優れていることから、枕カバーやシーツなどの寝具にも人気の生地です。さらにシルクに含まれる「セリシン」という成分は、抗酸化作用や皮膚の保湿性向上効果などがあり、シワやシミなどの皮膚の老化や肌の乾燥を防ぐ作用があると言われています。シルクの寝具で寝ると肌や髪が艶々になるという口コミもあるなど、美容に良い影響を与えることも期待できるでしょう。 シルクの種類 飼育方法の違い シルクは、繭を作る蚕の飼育方法の違いに着目することで、2種類に分類できます。 1つは「家蚕(かさん)」と呼ばれる養殖の蚕から得られるシルクを指し、もう1つは「野蚕(やさん)」と呼ばれる天然の蚕から得られるシルクのことです。家蚕と野蚕はそれぞれ「マルベリーシルク」と「ワイルドシルク」という別名を持ちます。 家蚕は、元々天然の蚕でしたが、良質なシルク糸の安定生産を目指して品種改良が進められました。今では、世界各地で蚕の養殖が行われているため、最も生産量が多いタイプのシルクです。 製糸方法の違い 繭からシルク糸を製造する方法も1つではありません。製糸方法の違いから見たシルクは、生糸撚糸、絹紡糸、絹紬糸、特絹糸の4種類に分類可能です。製糸方法が違えば糸が持つ特徴も異なるため、種類ごとに違った手触りや質感が楽しめます。 4種類のシルク糸の具体的な特徴は、以下の通りです。 ・生糸撚糸(きいとねんし):フィラメントシルク 生糸撚糸とは、繭から引き出される切れ目のない1,000m程度の1本の絹糸を、数本撚り合わせて作られる糸です。天然繊維の中では、他に1,000m単位の長繊維が存在しないため、生糸は「天然繊維の女王」とも呼ばれます。キラキラした光沢感が特徴で、着物やサテン生地、インナー類などに使用されます。 ・絹紡糸(けんぼうし):スパンシルク 蚕が吐き出す最初の糸や最後の糸などは、太さが不均一なため、生糸の製造には向きません。そういった生糸の生産工程で切り落とされた「副蚕糸」のを紡績して作られるのが絹紡糸です。生糸が長繊維に分類されるのに対し、絹紡糸は短繊維に分類されます。生糸に比べて光沢感が少なめですが、ふんわりしていて、保温効果に優れた点が特徴です。防寒グッズや肌に直接触れるインナー類などにおすすめの素材です。 ・絹紬糸(けんちゅうし):ノイルシルク 紬糸は、生糸や絹紡糸を製造する際に得られる「ブーレット」という副産物を再利用して作る絹糸で、ふわふわのシルク真綿を紡いで生産されます。空気を多く含んだ太めの糸には、「ネップ」と呼ばれるシルク特有の節があり、コットンライクで素朴な肌触りが特徴です。肌馴染みが良く耐久性が高いため、靴下や手袋などに使われます。生糸よりも安く手に入る点も魅力です。 ・特絹糸(とっけんし) 延ばした真綿のような糸になる一歩手前の状態の「ペニー」や真綿、切繭などを原料とした絹紡糸と絹紬糸の中間クラスの紡績絹糸で、肌触りや見た目の質感なども両者の中間程度の特徴を持ちます。幅広いアイテム作りに使用できる絹糸です。 シルクの主な特徴 手触りが良く、古くから人々に親しまれてきたシルク生地は、肌に触れるアイテムのハンドメイド素材にも適しています。多くの人気を集め、さまざまなアイテムに使用されるシルクには、どのような魅力があるのでしょうか。 シルク全体に共通する特徴としては、次の4つが挙げられます。 シルクの主な特徴 上品な光沢がある 肌に優しい 紫外線をカットする 静電気を防ぐ シルクの糸には、真珠のような上品な光沢があり、衣服などに高級感を演出してくれる点が特徴です。特に、生糸は絹紡糸や絹紬糸と比べて、より輝くような光沢感を持ちます。パジャマやインナー類といった普段着に加え、有名ブランドの洋服やウエディングドレスの生地にも使用されるシルクは、ワンランク上のアイテム作りにぴったりの素材です。 また、シルクの生地は通気性が良く、吸放湿性ともにコットンの約1.5倍と言われており、肌が蒸れやすい夏場に重宝する生地です。加えてシルク繊維は、人の肌に近い構造を持った「フィブロイン」や「セリシン」などのタンパク質からできており、刺激が少なく高い保湿性を備えています。乾燥が気になる冬場でも素肌を優しく包みこむなど、優れた機能性を持ち、季節を問わず快適に着用できます。敏感肌の方でも安心して使用できる点も大きな魅力です。 さらに、蚕は紫外線により成長が妨げられる性質があるため、蚕を守る繭には紫外線を吸収する性質があります。繭から得られるシルクの紫外線カット率は約90%に上ると言われています。また、化学繊維製品よりも乾燥しにくいシルク製品は、静電気が起きづらい点もメリットです。 見た目の美しさだけではなく、肌や身体に優しい特徴を持つことも、シルクがあらゆる場面で重宝される理由かもしれません。 洗濯時の注意点は? 素肌に優しく使い心地が良いなど、多くの魅力が詰まったシルクですが、とても繊細な素材であるため、洗濯方法には注意が必要です。お湯を張った洗面器で「手洗い」することを基本とし、以下の4つのポイントに気をつけましょう。 20℃程度のぬるま湯を使う おしゃれ着用中性洗剤を使う(必ず洗濯表示を確認) 摩擦が起きないよう、優しく押し洗いをする 脱水時は強く絞らず、大きなタオルなどで水を吸い取る なお、「洗濯可能」の表示がついている場合は、洗濯機が使用できます。洗濯機を使う場合に注意するポイントは、以下の4点です。 必ず目の細かいネットに入れて洗う おしゃれ着用中性洗剤を使う(必ず洗濯表示を確認) 表示の液温にて、ドライコースやおしゃれ着コースなど、水流が弱いコースで洗う 脱水は15〜30秒程度の短時間で済ませる シルクの歴史 […]

2022.07.26
シャンブレー生地の特徴は?デニム・ダンガリーとの違いも

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シャンブレー生地の特徴は?デニム・ダンガリーとの違いも

デニムと似た風合いの生地の1つに、シャンブレーという生地があります。一般的にはシャツなどに使われることが多い生地ですが、「どのような歴史があるのか」「デニムやダンガリーとどう違うのか」まで詳しく理解している方は多くないでしょう。また、シャンブレー生地の洗濯方法が分からず、取り扱いに困っている方もいるのではないでしょうか。 そこで今回は、シャンブレーの概要や特徴、洗濯時の注意点などを紹介します。シャンブレー生地で衣服を作るときのポイントも紹介するため、ハンドメイド活動に生かしたい方は、ぜひ参考にしてください。 シャンブレーとは? シャンブレーとは、素材の名前ではなく生地の織り方を指します。シャンブレーはタテ糸に色糸を、ヨコ糸に白糸を使って平織りした生地のことで、主にコットンを原料としています。 平織りはタテ糸とヨコ糸を1本ごとに交差する織り方であり、三原組織の1つです。三原組織はタテ糸とヨコ糸で作られる織物の基本であり、平織りの他、「綾織り」「朱子織り」が該当します。 以下では、シャンブレーが使用されるアイテムや、デニム・ダンガリーとの違い、シャンブレーの歴史について解説します。 シャンブレーはどんなアイテムに使用されている? シャンブレーは、衣料品や小物類など幅広いアイテムに使われる生地ですが、下記のようなアイテムに使用されることが多いです。 シャンブレーを使ったアイテムの例 ・シャツやブラウス 「シャンブレーシャツ」という名称があるほど、シャンブレーを使った代表的なファッションアイテムです。デニムよりも色味が薄いことから上品な雰囲気もあり、カジュアルファッションからきれいめな着こなしなど、さまざまなコーデで活躍できるため、1枚あれば重宝するでしょう。 ・ワンピース シャンブレー特有の洗練された色合いを生かしたワンピースは、女性らしい品もありつつ軽やかで涼しげな印象を与えるため、春夏コーデに人気のアイテムです。 ・夏用の帽子 爽やかな見た目と丈夫で通気性がよいという機能性を兼ね備えたシャンブレーは、夏の強い日差しを遮る際におすすめのアイテムです。洗濯しても色落ちしづらいため、汗をかいた際も丁寧に洗うことで、清潔に使い続けることができるでしょう。 他にも、ハンカチやネクタイ、マスクやポーチなどのアイテムに使われることもあります。 シャンブレーとデニム、ダンガリーの違い シャンブレーとデニムやダンガリーは、見た目が似ていることから違いが分かりにくいと考える方も珍しくありません。混同されやすいシャンブレー、デニム、ダンガリーはそれぞれ下記のような違いがあります。 ・シャンブレーとデニムの違い デニムは、タテ糸に色糸、ヨコ糸に染めていない白糸を使って綾織りした生地です。綾織りとは、タテ糸かヨコ糸を2〜3本ずつ飛ばしながら交差させて織る方法で、生地の表面に斜めの線が見える特徴があります。また糸の交差する点が少ないため、厚手の生地に仕上がります。 シャンブレーとデニムは白糸と色糸の使い方が同じですが、織り方が異なります。平織りで織られているシャンブレーは、デニムよりも白糸が表面に多く出てくるため、淡い色味になります。また、タテ糸とヨコ糸を1本ずつ交差させているため、隙間の多い薄手の生地になります。 ・シャンブレーとダンガリーの違い ダンガリーとは、タテ糸に白糸、ヨコ糸に色糸を使って平織りした生地です。元々は綾織で織られたものでしたが、現在は平織りが主流です。デニムより薄く、シャンブレーよりも厚く作られることが多く、粗めのざっくりとした風合いが特徴です。ダンガリー生地のシャツはあまり流通しておらず、シャンブレーより色味の濃い生地や薄手のデニム生地で作られたシャツをダンガリーシャツとして販売するケースもあります。 シャンブレーとダンガリーは織り方が同じですが、糸の使い方が逆という違いがあります。ダンガリーは下記の記事で詳しく紹介しているため、ぜひ参考にしてください。 シャンブレーの歴史 シャンブレーの発祥の地は、1595年のフランス北部のカンブレー(Cambray)町です。カンブレーで作られた麻織物は「カンブリック(Cambric)」という名前で親しまれ、後にカンブレーを英語で表記した「シャンブレー(Chambray)」と呼ばれるようになりました。 カンブレー町には司教座が置かれており、当初は聖職者の上質なワークウェアとして使用されていました。シャンブレー生地は軽くて通気性がよい生地のため、20世紀初めにはワークウェア以外にも下着やベッドカバーなど、さまざまな用途に使用されるようになりました。 1903年には、シャンブレーシャツとダンガリージャケット、トラウザーズが「海軍ワーキングウェア規定」でミリタリーウェアとして正式採用されるようになりました。ミリタリーウェアは年々変化していきましたが、ワークウェアとして優れていたシャンブレーシャツは変わらずに着用され続けます。 第二次世界大戦後に、大スターたちがアメリカ映画でシャンブレーシャツを着用するようになったことをきっかけに、シャンブレーが急速に普及しました。シャンブレーシャツとデニムパンツが労働者のワークウェアとして定着し、青い作業着を着た労働者という意味合いで「ブルーカラー」という言葉が使われるようになります。 1960年後半には、ワークウェアだけではなく普段着としても着用されるようになりました。当時はベトナム戦争が勃発しており、愛と平和を訴えるために、ピースマークや花などの平和をモチーフとした柄を施したリメイク品が流行しました。そして現在では、カジュアルかつ上品な印象を楽しめる生地として、多くのファッションアイテムに活用され、愛されています。 シャンブレーの主な特徴 シャンブレー生地は「組織点(糸の交差する点)」が多く、また色糸と白糸を使って織ることから、下記のような特徴があります。 ・シャンブレーの主な特徴 霜降り調の風合いがある 耐久性と通気性に優れている 軽くて扱いやすい 光沢感がある 色糸と白糸を使うため、光の当たり方や見る角度によって見え方が変わる玉虫のような光沢感があります。また、ほどよい色ムラは「シャンブレー効果」「霜降り効果」とも呼ばれ、カジュアル感と品の良さを同時に楽しめることが魅力的です。夏でも快適に着用でき、控えめで落ち着いた色合いのため、普段のコーディネートだけではなくビジネスシーンやセミフォーマルの場などでも幅広く活用できます。 加えて、2種類の糸が均等に出るため、色落ちが目立ちにくい点も特徴的です。また、薄地で軽い着心地でありながら、ワークウェアとして使われていた歴史があるほど耐久性が高く丈夫なため、経年変化を楽しみつつ長く愛用することが可能です。 さらにコットン100%だけではなく、リネン100%や、コットンとリネンの混紡糸で作られたシャンブレー生地もあります。また、色糸は定番のブルーだけではなくさまざまな色を使うことができるため、自分好みの生地を見つけることができるでしょう。 洗濯時の注意点は? シャンブレーは色落ちが目立ちにくい生地ではあるものの、洗い方や洗剤によっては色落ちしてしまうケースもあるため、洗濯をする際は注意が必要です。洗剤は、中性洗剤やおしゃれ着洗い用のものを使用しましょう。アルカリ性の洗剤はシャンブレー生地の色落ちを進めてしまうので、色落ちさせたくない人は使わない方が無難です。使う洗剤で色落ちをしてしまうか心配な場合は、使用予定の洗剤を使って、目立たない場所で色落ちテストをしてから洗うことがおすすめです。 色落ちテスト後は、洗濯表示を見て、水洗いや洗濯機の使用が可能かをチェックします。水洗いは可能でも洗濯機の使用が不可の素材の場合、汚れがひどくないときは洗剤を使わずに水だけで手洗いをするだけでも十分に汚れが落ちるでしょう。お湯で洗うと色落ちしやすくなりますが、適度に色落ちさせて風合いを楽しみたい場合は、お湯を使うのもOKです。 洗濯機で洗う際は、洗濯ネットに入れてドライモードや手洗いモードなどの優しいコースに設定しましょう。また、部分的な色落ちを防ぐためにも、洗剤が直接シャンブレー生地にかからないように注意してください。洗い終わったら、シワを伸ばして形を整え、日光が直接当たらない場所で陰干しをします。 シャンブレー生地で衣服を作る際のポイント シャンブレー生地で衣服を作る際は、11番手のミシン針を使いましょう。薄手の素材の場合は60番手のようなやや太い糸、厚手の素材の場合は90番手のような細い糸で縫うのがおすすめです。また、水通しをしてから作ることで、洗濯での縮みを防止することができます。 シャンブレー生地はミシンで縫いやすく、アイロンで織り目をしっかりつけることができるため、ハンドメイドや手芸が初めての方でも扱いやすい生地です。衣料品や帽子を作ったり、余った生地でポーチやマスクを作ったりするなど、多種多様なアイテムが作れるため、シャンブレー生地で楽しくハンドメイド作品作りをしましょう。 まとめ シャンブレーは、耐久性と通気性に優れており、カジュアルかつ涼しげな風合いを楽しむことができます。定番のシャツやブラウスの他、ワンピースや帽子、ネクタイやポーチなど幅広いアイテムに使用できます。 洗濯機で洗う際は、必ず洗濯ネットに入れ、手洗いモードなどの優しいコースに設定して洗いましょう。洗濯後は形を整えてから陰干ししましょう。 シャンブレーはハンドメイド初心者にも扱いやすい生地です。シャンブレーの特徴を生かしたさまざまなアイテム作りに挑戦し、ハンドメイド活動をよりよいものにしましょう。

2022.07.26
ジョーゼット生地の特徴は?シフォンやデシンとの違いも

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ジョーゼット生地の特徴は?シフォンやデシンとの違いも

春夏用のブラウスやスカートの素材に使われるジョーゼットは、表面にシワ加工が施された、特徴のある薄手の生地です。ジョーゼット生地を使ったアイテムを作ってみたいと思いながらも、「薄手の素材は扱いが難しそう」などといった理由でなかなか手が出せない方もいるのではないでしょうか。 当記事では、ジョーゼット生地の特徴や取り扱う上でのポイントを紹介します。ジョーゼットとよく似た生地との違いも解説するため、ハンドメイド作品を作る際の参考にしてください。 ジョーゼットとは? ジョーゼットとは、強撚糸(撚り数が多い撚糸)で織られた生地に高熱を加えて縮ませることで、シボ(シワ模様)を出した生地のことを指します。密度の粗い織物のため、薄手で透け感のある涼しげな風合いが特徴です。ジョーゼットは、20世紀初頭フランスにて誕生しました。「ジョーゼット・クレープ」が正式名称であり、ドレスメーカーの名が由来とされています。 価格によって生地の質が異なる点もジョーゼットの特徴です。一般的に柔らかく肌触りがよいシボ数が多いものが高価な生地に分類され、安価なものはシボが少なくザラザラとした手触りの生地が多いとされています。しかし中には、梨地織りを使用することで、あえてザラザラ感を出した「梨地ジョーゼット」と呼ばれる種類もあります。 ジョーゼットはどんなアイテムに使用されている? ジョーゼットは、表面のシボと涼しげな肌触りが魅力であり、高級感や上品な雰囲気を出すことができます。以下のアイテムによく使用されています。 ・パーティードレスやワンピース ジョーゼットはエレガントな印象を与えるため、優美なシチュエーションによく合います。ジョーゼット生地のパーティー用ドレスやワンピースは、結婚式や入学式はもちろん、フォーマルな場面にもぴったりです。 ・ブラウスやスカート 表面のシボにより熱がこもりにくく、夏の汗ばむ時期に重宝されます。さらにドレープ性にも優れており、体型が気になる人でもおしゃれに着こなしながら体型カバーができるところも魅力的です。 ・イベント衣装(コスプレ衣装) コンクールやイベントなどの衣装生地にも多く使用されます。ジョーゼットは粗めに織られていることから上品な透け感があり、華やかな舞台にもおすすめです。また、伸縮性や弾力性もあるためシワになりにくく、カバンなどに入れて持ち運びをするコスプレ衣装にも使いやすいでしょう。 ジョーゼットの主な特徴 ジョーゼットは、絹(シルク)素材を平織りして作った「ちりめん」織物の一種です。元々は絹素材の生地を指していましたが、現在ではコットン素材や混紡素材、合成繊維なども使用されており、さまざまな種類があります。以下はジョーゼットの主な特徴です。 ジョーゼットの主な特徴 上品なシボ加工と透け感 弾力性があり、シワになりにくい さらりとした肌触り 生地が薄く、通気性がよい ジョーゼット生地の大きな特徴は、表面に「シボ」があることです。適度な隙間を残して織っているため、美しい透け感があります。他にはないシボ感と透け感の独特な風合いで、高級感のある上品な印象を与えることができる生地です。 また、収縮加工しているストレッチ生地のため伸縮性もあり、シワや型崩れが起きにくいです。普段使いの洋服であれば、基本的にアイロンをする必要もなく、いつでもキレイに着こなせることも魅力の1つです。ジョーゼット生地は薄地で軽く、通気性にも優れているため、夏の暑い時期でも涼しくさらりと着こなせるでしょう。 ジョーゼットとシフォンの違い ジョーゼットと似た素材として「シフォン素材」がよく挙げられます。シフォンはタテ糸とヨコ糸を交差させながら織った平織りの生地です。ジョーゼット同様、強撚糸を使用しているため、シワになりにくい特徴があります。またシフォンも、元々は絹素材で作られていましたが、現在ではレーヨンやナイロンなどの化学繊維で作られるシフォン生地も登場しています。 上記の特徴からもジョーゼットとシフォンは似た素材であることが分かりますが、ただしシフォンにはシボがありません。また、撚り数が少ない細い糸を使用しているため、ジョーゼットより薄地で透け感が強いことが大きな違いです。 シフォンは、ふんわりとした華やかでフェミニンな印象を与えることができるため、女性物のブラウスやスカートに多く使用されています。 ジョーゼットとデシンの違い 「デシン」はタテ糸に無撚糸もしくは弱い撚糸、ヨコ糸に強撚糸を使用して高密度に織った生地のことです。 デシンは、ジョーゼットのように生地を縮ませる加工は行っていません。また異なる糸を使用することで糸のハリ具合に違いが生まれ、強撚糸が元に戻ろうとする力で細かいシボを作り出しています。ジョーゼットよりも柔らかく触り心地がよい風合いを持ちます。 ジョーゼットとデシンを同じ糸を使用して織った場合、デシンのほうがより透け感のある生地に仕上がります。淡い色でなければ肌が見えるほど透けることもないため、ブラウスやドレス衣装の素材にもおすすめです。 ジョーゼットとオーガンジーの違い 「オーガンジー」とは、タテ・ヨコの糸を1本ずつ織り込んだ平織物に、特殊加工を施し独特なシャリ感をまとった生地のことです。つやつやした光沢感があり、ウェディングドレスや舞台衣装など、華やかなアイテムに多く使用される生地です。 ジョーゼットとオーガンジーは、ともに仕上げ加工を行っている点は同じですが、加工方法が異なるため、生地の風合いが変わります。ジョーゼットは、布を縮ませる加工によりシボを出した生地のことで、柔らかく繊細な生地に仕上がります。一方で、オーガンジーは薬品を使って加工しており、パリッとしたハリ感のある生地に仕上がることが特徴です。実際に手で触れてみるとその違いが明確に分かるでしょう。 ジョーゼットを取り扱う際のポイントは? デリケートなジョーゼット生地は、取り扱いに注意が必要です。尖ったものに引っ掛けてしまうとストッキングのように簡単に伝線してしまうこともあります。洗濯する際は、洗濯ネットに入れる、おしゃれ着コースで洗うなどの工夫をしましょう。 また熱に弱いため、アイロンがけを自宅で行うのは難易度が高いでしょう。ジョーゼットはシワになりにくいものの、ドレスなど長期間クローゼットで保管するアイテムはシワがつく場合もあります。シワのお手入れは自宅よりもクリーニング店に持ち込むほうがおすすめです。クリーニングに出す時間がない場合は、スチームアイロンであれば、多少のシワは伸ばせます。ただし、スチームをあてすぎてしまうと、茶色く変色する可能性もあるため気をつけましょう。 ハンドメイドで使用されることも多いジョーゼットですが、薄手で扱いが難しい生地のため、キレイに裁断・裁縫するためにはコツがいります。普通に裁断してしまうと布がズレやすく、真っすぐに裁断しにくいため、薄い紙に生地を貼り付ける、スプレー糊を活用するなどの工夫で歪まずキレイに裁断できるでしょう。 またジョーゼット生地は滑りやすいため、ミシンでうまく縫えない際は、生地の下に紙を敷くと厚みが増して扱いやすくなります。ほつれやすい生地のため、仕上げに端処理を行っておくと安心でしょう。 まとめ ジョーゼットは、生地に高熱を加えて練り、縮ませる仕上げ加工を施すことで、上品なシワ模様を出した生地のことを指します。ジョーゼット生地は、ブラウスやスカートなどの普段使いの衣服だけではなく、パーティードレスやワンピース、コスプレ衣装など幅広いアイテムに使用されています。 ジョーゼットは薄手で繊細な生地のため、ハンドメイドで扱うには少し注意が必要です。ハンドメイド初心者の方でも、生地の下に紙をひいたりスプレー糊を活用したりすることで、キレイに仕上げることができるでしょう。ぜひ試してみてください。

2022.07.26
サテン生地の特徴は?シルクとの違い・織り方の特徴も

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サテン生地の特徴は?シルクとの違い・織り方の特徴も

数多くある生地の1つに「サテン」と呼ばれるものがあります。サテンは朱子織りの織物を指し、滑らかな手触りと上品な光沢感があり、フォーマルな場の衣服やジャケットの裏地などに使われています。また高級感があるため、上質感を味わえるパジャマとしても人気を高めています。 当記事では、「サテンの特徴を詳しく知りたい」「どのようなアイテムに使用すればいいのか知りたい」と考える人向けに、サテン生地の概要や特徴を紹介します。また、サテン生地の洗濯方法や織物の三原組織についても解説するため、ハンドメイドが趣味の人は、ぜひ参考にしてください。 サテンとは? サテンと聞くと生地や原料の名前をイメージする人も少なくないですが、サテンは素材の名前ではなく、織り方の種類を指す名称です。朱子織りの織物を総称してサテンと呼びます。 朱子織りとは、英語で「Satin weave(サテン・ウィーヴ)」と呼ばれる織物の三原組織の1つです。タテ糸とヨコ糸が交差する組織点が目立たないよう、タテ糸かヨコ糸のどちらか一方を浮かせる織り方を言います。また、タテ糸とヨコ糸がそれぞれ5本以上で構成されている点も特徴的です。 サテンは、古くはシルク(絹)で織られていた織物で、名前の由来は、織り方が最初に生まれた中国の泉州港をアラビア語で読んだ「ゼティン」にあると言われています。サテンが生まれた2,000年以上前の時代では、広域で絹が栽培されていたため、さまざまな人が使用していました。しかし、14世紀ごろから絹は高級品になり、サテンは上流階級のみが使用できる生地になりました。現在ではシルク以外にも、コットンやナイロン、ポリエステルなど幅広い素材で作られており、手頃な価格で使用できる生地として流通しています。 サテンはどんなアイテムに使用されている? サテンは、衣服や手芸などにおいて、下記のようなアイテムに使用されることが定番です。 ■サテンを使ったアイテムの例 ドレスや和装の帯 美しい光沢感がありドレープ性も出しやすいことから、イブニングドレスやウエディングドレスなどに最適な生地です。また、パーティー用のネクタイや着物の帯など、フォーマルなアイテムに使われることが多い傾向です。 衣服の裏地や傘の生地 他の織物よりもタテ糸もしくはヨコ糸の浮きが多いことから、非常に滑らかな風合いのため、コートやジャケットの裏地、傘用の生地などに活用されています。 パジャマ ツルツルとした肌触りで柔軟性が高く、見た目に高級感もあるサテンは、上質なリラックスタイムを過ごせると女性人気の高いアイテムです。サテンパジャマを選ぶ際はコットン製を選ぶことがおすすめです。コットンは吸水性・吸湿性に優れているため、蒸し暑い夜でも快適に眠ることができるでしょう。 コスプレ衣装 手頃な価格で手に入り、カラー展開も豊富なため、近年ではコスプレ衣装にも用いられることも多いです。サテン生地は、価格によって光沢の強さが異なります。撮影などで映える衣装を作りたい場合や上品な雰囲気の衣装を作りたい場合など、目的に合わせて使い分けるようにしましょう。 サテンとシルクの違い サテンとシルクは混同されることも多いですが、サテンは織り方の種類を指し、シルクは素材の名前を指します。シルクは蚕の繭から作られる動物繊維で「人間の肌に近い繊維」とも言われており、肌への刺激が少ない、静電気が起こりにくいなどの特徴を持つ機能性の高い素材です。 また、サテンは素材によっては大量に生産できるため安価で手に入ります。一方で、シルクは、作るための繭や蚕のエサとなる桑の葉が大量に必要となるため、手間やコストがかかり、価格が高くなる傾向です。 シルクについては、下記の記事でより詳しく紹介しているため、興味のある方はぜひ参考にしてください。 サテンの主な特徴 サテンは多くの魅力がある一方で、デリケートな生地のため、特徴を理解し丁寧に扱う必要があります。サテンの特徴は下記の通りです。 サテンの主な特徴 触り心地がツルツルして滑らかである 光沢があって高級感がある 保温性や吸湿性が低い シワや傷が目立つ ツルツルとした滑らかな風合いは、サテンの最大の特徴と言ってもよいでしょう。平織りの生地と比べてタテ糸とヨコ糸が交差してできる凸凹が少ないため、生地の表面に光沢が生まれ、上質な肌触りになります。 一方でサテンは織り方の構造上、シワや傷がついてしまうと目立ちやすいといった耐久性の低さや、吸水性・吸湿性が低いという特徴も持ち合わせています。サテンは現在、さまざまな素材のものが流通しています。保温性や吸水性・吸湿性が求められるアイテムは、コットン素材のものを使用するなど、使用用途に応じて素材を選びましょう。 洗濯時の注意点は? サテンは繊細な生地のため、洗濯をする際には注意が必要です。まずは洗濯表示をチェックして、水洗いが可能かを確認しましょう。サテンの素材は多岐にわたり、水洗いができるものも豊富にあります。水洗いが可能なら手洗いで洗うことをおすすめしますが、洗濯ネットを使うことで洗濯機でも洗うことが可能な素材もあります。 手洗いをする方法と洗濯機を使う方法のポイントを、それぞれ下記にまとめました。 手洗いをする方法 サテンの素材によっては色落ちする可能性があるため、まずは色落ちする素材かどうかを確かめます。濡らした布やタオルに洗濯用洗剤を含ませて目立たない場所を軽く拭いてみます。ここで色落ちしてしまった場合は、クリーニングに出すほうがよいでしょう。 手洗いをする際は、洗面器に冷たい水と洗剤を入れ、およそ15分つけ置きをしましょう。つけ置き後は全体的な汚れを落とすために、優しくゆすって洗います。部分的なシミや汚れは、軽く揉み洗いをすると落ちる可能性が高まるでしょう。 洗剤が残らないようよくすすいだ後は、洗濯ネットに入れて洗濯機でおよそ10秒脱水します。もし生地へのダメージが心配な場合は、脱水しなくても大丈夫です。 洗濯機を使う方法 サテンは摩擦に弱いため、必ずネットに入れ、手洗いやドライコースを選んで洗濯機にかけます。洋服を裏返したまま洗うことで、負担を軽減することも可能です。 また、単独で洗うことで色移りや摩擦によるダメージを避けられるでしょう。 洗濯をした後は、シワを伸ばして陰干しをします。直射日光に当たると変質や変色をする恐れがあるため、日陰に干しましょう。干すときは、洗濯ばさみで挟むと跡が残る可能性があるため、ハンガーにかけて干したほうがよいでしょう。 乾燥後にシワが残ったら、当て布をしてからアイロンを低温でかけます。サテンは熱によりダメージを受ける場合も多いため、目立たない場所から低温に設定したアイロンをかけ、温度に問題ないか確認することがコツです。 織物の三原組織とは?朱子織り以外の織り方を紹介 サテンの朱子織りと「平織り」「綾織り」の3つを合わせて、織物の三原組織と言います。織物の三原組織について特徴や性質を知り、ハンドメイド活動や衣服選びに生かせる知識を身につけましょう。 以下では、平織りと綾織りの概要や代表的な生地について、それぞれ解説します。 平織り 平織りとは、タテ糸とヨコ糸が交互に交差する織り方のことです。模様が左右対称で、見た目の美しい生地ができあがります。組織点が多いため、耐久性や通気性に優れており、摩擦に強いといった特徴があります。蒸れやすい夏場の衣服にも多く使われ、応用が利きやすい生地です。一方で、伸縮性がなかったり、厚地の生地が作りにくかったりするといった特性もあります。 代表的な平織り生地の種類は、下記の通りです。 ■平織りの代表例 オックスフォード:タテ糸とヨコ糸を2本ずつ合わせて織った生地 シャンブレー:タテ糸に色糸、ヨコ糸に白糸を使用して織った生地 ブロード:タテ糸とヨコ糸を3:2ほどの割合で織った生地 ローン:細い糸で織った生地 ボイル:強撚糸で織った生地 […]

2022.07.26
アクリル生地の特徴・性質|ウールとの違いも解説

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アクリル生地の特徴・性質|ウールとの違いも解説

アクリル生地は、ニット製品やセーターなどによく使われている化学繊維の1つです。肌着や靴下などの衣料品から、カーペットまたは毛布などの日用品まで幅広く使われており、日々の生活に欠かせない存在となっています。しかし、アクリル生地の特徴や、同じようにセーターに使われているウール生地とどのような違いがあるのか、よく分からない面も多いです。 そこで今回は、アクリル生地の特徴や性質、ウールとの違いについて解説します。手芸・ハンドメイドに興味のある方や作家の方は、ぜひ当記事で正しいアクリル生地の知識を身に付けてください。 アクリル生地・アクリル素材とは? アクリル生地とは、石油を原材料とする繊維です。生地製法は石油から取れる「アクリロニトリル」を溶剤に溶かし、液状にしたものを小さな穴から押し出して糸状にすると、アクリル生地が完成します。アクリロニトリルは、ポリアクリロニトリルを主成分としてアクリル酸メチル、メタクリル酸メチルと共重合させています。アクリロニトリルは19世紀末に発見され、その後アクリルが繊維化されました。 アクリル繊維とは別に「アクリル系繊維」と呼ばれる繊維が存在します。名前は似ているものの、同じものではありません。アクリル繊維とアクリル系繊維では、アクリロニトリルの割合が異なります。アクリル系繊維の中にはポリアクリロニトリル以外の繊維も含まれています。 アクリル繊維 ポリアクリロニトリル:85%以上 アクリル系繊維 ポリアクリロニトリル:35~84% その他:塩化ビニルまたは塩化ビニリデン アクリル系繊維は2022年より「モダクリル」へと表示が変更されています。また、プラスチック製のアクリル樹脂も素材が異なるため、アクリル繊維ではありません。 化学繊維と合成繊維の関係性は? 合成繊維は化学繊維の1つです。化学繊維は合成繊維と再生繊維の2種類に分かれ、ポリエステル・ナイロンなどの石油を原料とする合成繊維と、レーヨン・テンセルなどの天然の木材から作られた再生繊維が存在します。その2つをまとめて化学繊維と呼びます。化学繊維は加工しやすく大量に生産が可能なため、比較的リーズナブルな価格で購入可能です。 合成繊維であるポリエステル・ナイロン・アクリルは、石油や炭酸ガスの原料からほぼ同じ工程で作られており、三大合成繊維と呼ばれています。衣服のおよそ半分以上は合成繊維からできているため、意識せずとも合成繊維を使った商品を身に着けていることも少なくありません。しかし、化学繊維は吸水性が優れず静電気を発生しやすい上に、化学薬品を利用しているため、肌荒れやアレルギーを起こす恐れがあるというデメリットもあります。 繊維には、化学繊維の他に天然繊維が存在します。天然繊維は綿、麻の植物繊維と羊毛やカシミヤなどの動物繊維の2種類に分かれ、原料はすべて自然界にあるため、敏感肌に優しく着る相手を選びません。 繊維によってさまざまな性能が存在します。化学繊維や天然繊維の生地の特徴について理解を深め、それぞれにあった使い方を選びましょう。 アクリル生地はどんなアイテムに使用されている? 汎用性に優れているアクリル生地は、アクリルニットやセーターの他にも幅広く使われています。洗剤を使わずに食器が洗えるアクリルたわしや、丈夫で水をあまり吸わない特性を生かしたクロスなどの水回りの掃除アイテムにもおすすめです。 また、フェルトもアクリル繊維からできています。コットンのようなふわふわとしたフェルトは、ぬいぐるみなど手芸小物の制作にも適していて、お部屋のインテリアとしても使えます。洋服を仕立てる場合には、保温性に優れているためワンピースやポンチョ、ブランケットなど秋から冬にかけてのアイテムに最適です。他にはニット帽や手袋、マフラーなどの冬の小物を作る際にも使いやすく、さまざまな用途で活躍します。 アクリル生地の主な特徴・性質 アクリル生地には「アクリル短繊維」と「アクリル長繊維」の2種類があります。衣服用にはウールと特徴が似ている短繊維がよく使われているため、今回はアクリル生地の短繊維の主な特徴をご紹介します。 アクリル生地の主な特徴・性質 保温性に優れている 水を吸いにくいため乾きが早い 日光に強く耐候性がある 虫食いの心配がなく保管がしやすい ウールに比べ価格が安い 毛玉がつきやすい アクリル生地は繊維に弾力性があり、シワになりにくく扱いやすい素材です。また、ボリュームのある素材でふわふわした肌触りをしており、小さな子どもにも安心して使えます。さらに染色性が高く、カラーバリエーションが豊富かつ発色がきれいなため、デザイン性に優れているのが特徴です。退色性もあり、日焼けや色落ちの心配もありません。 また、アクリル製品は工場で大量に生産が可能です。ウールに比べて手に取りやすい価格なため、さまざまなファッションを楽しむにはうってつけの素材といえます。 アクリルとウールの違い アクリルとウールは、見た目や特徴で似ている点が多いものの、使用感や洗濯・保存方法は異なり、同じように扱うと生地が傷む恐れがあります。アクリルとウールの違いについてきちんと理解し、正しい方法で扱いましょう。 ウールの特徴としては、保温性に優れている、水分をはじく性質により汚れにくい、水分を多く含むと縮むことが挙げられます。ウールの特徴を踏まえた上で、アクリルの生地との違いを解説します。 ウールとアクリルの違いは素材にあります。ウールは主に羊の毛で作られている天然素材であるのに対し、アクリルは人工的に作られた合成繊維です。アクリルはウールに比べ価格が抑えられているため、手に取りやすいメリットがあります。 ウールは吸湿性、放湿性ともに優れており、さわやかな着心地が続く反面、水分を含むと縮みやすく湿気でカビが生えやすいです。一方、アクリルはカビや虫食いに強いものの、吸水性が悪く蒸れやすい面があります。着心地の面で考えるとウールのほうが優れていますが、カビや虫食いには十分に気を付けましょう。 アクリル生地を洗濯する際の注意点は? アクリル生地を洗う前に、衣服についている洗濯表示を確認しましょう。アクリルには主に3つの洗濯表示が使われており、表示を見ることで洗濯方法を確認できます。 アクリル生地によく使われている洗濯表示は、下記の通りです。 水洗いできない 洗濯機で洗える 手洗いできる 水洗い不可のマークは自宅で洗えないため、クリーニングに出しましょう。洗濯機で洗える場合は洗濯物を裏返し、汚れている部分が外側にくるように折り畳みネットに入れます。洗濯機に中性洗剤を入れ「ドライコース」や「手洗いコース」を選んで洗濯をしてください。 手洗いの場合は洗面器もしくは洗面所のシンクに水を張り、適量の中性洗剤を入れます。アクリル衣類を洗浄液に浸し、つけおき洗いもしくは手で優しく押して、汚れを浮かせます。洗剤をすすぐ際は洗面器の水を3回ほど替え、泡が出なくなるまですすぎましょう。すすぎを終えたら衣類を洗濯ネットに入れ、洗濯機で10秒程脱水にかけます。仕上げに柔軟剤を溶いた水に軽く浸し、再び10秒脱水を行い終了です。 洗ったアクリル製品を乾かす際に乾燥機を使うと、熱で傷む恐れがあります。風通しの良い場所で平干しするか、ハンガーを複数使い、なるべく広い範囲に風が当たるように干してください。 まとめ アクリル生地は合成繊維であるものの、天然素材のウールのような柔らかさと、水への耐久性を兼ね備えています。そのため、ニット素材からお掃除用品にまで使われており、まさにいいとこどりな生地です。それでいてウールよりも低価格で手に取りやすく、保存方法も扱いやすいためハンドメイドにも適しています。 アクリル生地ならではの特徴を理解し、ウールとの違いをきちんと理解した上で洋服を仕立て、今後のハンドメイド活動をより素敵なものにしましょう。

2022.07.26
ウールの特徴・性質|洗濯時の注意点・その他の動物繊維も

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ウールの特徴・性質|洗濯時の注意点・その他の動物繊維も

ウールは、多くの衣服やハンドメイド作品に使用される代表的な天然繊維として有名な素材です。しかし、ウールの名前は知っていても、種類や素材の特性を理解している人は少ないでしょう。素材の詳細を把握しておくと、ハンドメイドの幅が広がります。また、服選びの際にも役立ちます。 そこで今回は、ウールの特徴・性質を分かりやすく解説します。洗濯時の注意点や、その他の動物繊維との違いについてもご紹介しますので、ぜひハンドメイド活動などでの素材選びの参考にしてください。 ウールとは? ウールとは、羊毛を原料として作られる動物繊維のことです。羊毛として使われる羊の種類は約3,000で、種類によって毛質が異なります。 羊毛の中でもメリノウールは、耐久性が高いため服の素材に適しています。メリノウールは、主にオーストラリアやニュージーランド、フランスで飼育されているメリノ種の羊毛のことです。特にオーストラリアはメリノウールの生産が他国より多く、高品質なメリノウールを世界中に輸出しています。 ウールはどんなアイテムに使用されている? ウールは保温性の高さから、秋冬の洋服やアイテムに多く使用されます。代表的なアイテムは下記の通りです。 ・セーター ウールセーターは、ウール素材が使用されるアイテムとして馴染み深いものの1つです。ウールは保温性が高い上に蒸れないため、セーターの素材に最適といえます。 ・コート ウールは暖かく扱いやすいことから、コートの素材としても採用されています。ウールは形崩れしにくく、冬場の寒さにも耐えられるため、多くのブランドがウール素材のコートを販売しています。 ・ソックス、インナー ウールは、保温性や丈夫さからアウトドア商品としても人気が高い素材です。多くのアウトドアブランドで、ウール素材のソックスやインナーが販売されています。 ・マフラー、手袋 マフラーや手袋も、ウール素材が使用されているアイテムとして有名です。ウールを使用したマフラーや手袋は取り扱いやすく、ハンドメイド作品としても人気です。 ・カーテン あまり知られていませんが、ウール素材はカーテンとしても優秀な素材です。ウールカーテンは弾力性や消臭効果・撥水効果があるため、日本の気候にマッチします。 ・羊毛フェルト ブローチやキーホルダーにも使われる羊毛フェルトにウール素材が使用されることもあります。ウール素材はカラーバリエーションが豊富で素材の光沢感を演出できるため、ハンドメイド作品にも人気です。 ウールの主な特徴・性質 ウールの主な特徴・性質は下記の通りです。 ウールの主な特徴・性質 保温性が高い 吸放湿性がある 汚れにくい シワになりにくい 自然環境に優しい素材である ウールの大きな特徴は保温性が高いことです。前述の通り、気温が低い秋冬の衣服に活用されることが多く、さまざまなブランドが服などの素材として採用しています。ウールは吸湿性と放湿性を併せ持っており、汗をかいた時は素早く外へ湿気を逃がすという特徴をいかして、夏のアイテムにも使用されています。また、ウールは汚れがつきにくくシワになりにくいという特徴もあり、洗濯がしやすいとして衣料品の素材に人気です。 さらに、ウール素材は地球にも優しく、近年注目されている素材の1つです。ウールは海洋でも陸上でも分解できるため、土や海へ還すことができます。ミンクとは異なり、羊自体に負担をかけることなく何度でも毛刈りが可能なため、環境保全と動物愛護の両方の観点から持続可能な素材といえるでしょう。 ウールを洗濯する際の注意点は? ウールは吸水性が高いため、洗濯方法を誤るとアイテムが伸びたり縮んだりする恐れがあります。ウール素材の衣服を洗濯する場合は、以下のポイントを押さえるとトラブルの発生を防げます。 ・「水洗い不可」のアイテムはクリーニングを活用する 洗濯機でウール素材のアイテムを洗う場合は、必ず洗濯表示を確認しましょう。「水洗い不可」という表示がある場合、自宅での洗濯は生地を傷めるリスクがあるためクリーニングに出しましょう。 ・手洗いの際は水で素早く洗濯する ウール素材は、水に浸ける時間が長いと縮んでフェルト状になるという特徴があります。また、熱に弱いという特徴もあり、30度以上の水温で洗濯すると生地が縮みやすくなります。形崩れや傷みを起こさないためには、水で素早く洗濯するのがポイントです。 ・平らな場所で陰干しする ウール素材は伸縮性に優れているため、ハンガーやピンチを使用すると生地が伸びてしまいます。平らな場所で陰干しをすると、型崩れを防げます。 ・洗濯の頻度は少なめに 洗濯自体が生地の傷みの原因になるケースもあります。普段からこまめにお手入れして、洗濯の頻度を下げましょう。ウール素材は発湿性が高く汚れもつきにくいため、汗をかいたら干し、ブラッシングでホコリをはらうといったお手入れで、洗濯回数を減らせます。 【毛】ウール以外の主な動物繊維 動物繊維とは、動物から採取される繊維の総称で、「獣毛」「絹」「その他の動物繊維」の3種類に分けられます。家庭用品品質表示法では「獣毛」は「毛」と表記され、「毛」は羊毛、モヘヤ、アルパカ、らくだ、カシミヤ、アンゴラに分類されます。ウールは羊毛に分類される繊維です。 ここからは、代表的な動物繊維と、それぞれの性質や特徴を紹介します。 アルパカ アルパカは、南米地方に生息するラクダ科のアルパカの毛を指します。 アルパカは毛質が滑らかで、シルクのような光沢が特徴です。アルパカは世界的に頭数が少ないため、価値の高い動物繊維といえます。 動物 アルパカ 生産地 南米地方 特徴 毛質が滑らかである シルクのような光沢がある 保温性に優れる 丈夫で毛玉ができにくい 向いている製品 […]

2022.07.26
オーガンジー生地の特徴は?チュールやシフォンとの違いも

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オーガンジー生地の特徴は?チュールやシフォンとの違いも

オーガンジーとは、1本ずつ糸を交差させて織った平織り生地に特殊な加工を施したものを指します。独特な光沢やハリがある生地で、ドレスやアクセサリーなど、高級感のあるアイテムに多く使用されています。生地が丈夫なため、手軽にお手入れできるところが魅力の1つです。 当記事ではオーガンジー生地の特徴、よく使用されるアイテムなどについて紹介します。また、オーガンジーと見た目が似ているチュール、シフォンとの違いや、代表的な平織り綿織物の種類についても解説するため、ハンドメイドで生地を選ぶ上で参考にしてください。 オーガンジーとは? オーガンジーとは、素材の名前ではなく「硫酸仕上げ」と呼ばれる加工の総称を指します。平織り綿織物に硫酸仕上げを施すことで光沢感や透明感が生まれ、ハリとコシのある生地に仕上がります。つるつるした滑らかな手触りが特徴です。 オーガンジーに使用される素材は、従来は「綿」が主流でしたが、現在はポリエステルやナレーヨン、シルクなどさまざまな素材を使用したオーガンジー生地があります。 素材にシルクを使ったものは「シルクオーガンジー」と呼ばれ、シルクの持つなめらかな肌触りと上品な光沢を生かした高級感のある生地になります。また、ポリエステルを使用した「ポリエステルオーガンジー」は強度が高く、シルクと比べて安価に購入することが可能です。このようにオーガンジーは、使用する素材によって異なる特徴を見せるため、ハンドメイド作品で取り扱う際は、目的や用途に合ったものを選びましょう。 オーガンジーはどんなアイテムに使用されている? オーガンジーは、薄手でありながら存在感があり、華々しい印象を与えることができるため、ウェディングドレスやパニエ、舞台衣装などのアイテムに多く使われています。また、透け感を生かしたスカートやトップス、ワンピースなどは、女性らしさを演出したい際におすすめです。袖にボリューム感のあるトップスを選ぶことで、気になる二の腕を隠すことができるというメリットもあります。衣服以外には、ストールやバッグ、コサージュ、ヘアアクセサリーなどの生地としても人気です。 オーガンジーを使ったハンドメイドに挑戦したい方は、ギフトラッピングやアクセサリーを入れる用の巾着袋作りがおすすめです。オーガンジーの美しい質感により、まるでベールに包まれているかのような高級感を演出できます。生地の色にこだわったり、リボンや刺繍を施したりすることで世界に一つだけの巾着袋を作ることができるでしょう。 オーガンジーとチュールやシフォンの違い チュールやシフォンは、見た目がオーガンジーと似ているものの、どちらも構造がオーガンジーとは異なります。以下では違いを解説します。 オーガンジー タテ糸・ヨコ糸を1本ずつ交互に組み合わせて織った薄手の平織物のことです。特殊加工を施すことで透明感のある生地に仕上げていることが特徴です。 チュール ナイロンやポリエステルなどの合成繊維の糸を使用します。ヨコ糸は使わず2本のタテ糸を使用して編みます。 伸縮性・弾力性を持たせるために、六角形またはひし形を連ねた網目状になっていることがチュールの特徴です。洗顔ネットのような網目といえば想像しやすいでしょうか。オーガンジーは織物ですが、チュールは織物ではなく「編み物」であり、厳密には布地ではないという点が大きな違いです。 シフォン オーガンジーと同様にタテ糸とヨコ糸を交差させながら織られた生地で、シワになりにくい強撚糸が使用されています。 本来、シフォンは「絹織物」のことを指していましたが、現在ではナイロンやポリエステルなどの化学繊維も多く使用されています。シフォンは、オーガンジーよりも細い糸で織られているため、柔らかくシワになりにくい点が特徴です。 オーガンジー、チュール、シフォンを比較したいときは、実際に手で触ってみることで生地のハリ感や透け感などの違いが分かるでしょう。 オーガンジーの主な特徴 ひと口にオーガンジーといっても、加工に使用する素材によって光沢感やハリ感が変化します。仕上がりの印象も変わるため、作りたいアイテムに合わせて素材の生地を選ぶとよいでしょう。 オーガンジーには、主に以下のような3つの特徴があります。 オーガンジーの主な特徴 上品な光沢と透明感がある なめらかな手触りで独特なハリ感がある 薄手で軽量ながら強度が高い オーガンジーは薄地のため光をよく通します。美しい光沢のあるシースルーの生地は高級感があり、ふんわりとしたフォルムは華やかな舞台にもよく映えるため、結婚式のドレスなどに多く使用されています。 また、オーガンジー生地に施される硫酸仕上げは「擬麻加工(ぎまかこう)」とも呼ばれます。擬麻加工で仕上げることで、麻のようなシャリ感のある風合いとなめらかな手触り、ツヤ感や清涼感のある生地に変化します。織り目が粗いためとても軽く、擬麻加工により薄手でありながら強度が高いという特徴もあります。 洗濯時の注意点は? オーガンジー生地は、基本的に水洗いをしたりアイロンをあてたりしても問題ありません。また、硫酸仕上げによって加工されたハリやコシは洗濯した後も継続されます。 ただし、使用される素材の中には水洗いができないものもあります。必ず品質表示を確認してから洗濯しましょう。また水洗いが可能な場合であっても、洗濯機で洗うとシワが残ってしまう可能性はあるため、手洗いが一番おすすめです。 洗濯した後は、風通しのよい日陰に干して自然乾燥で乾かすのがよいでしょう。乾燥機の使用は、生地が弱って加工が取れたりシワになったりする原因となるため、緊急でない限り使用しないことをおすすめします。 【オーガンジー以外】代表的な平織り綿織物 オーガンジー以外の代表的な平織り綿織物は、オックスフォードやギンガム、シャンブレーなど複数挙げることができます。 平織りとは、オーガンジー生地にも用いられる「タテ糸とヨコ糸を一本ずつ交差して織る方法」を指します。摩擦に強く丈夫で破れにくいことが特長です。平織りは「織物の三原組織」と呼ばれるほどベーシックな織り方で、糸の撚りの強さや太さによってさまざまな生地を仕立てることが可能です。 ここからは、オックスフォード、ギンガム、シャンブレーの生地の特徴や魅力について、詳しく見ていきましょう。 オックスフォード オックスフォードは、イギリスの名門大学である「オックスフォード大学」が名前の由来です。スコットランドの生地メーカーが、名門大学の名前を生地に名付けて売り出したことがきっかけとされています。 オックスフォードとは、「斜子織り(ななこおり)」と呼ばれる織り方をした薄手の織物を指します。斜子織りは平織りの一種であるものの、1本の糸ではなく2本~数本の糸をまとめて織る方法です。織目がカゴのように見えることから「バスケット織り」ともいわれています。 複数の糸を使用するため、織目に隙間があり通気性がよく、柔らかな仕上がりになることが特徴です。通気性がよいため、夏向けの長袖シャツ「オックスフォードシャツ」の素材に多く用いられています。1枚持っておけば、冷房対策の羽織ものとして重宝できるでしょう。 ギンガム ギンガムとは、タテ糸とヨコ糸に白糸と染色糸を使用し、格子状や縞状に織った平織りの綿織物のことです。しかし日本では、縞状の「ギンガムストライプ」を見ることはほとんどなく、格子状の「ギンガムチェック」が主流となっています。また、タテ糸・ヨコ糸ともに染色糸を使ったパターンも販売されています。 従来、ギンガムはコットン素材を使用したものだけを指していましたが、現在はリネンやポリエステル、ナイロンなどさまざまな素材が活用されています。 ギンガムは、「タータンチェック」や「グレンチェック」などの他のチェック柄と比較して、より小さな格子柄になっていることが特徴です。シャツやブラウスなどの洋服だけでなく、エプロンやバッグ、クッションなど、雑貨やインテリア素材などにも使用されています。 シャンブレー シャンブレーとは、タテ糸に染め糸・ヨコ糸に白糸を使用した平織り生地のことを指します。シャンブレーで使う染め糸は、生地になる前の繊維や糸の状態で染色する「先染め」の糸を使用しているため、色落ちが目立ちにくく、生地面に奥行きが感じられる風合いが特徴です。 シャンブレーは、フランス北部「カンブレー(Cambray)」が発祥の地であり、語源は発祥地の名前が由来とされています。もともとはコットンで織られていましたが、現在ではリネンや、コットンとリネンの混紡生地などもあります。 シャンブレーは、作業着に多く使用されていたこともあり、軽くて着やすいというメリットがあります。現在では、シャツやブラウス、ワンピースなどのアイテムに多く使用されています。色落ちしにくく水洗い可能な生地のため、お手入れが手軽な点も魅力です。 まとめ オーガンジーは独特な光沢感とハリ感があり、華やかな印象を与えることができる生地です。シワになりにくく、お手入れも手軽にできるため、ハンドメイドのドレスやヘアアクセサリーなどの生地にも向いています。 またオーガンジー以外の平織り綿織物に、オックスフォードやギンガム、シャンブレーなどがありますが、いずれも薄手で軽く、丈夫な生地という点が共通の特徴になります。 オーガンジーは使用する素材によって特徴が異なるため、ドレスを作る場合はシルク素材を使うなど、用途によって素材の違う生地を選ぶとよいでしょう。オーガンジー生地の特徴を知り、ハンドメイド作品のバリエーションを増やしていきましょう。

2022.07.26
スカートのおすすめ生地は?デザインごとのおすすめや柄の種類も

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スカートのおすすめ生地は?デザインごとのおすすめや柄の種類も

ハンドメイドのスカートは生地を裁断してミシンがけをするだけと作り方が簡単で、洋服作り初心者から上級者までおすすめの題材です。使用する生地や縫い方を工夫すれば、デザインや着心地にこだわったオリジナルのスカートを作れます。 「スカート用の生地はどのように選べばよいか」「おすすめの生地を知りたい」と考える方は多いのではないでしょうか。ハンドメイドでスカートを制作したい人に向けて、スカート用の生地の選び方を詳しく解説します。 スカート用の生地の選び方 スカートを手作りする場合は、まずどのようなスカートを作りたいかを明確にして、適したスカート用の生地を選ぶことが重要です。生地には厚さ・織り方・性質など多様な特徴があり、使用する生地によって手作りスカートの仕上がりも変わります。 以下ではスカート用の生地の選び方を5つに分けて、それぞれのポイントや考え方を紹介します。 生地の厚さ 生地の厚さは、裁断しやすさやミシン針の通しやすさにかかわります。スカートは縫い代に沿って生地同士を縫い合わせるため、初心者の方は薄くやわらかい生地がおすすめです。 生地の厚さは一般的に、60番などの「番手」や8号などの「号数」で表記されます。番手や号数を見るときは、数字が大きいほど生地が薄くなる点を理解しましょう。 ただし、デニム生地に使われる「オンス」は重さを表す単位であり、数字が大きいほど生地が厚くなります。 生地の織り方 生地の織り方は、スカートの質感や耐久性にかかわるポイントです。生地の基本的な織り方は三原組織と呼ばれ、「平織」「綾織」「繻子織(しゅすおり)」の3つがあります。 平織はタテ糸とヨコ糸が交互に交差する織り方です。平織の生地は頑丈で摩擦に強いため、初心者がスカート作りに使用する生地に適しています。 綾織の生地は、ハリがありながらもやわらかな生地を使いたいときにおすすめです。繻子織の生地は滑らかで光沢感があるものの摩擦に弱いため、上級者向けと言えます。 生地の性質 生地の性質は、スカートの耐久性や通気性、着用時の動きやすさにかかわるポイントです。生地に使用されている原料の種類によって、生地の性質は変わります。 たとえば綿で作られたコットン生地は肌触りがやわらかく、着心地がよい点が特徴です。コットン生地のスカートは保温性にも優れていて、冬場も暖かく着られます。 生地の種類は綿以外にも、麻・ウール・ポリエステルなどさまざまです。生地の性質に着目して生地を選ぶと、着用シーンに合ったスカートを作れます。 スカートのデザイン スカートのデザインはフレアスカートやギャザースカートなどの種類があり、デザインごとに適している生地が異なります。作りたいスカートのデザインが決まったなら、デザインに合った生地を選ぶことが大切です。 たとえば、ウエストから裾にかけてふわりと広がるフレアスカートなら、やわらかく身体にフィットしやすい生地が適しています。ウエストの留め具は、ウエストゴム・金具・ベルトのいずれにするか、また裏地付きにするかどうかなども考えて生地を選びましょう。 着用シーズン スカートの生地選びは着用シーズンを考えることも大切です。着用シーズンを大きく「春夏服」「秋冬服」の2つに分けて、それぞれの季節に適した生地を選びましょう。 春夏服のスカートは、適度な薄さがあり、軽くて動きやすい生地がおすすめです。通気性も良好な生地を選ぶと、着用時に熱がこもらず快適に過ごせます。秋冬用のスカートには、厚みがあり保温性に優れている生地を選びましょう。 「春夏」「秋冬」に適した生地は下記の通りになります。 春夏におすすめの生地 秋冬におすすめの生地 ローン リップル サッカー 楊柳 シフォン ブロード デニム オックス リネン デシン サマーウール ダブルガーゼ アムンゼン タイプライター ネル ビエラ ブロード デニム ウール コーデュロイ ツイード スカートにおすすめの生地 スカートに使える生地の種類は多岐にわたり、それぞれ異なる特徴を持っています。スカートの生地選びでは生地の特徴を把握して、作りたいスカートに適した種類の生地を選ぶことが大切です。 以下ではスカートにおすすめの生地を22選挙げ、生地の特徴と向いているスカートの種類などを紹介します。 ローン ローンは60~100番手の細い織糸を使用した、平織で織られた生地です。ローンは薄手で軽く、やわらかな肌触りがあり、上品な風合いを特徴としています。綿素材のコットンローンが主流であるものの、原料が麻の「リネンローン」も存在します。 薄手のローンは、透け感のある春夏用スカートを作りたいときにおすすめです。デザインでは、フレアスカートやギャザースカートなど、裾のドレープ感を重視するスカートに向いています。 タイプライター タイプライターは主に40~80番手の細い織糸を使用した、平織で織られた綿素材の生地です。タイプライターは細い糸を高密度で織り上げて作られており、ハリのある肌触りと耐久性の高さを特徴としています。 […]

2022.06.27