カツラギとは?素材の特徴・よく使われるアイテムやデニムとの違い
ハンドメイド活動において使われる生地はさまざまで、作りたいアイテムや与えたい印象などに合わせて生地を選ぶという人がほとんどです。しかし、生地と一口に言っても見た目や厚み、特徴などに違いがあり、生地選びに悩む人は少なくないでしょう。
今回は、カツラギという素材・生地について詳しく解説します。素材の特徴やアイテムの例、カツラギ生地を扱う上での注意点をまとめているので、カツラギについて知りたい人はぜひ当記事をお役立てください。
目次1
カツラギとは?
カツラギ(葛城)とは、「葛城織り」という太い糸で織った厚手の綾織生地のことで、生地表面に畝(うね)が斜めに現れているのが特徴です。海外では綾織をした商品などを「ツイル」呼びで統一していますが、カツラギは厳密にはツイルの中の一種として分類されます。
カツラギはヨコ糸に14〜18番手の糸を使っており、程よい厚みとがっしりした質感がデニム生地に近いと言われています。
カツラギはもともと2本の糸を捻り合わせた双糸を使用していましたが、現在は単糸を使っています。カツラギは綿を中心とした素材で織られることが多いものの、綿とポリエステルを紡いだ混紡も高く評価されており、綿単体の素材よりも吸水性が高いのが特徴です。さらに、しわになりにくい点も魅力です。
当サイトでは、ツイル生地の特徴や魅力についてまとめた記事も掲載しています。ツイル素材を使用したハンドメイドに挑戦したい人は、ぜひ参考にしてください。
カツラギとデニムの違い
カツラギは、見た目や肌ざわりなどデニムと共通する点もありますが、異なる点もあります。カツラギとデニムの違いは以下の通りです。
■生地の特徴
カツラギ | デニム |
---|---|
デニムより薄手ではあるものの丈夫 | 厚手生地で丈夫 |
カツラギはデニムより薄い素材でできていますが、つくりが丈夫で、柔らかく滑らかな肌触りをしています。デニムと比べてカツラギは、保湿性が高いのも特徴的です。 |
■使用用途
カツラギ | デニム |
---|---|
日常雑貨・インテリア用品 | 衣料品 |
カツラギはユニフォームの素材として使用されることもありますが、デニムのように日常的な衣料にはあまり使われません。カツラギはカーテンやテーブルクロス、雑貨小物やバックなどに使用されることが多いです。 |
■染め順
カツラギ | デニム |
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後染め | 先染め |
デニムは先染め糸のタテ糸を使用していますが、カツラギは布が出来上がった後に染める後染めです。そのため、デニムのように色合いを残した色落ちの仕方はしません。 |
■カラーバリエーション
カツラギ | デニム |
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カラーが豊富 | カツラギほど豊富ではない |
カツラギは後染めのため、カラーバリエーションが豊富です。デニムのようなネイビーはもちろん、生地を漂白させた「白カツラギ」やカーキ色に染めた「茶カツラギ」などもあります。カツラギは他にも、グレーやパープル、ピンクなどにも染め上げることができます。 |
カツラギの特徴
カツラギはコットン綾織物で、綾目が急角度に現れているのが特徴です。デニムよりも柔らかく薄いので、家庭用ミシンでも手軽に縫製できます。他にも、カツラギには次のような特徴があります。
■カツラギの特徴
- 比較的糸が太く耐久性が高い
- 横方向の伸縮性に優れている
- 洗濯するたびに柔らかくなる
ここでは、上記の特徴について詳しく紹介します。
比較的糸が太く耐久性が高い
カツラギは太い糸で織られているため耐久性が高く、デニムに劣らない丈夫さをもっていることから、日用品や作業着・ユニフォームによく用いられています。カツラギは生地表面の綾目の角度によって水滴が流れ落ちやすく、屋外での作業着として人気の生地です。
また、カツラギは綿100%のコットン生地で作られることが多く、火に強いことも特徴です。火に強いという特徴を活かして、コックコートの素材として使われることもあります。
横方向の伸縮性に優れている
カツラギは、横方向の伸縮性に優れていることも特徴の1つです。伸縮性の高さからスキニーパンツに使われることも多くあります。
ただし、綿100%のカツラギにはポリウレタンやニットほどの伸縮性はありません。ハンドメイド活動において伸びを意識した生地を選ぶ場合は、ポリウレタンなどが混紡されている素材を選ぶとよいでしょう。
より伸縮性に優れたカツラギ生地を購入したいときは、使用素材について記しているタグなどに「C」「T」「T/C」があるかをチェックします。「C」はコットン素材、「T」はポリエステル(テトロン)、「T/C」は綿とポリエステルの混紡を意味します。
洗濯するたびに柔らかくなる
カツラギは水に通すと柔らかくなる特徴をもつため、洗濯を繰り返すことで自分好みの使い勝手のいいアイテムに変身させることができます。また、デニムよりも生地が薄いため自宅で簡単に洗濯でき、お手入れに手間がかかりません。
ただし、カツラギは水に通しすぎると柔らかくなると同時に強度も低下するため、洗濯のしすぎには注意が必要です。またカツラギは摩擦に弱い素材なので、洗濯ネットを使用することもおすすめします。
カツラギ素材が使われているアイテム
カツラギは薄くて丈夫な上に、カラーバリエーションが豊富なことから、さまざまなアイテムに加工することが可能です。
カツラギの素材が使われているアイテムは以下の通りです。カツラギを使ったハンドメイドを考えている人は、ぜひ参考にしてください。
■インテリア雑貨
カツラギの厚みと柔らかな肌触りという特徴を活かし、インテリア雑貨に使われることが多いです。カラーバリエーションも豊富なため、クッションやソファーなどのカバーやカーテンにも使われ、お部屋を思い思いに彩れます。
【アイテム例】
- クッションなどのカバー類
- カーテン
- テーブルクロス
- ティッシュカバー
■衣料品
カツラギは伸縮性と耐久性、通気性を兼ね備えているため、ストレッチ生地にも採用されています。スポーツユニフォームや作業着の素材としても人気です。
綿とポリウレタンの混紡生地を使用するとストレッチ性が高まり、綿100%のコットン生地を使用すると火に強くなることから、厨房など常に火を扱う場所での衣服にも適しています。
【アイテム例】
- スポーツのユニフォーム
- コックコートなどの作業服
■小物
デニムよりも薄く扱いやすいカツラギは、保育園や小学校に通う子どもに持たせるバッグやエプロンなどにも向いています。カツラギは、入園・入学グッズの手作りを考えている人におすすめの素材です。
【アイテム例】
- 帽子
- バッグ
- エプロン
カツラギを扱う上での注意点
カツラギを使用したアイテムは、使用頻度や洗濯の仕方によって状態が変化することがあります。今回は、カツラギの「水に通すと強度が落ちる」という特徴から、生地を扱う上での注意点を紹介します。
カツラギ生地を使ってハンドメイドするとき
カツラギを使ってハンドメイドをするときは、まずカツラギ生地を水に通して縮ませた上で、制作に取り掛かりましょう。
カツラギは洗濯を繰り返すと生地に影響が出やすい素材です。カツラギは洗濯できる生地ですが、作るアイテムによっては洗濯することでサイズ感が変わったり、すぐに壊れてしまったりする可能性があります。
カツラギ生地の耐久性などを見た上で制作することで、サイズ感やつくりにおける失敗を防げます。
カツラギ生地のアイテムを洗濯するとき
基本的に、カツラギ生地を使用したアイテムは洗濯できますが、伸縮性や強度が変化する恐れがあることから、洗濯時には次のような対策が必須です。
●裏返して洗濯ネットで洗濯する
綾織りで作られているカツラギは摩擦に弱いため、裏返してから洗濯ネットに入れて洗濯しましょう。なお、布によっては手洗いを推奨しているものもあるため、洗濯表示をよく確認してください。
●洗濯後は十分にしわを伸ばす
綿100%のカツラギ生地を乾燥させると目が詰まる可能性があるので、洗濯後はしわをしっかり伸ばしましょう。しわを伸ばす際は当て布をして、アイロンでプレスするのがおすすめです。
●天日干しを避ける
カツラギは紫外線による変色が起きやすい素材です。なるべく日の当たらない、風通しの良い場所で乾かしましょう。
まとめ
カツラギとは、太い糸で織った厚手の綾織生地のことです。生地表面の盛り上がった筋が斜めになっているのが特徴で、程よい厚みと伸縮性の高さが優れています。一見するとデニムと似ていますが、カツラギはデニムよりも薄く、カラーバリエーションが豊富な点に違いがあります。
カツラギは耐久性・伸縮性が高い上に、水に通すたび柔らかくなることから、作業着やユニフォーム、スキニーパンツ、子ども用のバッグやエプロンなどに使われることが多いです。ただし、洗濯しすぎると生地が縮んだり耐久性が低くなったりする特徴もあるため、洗濯方法や干し方について注意する必要があります。