接着芯の正しい使い方は?種類や綺麗に貼るポイントも解説
接着芯は、布地に張りを持たせ、型崩れを防ぐために欠かせないアイテムです。アイロンを使って簡単に布に貼り付けられるので、初心者からプロの手芸家まで幅広く利用されています。
当記事では、接着芯の基本的な使い方や種類、そして使用時のポイントについて詳しく解説します。接着芯を適切に選び、使いこなすための知識を身につけて、洋裁や手芸の品質をワンランクアップさせましょう。
目次1
接着芯とは?
接着芯とは、アイロンで布に貼り付けができる接着剤のついた布のことです。服やバッグなどに接着芯を貼り付けると、型崩れを防いだり、厚み・ハリ感を持たせたりすることができます。
例えば、バッグに接着芯を貼り付けると、床に置いたときに自立させることが可能です。その他、ワイシャツの襟裏に接着芯を貼り付けると、よれのないパリッとした印象に仕上がります。
接着芯の種類
接着芯にはさまざまな素材があり、それぞれに向いているアイテムも異なります。接着芯の主な種類として、3つのタイプを解説します。
- 織布タイプ
繊維を縦と横に織った織布タイプは、布のような柔らかな手触りが特徴です。薄い生地のため布になじみやすく、洋服やバッグ、ポーチなど、幅広いアイテムに使いやすいでしょう。
他の素材よりもシワになりにくいのに、生地にしっかりと張りを持たせてくれるのがメリットです。洗濯しても張りをキープできるため、シャツやスカートなど日常使いする洋服にも適しています。 - 不織布タイプ
繊維が複雑に絡み合った不織布タイプは、アイロンをかけると硬めの仕上がりになるのが特徴です。他の素材よりも軽量で、リーズナブルな価格帯な点が不織布タイプの魅力と言えます。縦と横に織った織布タイプと異なり、裁断したときに端がほつれない点は、初心者におすすめしたいポイントです。仕上がりが硬めになるので洋服以外の布小物やバッグなどへの使用がおすすめです。 - ニットタイプ
繊維を編み込んだニットタイプは、柔らかな手触りと伸縮性が特徴の接着芯です。他の素材がアイロンをかけると硬くパリッとした仕上がるのに対して、ニットタイプの接着芯は仕上がりもソフトなのがポイントです。
接着芯自体が伸び縮みする素材のため、ニット地や薄手の洋服などに使用できます。
アイテムによって向いている接着芯をピックアップするほかに、接着芯の厚さや色、サイズなどを比較した接着芯選びが大切です。また、片面・両面接着芯タイプや糊なしタイプなど、接着方法も接着芯によって違いがあるため、用途によって使い分けることを意識しましょう。
接着芯の基本的な使い方
接着芯の素材にはさまざまな種類があるものの、基本的な付け方はどのタイプもほとんど同じです。接着芯の基本的な使い方は、下記の流れを参考にしましょう。
(1)布と接着芯を裁断する | 型紙に合わせて、布と接着芯を裁断します。布と接着芯のどちらも型紙より大きめに裁断し、接着後に実際のサイズにカットすると仕上げやすくなります。 布自体にしわがある場合は、裁断前にアイロンでしっかり伸ばしておきましょう。 |
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(2)裏表を確認する | 接着芯の裏表をしっかり確認し、糊の付いた面と布が合わさるようにして重ねます。接着芯の糊の付いた面は、光沢があったり触るとザラザラしていたりするため、よく見て確認しましょう。 布と接着芯の間に、糸くずやごみが付いていないか合わせて確認するとよいでしょう。 |
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(3)アイロンをあてる | 接着芯と布を重ねたら、少しずつアイロンをあてて貼り合わせます。可能であれば、布とアイロンの間にあて布を挟みましょう。 布の中央からアイロンをあて、隙間のないよう全面に広げます。一度アイロンをあてたところでも少しずつ重ねながら、接着むらのないよう全体を貼り合わせましょう。 |
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(4)冷めるのを待ってから裁断する | 全面にアイロンをあてたら、冷めるまで少し放置しましょう。接着芯が折れたり曲がったりしないよう、手の触れない平らな場所で保管します。 アイロンの熱が冷めて接着芯の糊が十分に固まったら、型紙に合わせて布を裁断します。 |
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接着芯を使うときのポイント
接着芯は簡単に使えるものの、きれいに貼るためにはいくつか気を付けたい点があります。接着芯を使うときのポイントを紹介するので、失敗のないようアイロンで圧着する前にしっかり確認しましょう。
アイロンの温度は中温にする
接着芯を貼り付ける際、アイロンの温度は中温に設定しましょう。
アイロンの温度が低いと、接着芯の糊が十分に溶けず、接着力が甘くすぐにはがれやすくなります。反対に、アイロンの温度が高すぎると、溶けた糊部分が布地まで染み出す可能性があるため注意しましょう。
接着芯を貼り付ける布の素材によっては、アイロンの温度やスチームの可否などが決められている場合もあります。洋服やバッグの商品などに接着芯を貼り付けたいときは、タグの情報を確認して適切なアイロンの温度を確認しましょう。
アイロンは体重をかけてあてる
アイロンをあてるときは、しっかり体重をかけて圧着することを意識しましょう。
布と接着芯を圧着させるためには、さっとアイロンを滑らせるのではなく、体重をかけてアイロンを押し付けることが大切です。アイロン1回につき5~10秒ほどを目安に、じっくり押し付けましょう。
接着芯を貼り付けるとき、布の表面でアイロンをすべらせないのも重要なポイントです。アイロンをすべらせると、布にしわが寄ったまま圧着してしまう原因になります。
アイロンを一定時間押し当てたら、すべらせずに持ち上げて、1か所ずつ移動させて丁寧に貼り付けましょう。
使用するハサミを使い分ける
布と接着芯は、それぞれ使用するハサミを使い分けるのもポイントです。布を裁断するときは裁ちばさみ、接着芯を裁断するときは工作用はさみが適しています。
裁ちばさみは布を裁断するための専用のはさみです。接着芯を裁断する際も、あわせて裁ちばさみを使えばいいのではないかと考える人もいるでしょう。しかし、接着芯の糊部分がはさみの刃に残ると、その後の裁ちばさみの切れ味が悪くなる可能性があるためおすすめできません。
布と接着芯にアイロンをかけ、冷えてしっかり接着された後のものを裁断したいときは、布をきれいに裁断できる裁ちばさみを使用しましょう。
接着芯の裏表を間違えない
アイロンをかける前に、接着芯の裏表を間違えて貼り付けないようしっかり確認しましょう。
接着芯には、両面に糊のついたタイプと片面だけに糊のついたタイプがあります。片面のみに糊のついたタイプで表地と裏地を間違えると、布ではなくアイロンに接着部分が貼りつく危険性があるため注意が必要です。接着面は、ざらざらとした手触りや見た目に光沢感があります。
万が一接着芯の裏表を間違えてしまったときのためにも、アイロンと布の間にあて布を挟むことが大切です。あて布を間に入れると、アイロン本体に糊が貼りつく事態を防げます。
アイロン後は動かさない
布全体にアイロンをあてた後は、すぐに動かさずしばらく放置しましょう。
アイロンをあてた直後の布は、接着芯の糊が固まりきっていない状態です。まだ熱をもっている布を触ると、糊がはがれたり布がよれたまま固まったりする可能性があります。
布の折れや曲がりを防ぐため、アイロンの熱がおさまるまでは、できるだけ平らな場所で保管しましょう。布の上に重しとなる板や本などを置いて、平らな状態をキープする方法もおすすめです。
まとめ
接着芯は、布製品に厚みやハリ感を加え、型崩れを防げるアイテムです。接着芯には織布タイプ、不織布タイプ、ニットタイプなどの種類があるので、それぞれの特徴を理解し、用途に応じて適切な接着芯を選びましょう。
また、アイロンの温度や圧力、裁断方法など、細部に気を配ると、より美しい仕上がりが期待できます。接着芯の使い方をマスターすることで、洋裁や手芸の作品が一段と品質の高いものになるので、手芸をするときは接着芯を使用しましょう。接着芯はオンラインショップでも入手できます。