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公開日: 2024.01.09
最終更新日: 2024.01.09

マリメッコ生地でハンドメイド作品を作ると違法?著作権侵害の罰則も

マリメッコ生地でハンドメイド作品を作ると違法?著作権侵害の罰則も

マリメッコとは、フィンランドのアパレルブランドです。鮮やかな色で大胆なプリント柄のデザインで、世界的に人気があります。マリメッコではバッグや服だけではなく、生地も販売しています。ハンドメイド作家の方の中には、マリメッコの生地を使って作品を制作し販売したいと考えている方もいるでしょう。

この記事では、マリメッコの生地を商用利用することは可能であるのかについて、詳しく解説します。さらに、著作権に関する民事・刑事の責任についても取り上げるので、ぜひ参考にしてください。

マリメッコ生地の商用利用は違法?

マリメッコ生地は、商用利用できません。人気の高いマリメッコ生地でバッグや洋服などを作り、フリマアプリやネットショップで売りたいと考えている方もいることでしょう。しかし、マリメッコ作品を使った作品を販売して稼ぐことは認められていません。

日本における、マリメッコ生地の公式な販売元である株式会社ルックの見解は次の通りです。

Marimekko 生地の使用について

  • マリメッコの生地は、お客様が個人で楽しんでいただくために販売しております。販売目的での二次加工品へ使用するものではありません。
  • マリメッコ社、(株)ルック、及びその販売者は、それらに使用されたものに対しては責任を負いかねます。

引用:Marimekko(マリメッコ) 日本公式オンラインストア「Auringonkukka リネンファブリック」/引用日2023/11/30

マリメッコ社が述べる「二次加工品」には、ハンドメイド作品も含まれます。したがって、マリメッコ生地で作った作品は、自分自身で楽しんだり、友人などに無料でプレゼントしたりすること以外には利用できません。

マリメッコ生地とは異なり、商用利用が認められている生地は下記リンクで紹介しているサイトで購入できます。商用可能な生地を探している人は、ぜひ下記リンクの記事を参考にしてください。

マリメッコ生地で作ったハンドメイド作品を出品するとどうなる?

ハンドメイド作品を販売できるアプリやサイトは数多くあります。ここでは、代表的なアプリ3つを取り上げ、マリメッコ生地で作ったハンドメイド作品を出品した場合、それぞれどのようなことが起きるのかを詳しく解説します。

minneの場合

マリメッコ生地で作ったハンドメイド作品をminneで販売しようとすると、作品の削除依頼・アカウントの利用制限などの処分を受ける可能性があります。著作権を侵害する作品の販売や展示を禁止する規定を破る行為に当たるためです。

マリメッコ生地で作ったハンドメイド作品は、minneが定める「権利侵害の恐れのある作品」であり、「商用利用不可の生地や型紙を使用して制作された作品」です。マリメッコ社は同社生地の商用利用を認めていません。

同様に、キャラクターやブランドのロゴマークなどを許可なく使用した作品も「権利侵害の恐れのある作品」です。本物に酷似している作品も、販売は禁止されています。マリメッコ社のロゴマークや酷似したマークも使用しないでください。

minneで起こる可能性のあるトラブルの事例や対処法などについては、こちらのリンク記事も参考にしてください。

Creemaの場合

Creemaにマリメッコ生地で作ったハンドメイド作品を出品すると、会員資格の取り消し・サービスへのアクセス拒否といった処分を受けます。Creemaは、第三者の権利侵害をしたハンドメイド作品の出品を禁止しているためです。

利用規約の中では、「他人の名誉、信用、プライバシー権、パブリシティ権、著作権、その他の権利を侵害する行為」を禁止行為と定義しています。マリメッコ生地の使用も禁止行為に該当するため、出品できません。

マリメッコ生地で作ったハンドメイド作品の出品者に対する会員資格の取り消しなどの処置は、事前の通知なく行われます。また、マリメッコ生地のハンドメイド作品を出品したことでCreemaに損害が及んだ場合、出品者には賠償を求められる可能性もあります。

メルカリの場合

メルカリにマリメッコ生地で作ったハンドメイド作品を出品すると、取引のキャンセル・作品削除・利用制限といった処分を受ける可能性があります。該当のハンドメイド作品が「知的財産権を侵害するもの」とみなされるためです。

メルカリは知的財産権を侵害する商品として「権利商品のロゴ、デザインやマークを許諾なく使用していると判断される商品」を挙げています。該当する商品の販売は禁止されており、権利者の許諾なしに利用すると権利侵害となる可能性がある旨を警告しています。

マリメッコ社は商用利用を目的にマリメッコ生地を使用することを許諾していないため、メルカリにもマリメッコ生地で作ったハンドメイド作品は出品できません。出品すれば、アプリを利用できなくなる可能性もあるため、注意してください。

著作権を侵害するとどうなる?

万が一、ハンドメイド作家が第三者の著作権を侵害すると、民事上の責任にとどまらず、刑事上の責任を問われる可能性があります。ここでは、民事上と刑事上に分け、どのような責任を負うことになるのかを詳しく解説します。

ハンドメイド作品の盗用や模倣といった問題、著作権などについて解説しているこちらのリンク記事も、ぜひ参考にしてください。

民事上の責任

著作権を侵害した場合、民事上問われる責任は著作権法における「差止請求(第112条)」「損害賠償請求(第114条)」「名誉回復などの措置請求(第115条)」に関するものです。加えて、民法上の「不当利得の返還請求(第703条、第704条)」が求められる可能性もあります。

著作権法上の「差止請求」とは、著作権を侵害した作品の販売停止などを求める措置を指し、予防的な措置も含んでいます。「損害賠償請求」を受けると、著作権所有者に発生した損害を補わなければなりません。

「名誉回復などの措置請求」とは、著作権の侵害によって著作者の人権を侵害した場合に、著作者の名誉や評判を回復するための措置を求めることを意味します。具体的には、著作権所有者に対して公的に謝罪する行為などです。

民法上の「不当利得の返還請求」とは、第三者の著作権を侵害した作品を販売して得た売上などの利益を、著作権所有者へ返還することを求める措置です。

刑事上の責任

著作権を個人が侵害した場合、著作権法において「10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、あるいは併科(第119条)」という刑事上の責任が問われます。法人が著作権を侵害した場合は「3億円以下の罰金(第124条)」です。

個人の責任は、懲役か罰金のいずれかが科されるケースと、懲役と罰金の両方が科されるケースがあり、個々の事案で異なります。一方、法人として第三者の著作権を侵害すると、億単位の高額な罰金を求められる恐れもあります。

刑事上の責任は基本的に、著作権所有者による「告訴がなければ公訴を提起することができない(第123条)」という親告罪です。所有者が訴えない限り、警察などは取り締まりができません。しかし、一定の要件に該当すると、訴えがなくても取り締まりを受けます。

「マリメッコ風のハンドメイド作品」は著作権侵害になる

マリメッコ生地を使わず、マリメッコ風のハンドメイド作品を販売しても著作権侵害になります。メルカリなども、「〇〇風」「〇〇系」などと著作権侵害の恐れがある文言を商品名や商品説明に記載することを禁じています。

「マリメッコ風のハンドメイド作品」とは、マリメッコ生地と類似した生地を使ったハンドメイド作品です。マリメッコ生地と別の生地に類似点があるか否かを決めるポイントは、本質的な特徴が両者に共通しているかどうかです。

単なる花柄のデザインなど、市販されている生地にありがちなデザインを採用している生地は、「マリメッコ風の生地」と判断される可能性は低いでしょう。しかし、マリメッコ生地特有のデザインを採用している生地は、「マリメッコ風の生地」と判断される可能性が高くなります。

「マリメッコ風の生地」を使ったハンドメイド作品を販売する行為は、著作権侵害に該当します。ハンドメイド作品の素材を選ぶ際の注意点として、覚えておいてください。

まとめ

マリメッコの生地で作ったハンドメイド作品は、他人に販売することはできません。マリメッコの生地は、商用利用が許可されていないためです。あくまでもマリメッコの生地は、自分で楽しむ目的でしか利用できません。

マリメッコの生地を無許可で商用利用すると、著作権を侵害してしまいます。著作権を侵害すると、民事上の責任と刑事上の責任の両方が問われてしまう可能性があります。マリメッコをはじめとした商用利用が認められていないブランドの生地を使う場合は、十分に注意しましょう。