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公開日: 2022.12.26
最終更新日: 2022.12.26

ハンドメイド作品のパクリ問題について|著作権や対処法なども解説

ハンドメイド作品のパクリ問題について|著作権や対処法なども解説

ハンドメイド作品を販売していると、ほかのハンドメイド作家さんやファンから「作品が似ている」「パクリ?」と言われることがあります。実際に言われており、対処に困っているという方もいるでしょう。ハンドメイド作品をパクると大きなトラブルに発展する可能性もあるため、作品制作・販売には注意する必要があります。

当記事では、ハンドメイド作品がパクリと言われたときと、パクられてしまったときの対処法について解説します。ハンドメイド作品のパクリ問題でお困りの方は、ぜひお役立てください。

ハンドメイド作品のパクリ問題とは

ハンドメイド作品のパクリ問題とは、自分の作品と他人の作品に似通っている部分があり、「パクリではないか」と問題化することです。

市場に出回るハンドメイド作品の中には、人気作品をパクっているケースも実際に存在します。パクリ問題はトラブルに発展しやすいため、事前の対策が重要です。

以下では、ハンドメイド作品を販売する際はどのような点に注意すればよいかを紹介します。

ハンドメイドとして販売できるもの・できないもの

ハンドメイド作品を販売する際は、まず公式サイトの利用規約やガイドを読むことが大切です。

以下では、メルカリ・minneの2サイトにおいて、ハンドメイド作品で「販売できるもの」「販売できないもの」の主な例を紹介します。

メルカリ

販売できるもの
  • 手作りの作品
  • 権利者の許可を得たキャラクター作品
販売できないもの
  • 無許可のキャラクターを使用した作品
  • キャラクター生地を利用した作品

出典:メルカリガイド「ハンドメイド品の出品可否について」

minne

販売できるもの
  • 手作りの作品
  • オリジナルの図案
  • 作品制作に使用する素材・材料
販売できないもの
  • キャラクター生地・素材を使用した作品
  • 商用利用禁止の書籍・キットを使用した作品
  • 「○○風」などの文言を、作品名や作品説明に付記した作品

出典:minne ヘルプとガイド「販売・展示することができない作品を教えてください」

どちらの販売サイトも、「権利者の許可を得ていないキャラクター」を使用した作品の販売は認めていません。権利者が存在するキャラクターは著作権で守られているためです。

ハンドメイド作品は著作権で守れるのか

「ハンドメイド作品のパクリ問題も著作権で対処できるのでは?」と考える方は多いでしょう。しかし、ハンドメイド作品が著作権で守られるケースはほとんどありません。

著作権は、著作権法の定義を満たした対象物にのみ成立する権利であるためです。

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

引用:e-GOV法令検索「著作権法」 /引用日2022/11/21

一般的なハンドメイド作品は思想や感情を表現したものではなく、文芸・学術・美術・音楽の範囲にも属さないため、著作権が成立しません。

ただし、ハンドメイド作品が他人の著作権を侵害するケースはあるため注意してください。著作権侵害の具体例を2つ紹介します。

  • キャラクターを無許可で使用した作品を販売した
  • 書籍掲載の作り方通りに制作した作品を販売した

知っておいたほうがよい著作権以外の権利

ハンドメイド制作において、著作権以外で知っておいたほうがよい3つの権利を紹介します。

・意匠権

意匠権とは、商品のデザインを守る権利のことです。意匠権で守られているデザイン・形状・柄を真似して作品を作ると意匠権侵害となります。

権利侵害の例ブランドバッグのデザインを模倣してバッグを制作した

・商標権

商標権とは、商品に付与する商標のデザイン・利用を守る権利のことです。商標権で守られている商標を真似したり、無断で使用したりすると、商標権侵害となります。

権利侵害の例ブランドロゴに似せたマークを作品に付けた

・肖像権・パブリシティ権

肖像権とは、自分の容姿・画像が無断で利用されないよう守る権利です。他人の画像を無断で使用すると肖像権侵害となります。関連する権利に、有名人の氏名・肖像に生じる経済的価値を守るパブリシティ権があります。

権利侵害の例作品を着用したモデルの写真を、勝手に広告で使用した

ハンドメイド作品が「パクリだ」と言われてしまったとき

ハンドメイド作品を販売していると、他人に「パクリだ」と言われるケースがあります。パクリの指摘はハンドメイド作品を販売する多くの人が経験するため、対処法を把握することが重要です。

以下では、ハンドメイド作品が「パクリだ」と言われたときの対処法を、心当たりがある場合・ない場合のそれぞれで解説します。

心当たりがある場合

パクった心当たりとは、「他作家の作品を見ながら作った」「デザインを真似た」といったケースが挙げられます。制作の参考程度に留めているつもりでも、パクリに該当する場合があるため注意しましょう。

パクった心当たりがある場合は、指摘された時点で作品の販売を速やかに取り下げて、相手に謝罪することをおすすめします。

ハンドメイド作品をパクる行為は、著作権侵害として法的な措置が取られるリスクは少ないものの、モラルとしては許されません。パクリがバレると、相手の作家にSNSで糾弾されたり、ファンから厳しい非難が上がったりするリスクがあります。

また、商品説明文のパクリもリスクが大きい行為です。メルカリの場合は、商品説明文の丸パクリや画像のコピー・盗用は違反行為であるとガイドに明記されています。

メルカリではトラブルの原因となるため他会員の画像、文章などを無断で使用することを禁止としています。
事務局が禁止行為に該当すると合理的な理由に基づき判断した場合は、取引キャンセル・商品削除・利用制限などの措置を取る場合があります。

引用:メルカリガイド「他会員が撮影した画像、文章などを無断で使用すること(禁止されている行為)」/引用日2022/11/22

心当たりがない場合

「パクリだ」と指摘されても、自分に心当たりがない場合もあります。
パクった心当たりがない場合は、相手の指摘を真剣に受け止めて、自分の作品と「パクリ元とされる作品」に似ている点があるかをチェックしましょう。

ハンドメイド作品は意図せずとも、アイデアやデザインが偶然似通ってしまうケースは少なくありません。特にシンプルなデザインの場合は被ってしまうことがよくあります。

自分の作品と「パクリ元とされた作品」に似通っている部分が多い場合は、作品の販売を取り下げることがおすすめです。作品の販売を取り下げれば、トラブルに発展するリスクは低くなります。

似通っている部分が少ない場合は、作品の販売を続けることが正しい対応です。特徴や見た目が大きく異なるなど、明らかにパクリではないと分かる作品であれば、非難される根拠はありません。

ハンドメイド作品がパクられてしまったとき

ハンドメイド作品のパクリ問題は、自分の作品がパクられるケースももちろんあります。作品をパクられたら怒る気持ちが当然先立つでしょう。

しかし、ハンドメイド作品がパクられたときの対処法としては、「無視する」ことがおすすめです。たとえパクリを指摘しても、相手が正直に認めるケースはほとんどありません。

作品がパクられることは、考え方を変えれば自分の作品が優れている証明と言えます。パクリに怒る気持ちは分かりますが、言い合いをするだけ無駄と考えて、時間や手間を有意義なことに使いましょう。

対処法とやらないほうがよいこと

パクリが許せずどうしても対処したい場合は、以下のような方法があります。

・本人に優しく抗議する

相手のプロフィールページやパクった作品の販売ページに「自分の作品を真似していませんか」とメッセージを送るなど、本人に優しく抗議しましょう。

・運営に訴える

販売サイトの運営に「自分の作品をコピーした商品が販売されている」と訴える方法です。商品説明文や画像も盗用されていれば、対応してくれる可能性があります。

・ショップのレベルアップを図る

自分の作品がもっと売れるように、ショップのレベルアップを図りましょう。本物がよく売れる一方で、模倣品が全く売れなくなれば、作品をパクっても無意味だと理解してもらえます。

反対に、下記のような対処法はやらないほうがよい行為です。

  • 本人に強く抗議する
  • お客様に連絡する
  • SNSで愚痴る・拡散する
  • 作品を売るのをやめる

作品のパクリに対して強硬すぎる態度を取ると、パクられた相手からの強い反発を招いたり、お客様に幻滅されたりするリスクがあります。

パクられないための対策方法

ハンドメイド作品をパクられないための対策方法を2つ紹介します。

・商品説明文に「盗作禁止」を明記する

商品説明文に「盗作禁止」を明記することで、「作品のパクリは認めていない」と意思表示ができます。商品説明文への記載はあくまでも事務的な内容にして、高圧的な雰囲気を出さないようにしましょう。

・商品画像にウォーターマークを入れる

商品画像にショップ名や作家名のウォーターマークを入れると、画像が盗用されにくくなります。商品画像の盗用で悩んでいる方におすすめの方法です。

まとめ

ハンドメイド作品のパクリ問題とは、自分と他人の作品が似ており問題化することです。市場では人気のハンドメイド作家の作品をパクって販売しているケースも実際に存在します。

パクった心当たりがある場合は、速やかに作品の販売を取り下げ謝罪するようにしましょう。一方で、パクリに心当たりがない場合は、作品が相手の作品に似ているかを確認します。似通う部分が多い場合は、作品の販売を取り下げるのがおすすめです。

ハンドメイド作品を作るときは、著作権だけでなく意匠権や商標権、肖像権にも気を付ける必要があります。作品販売時の紹介文や画像も法律違反に該当する場合があるため、注意しましょう。