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公開日: 2023.05.19
最終更新日: 2023.05.19

ジャケットにおすすめの生地とは?季節別に素材・織り方を紹介

ジャケットにおすすめの生地とは?季節別に素材・織り方を紹介

カジュアルな場からセミフォーマルな場まで、ジャケットはアウターウェアとして幅広く活用されています。ジャケットに主に使われる生地には暖かい季節に向いているものと涼しい季節に向いているものがあるため、ジャケットを作るときには生地の素材や織り方の確認が大切です。

この記事では春・夏と秋・冬のそれぞれの季節に向いた、ジャケットに主に使われる生地の素材や織り方を紹介します。生地選びに悩んでいる方だけでなく、季節に応じたジャケットの選び方に悩んでいる方にもおすすめの記事です。

【春・夏向け】暖かい季節のジャケットにおすすめの素材

春や夏といった暖かい季節に着用するジャケットには、通気性を考慮した素材選びが求められます。また、見た目にも清涼感があり、爽やかな印象を与えるものが好まれる傾向があります。

クールビズ期間中でも、大切なシーンではサマージャケットを着用してしっかりキメたいと思う方も多いでしょう。そのような時に活躍する春・夏用ジャケットにおすすめの素材を3つ紹介します。

リネン

リネンとは麻の一種である亜麻の繊維から作られた生地で、植物繊維の1つです。リネンには以下のような特徴があります。

リネンの主な特徴
  • 繊維がしっかりとしている
  • 通気性と保温性を兼ね備えている
  • 汚れが落ちやすく肌馴染みがよい
  • シワがつきやすい

リネンの繊維は中が空洞で空気が含まれており、汗や湿気を上手に逃がすことができます。リネンのジャケットはサラッとした着心地とカジュアル感が特徴です。

1-2. コットン

コットンとは、ワタ属の種子から採れる繊維をベースに作られた生地のことです。日本語では「綿」や「木綿」とも呼ばれます。

コットンの主な特徴
  • アイロンがけができる
  • 通気性と保温性を兼ね備えている
  • 肌触りがよく柔らかい
  • 縮みやすくシワになりやすい
  • 乾きづらい

ウールなどのジャケット素材と比べると、コットンを使ったジャケットの生地感は若干カジュアル寄りです。ビジネスシーンはもちろんプライベートなシーンでも合わせやすく、自由度の高い着こなしができるでしょう。

ポリエステル

ポリエステルとは、石油を原料として作られるポリエステル樹脂を繊維状に加工したもので、化学繊維・合成繊維に分類されます。非常にメジャーな素材で、世界の衣類の約半数がポリエステル繊維で作られているとも言われています。

ポリエステルの主な特徴
  • シワになりにくい
  • 強度が高く縮みや伸びに強い
  • 天然素材と比べて価格が安い
  • 速乾性が高い
  • 敏感肌の人には向かない

ポリエステルはリネンやコットンといった天然由来繊維と比べて、繊維の組織が硬いのが特徴です。そのためお手入れが簡単で、完成時の綺麗な状態を長期間キープし続けます。また、吸汗速乾素材を使ったジャケットは、汗による不快感を防ぎ、暑い時期でも快適な着用ができます。

暖かい季節のジャケットに向いた織り方

季節に合わせた素材選びも大切ですが、織り方の違いでも着心地が大きく変わってきます。暖かい季節のジャケットには、通気性が良く軽めの仕上がりになる「平織り」が使われます。

平織りの中でも、特にジャケットにおすすめの織り方を2つ紹介します。

トロピカル

トロピカルとは、細い糸を平織りで仕上げた後、表面の羽毛をカットする「クリア仕上げ」を施す工程を経て作られた生地です。「Tropical(熱帯、南国)」の名前は、熱帯地域の人々に向けて制作・輸出する際に使われていた織り方であることに由来しています。

トロピカルの主な特徴
  • 薄手で通気性が高い
  • 仕上がりが軽い
  • 生地は丈夫でハリがある
  • 肌触りが若干ザラっとしている

トロピカルは主に暖かい時期のジャケットやスーツに用いられる織り方です。作業着やショートパンツなどにも多く使われており、汗や湿気を吸収しやすく着心地が良い特徴があります。

シアサッカー

シアサッカーとは、たて糸を強く、よこ糸を弱く織ることで凸凹感を出した生地のことです。生地の名前はペルシャ語の「shīr(ミルク)+shakkar(砂糖)」が語源です。ミルクのように滑らかな部分と、砂糖のようにザラザラとした部分が混在していることから、この呼び方になったと考えられています。日本語では「しじら織り」と呼ばれます。

シアサッカーの主な特徴
  • 独特のシワ感(凹凸)がある
  • シワになりにくく扱いやすい
  • 肌との接地面積が少なくベタつかない

シアサッカーのジャケットはふんわりとエアリーな印象を与え、見た目にも涼しげです。また、縞状の凹凸があるお蔭でシワになりにくいため、アイロンがけのストレスが大幅に軽減されます。

【秋・冬向け】涼しい季節のジャケットにおすすめの素材

秋や冬といった涼しい季節に着用するジャケットには、保温性や防寒性を考慮した素材選びが求められます。ただし、素材によっては着心地が重く、動きづらさを感じるケースがあるため、伸縮性や軽さも重要なポイントです。秋や冬のジャケットには、以下のような素材が向いています。

ウール

ウールとは、主に羊毛を素材とした動物由来の繊維です。繊維1本1本が真っすぐではなくうねうねと曲がっていることに加え、表面がキューティクルのようにうろこ状になっています。これにより、繊維同士が複雑に絡み合い空気の層を作ります。

ウールの主な特徴
  • 伸縮性、弾力性が高い
  • シワになりにくい
  • 保温性が高い
  • 虫がつきやすい
  • 水洗いなど気軽な手入れに向かない

ウールは織り方によっては暖かい季節やオールシーズン向けのジャケットにも使われます。空気を多く含むためふんわりとした厚手の仕上がりになりますが、伸縮性があるため着脱のしやすさも兼ね備えています。

カシミヤ

カシミヤとは、モンゴルやイランに生息するカシミヤ山羊の毛を素材とした動物由来の繊維です。表面の粗毛ではなく、冬の寒さに耐えるために生えてくる柔らかい産毛のみを原料としています。そのため1頭から採れる量が限られた高級な素材です。

カシミヤの主な特徴
  • 軽くて温かい
  • 肌触りが滑らか
  • 光沢感がある
  • 虫が付きやすい
  • 毛玉ができやすい

カシミヤはウールなど他の獣毛と比べて毛1本1本が細く柔らかいため、軽くなめらかな質感が特徴です。お手入れの難しさや耐久性が低い点をカバーするため、ウールなど他の素材と混紡して使われます。

涼しい季節のジャケットに向いた織り方

涼しい季節のジャケットには、織り目の密度が高い「綾織り」が使われています。保温効果に優れた厚めの仕上がりで、表面にツヤが出るのが特徴です。綾織りの中でも、ジャケットにおすすめの織り方を2つ紹介します。

ツイード

ツイードとは、太くて短いウールを紡いでつくられる「紡毛糸(ぼうもうし)」を使って厚手に仕立てた生地の総称です。スコットランド地方で作られていた伝統的な毛織物「tweel(ツイル)」が語源になっています。

ツイードの主な特徴
  • 保温性が高い
  • 生地が厚くて丈夫
  • 起毛が少なく、織り目がはっきりと見える
  • ゴワつきがあり硬めの手触り

使われる糸が太いことに加えて織り目が見えやすいため、織り方で柄を表現できます。ヘリンボーン柄と呼ばれる魚の骨のようなデザインやチェック柄などが定番で、高級感があることからフォーマルなジャケットにも向いています。

フランネル

フランネルとは、ウールを主な原料とし、生地表面に起毛処理や摩擦加工を施しながら仕立てた生地です。イギリスのウェールズ地域の伝統的な毛織物「flannel」が語源です。

フランネルの主な特徴
  • 保温性が高い
  • 繊維の毛羽立ちが強い
  • 柔らかく肌触りがよい
  • 毛玉ができやすくホコリを引き寄せやすい

もともと保温性の高いウールに対し、さらに表面が毛羽立つよう加工することで、繊維の厚みが増して熱がより逃げにくい構造に仕上げています。また、柔軟性があり、起毛によって光の反射が弱いことから、柔らかい印象を与えるのも特徴です。

まとめ

ジャケットは暖かい時期と涼しい時期で、おすすめの素材や織り方が変わります。

暖かい春・夏向きのジャケットには、清涼感のあるリネンや速乾性のあるポリエステルなどの素材がおすすめです。また、暖かい時期のジャケットにはトロピカルやシアサッカーといった、通気性に優れる平織りの生地が使われます。

涼しい秋・冬向きのジャケットには、カシミヤやウールのような防寒性に優れた素材が利用されます。ツイードやフランネルなどの、保温性が高い綾織りの生地は、涼しい時期におすすめです。