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公開日: 2021.09.15
最終更新日: 2022.04.13

【刺繍の種類】基本のステッチ7つ・世界の刺繍7つを紹介!

【刺繍の種類】基本のステッチ7つ・世界の刺繍7つを紹介!

刺繍はハンカチなどの小物から洋服、テーブルクロスといった日用雑貨、アート作品まで、幅広く楽しまれる手芸品です。ミシンなどでさっと縫うこともできますが、手縫いの優しい風合いや醸し出す温かさ、素朴なかわいらしさを好む人は多くいます。上級者ともなれば、職人並みの豪奢な技物を仕上げる人も珍しくありません。

そこで今回は、刺繍を始めるに当たって押さえておきたい、基本の刺繍ステッチを7種類紹介します。世界の代表的な刺繍も紹介するため、作りたい作品のイメージを膨らませる参考にしてください。

手芸の基本として押さえたい!刺繍ステッチの種類7つ

刺繍ステッチを始める際には、下記のアイテムをそろえましょう。刺繍スターターキットなどでまとめて購入することもおすすめです。

  • 刺繍する布
  • 刺繍針
  • 刺繍糸
  • 糸切りはさみ
  • 刺繍枠
  • 糸通し
  • 指ぬき
  • チャコペン

刺繍ステッチの種類は何百もあるといわれるほど、さまざまな技巧が凝らされた作品が多数あります。しかし、一見複雑に見える図案でも、よく見ると複数の基本ステッチを組み合わせるだけで縫い上げられるデザインは少なくありません。刺繍の作品作りへ取り組む前に、基本のステッチをしっかりと身につけることが大切です。

ここでは、刺繍の基本的なステッチ7種類を紹介します。

ランニングステッチ

ランニングステッチとは、刺繍ステッチの中でも基本となる縫い方です。布を「表・裏・表・裏」と交互に縫うため、点線や破線のような見た目に仕上がります。糸の長さが均一にそろうと美しく仕上がるため、縫い目の間隔を意識しながら練習するとよいでしょう。

ランニングステッチを使った刺繍には、「刺し子」などが代表的です。裁縫では「なみ縫い」「ぐし縫い」と呼ばれ、仮縫いをするときやギャザーを作るときに使われます。

バックステッチ

バックステッチとは、裁縫の「本返し縫い」と同じように、布の表側で針を1目分戻し、裏で2目分縫い進める縫い方です。ミシン縫いのように、糸の間隔が詰まった縫い上がりとなります。

直線や輪郭線を表現する場合や、イニシャルなどの文字を刺繍する際に多用される縫い方です。糸を強く引きすぎず、軽く膨らみを持たせることで美しく仕上がります。

クロスステッチ

クロスステッチとは、布の表で糸が「✕」の形に「クロス」するように、マス目に沿って針を刺す縫い方です。手芸初心者にも取り組みやすく、ロジックパズルのような絵柄に仕上がります。

クロスステッチには、布の折り目を割らないクロスステッチ専用の針や、マス目を数えやすく織られた専用の布を使うケースがほとんどです。全てのマス目で糸が交差する順番をそろえると、クロスステッチが美しく仕上がります。

チェーンステッチ

チェーンステッチとは、一針ごとに糸をくぐらせながら、鎖(チェーン)状に連なった模様を作る縫い方です。細い糸を使うと繊細な線やシャープな印象の線を、太い糸を使うと三つ編みや編み物の表面に似た独特の風合いを表現できます。

直線・曲線・輪郭線以外に、面を埋める際にも利用できる、使用用途の幅広いステッチです。裁縫では「環縫い」と呼ばれ、ジーンズなどの縫い目でよく見られます。

アウトラインステッチ

アウトラインステッチとは、糸を少しずつずらして重ねながら縫い進める縫い方です。二つ編みや縄のような見た目で、太く立体感のある縫い上がりとなります。

「アウトライン」の言葉通り、図案の輪郭線や外枠を引くときに適しており、滑らかな曲線が表現できるステッチです。重ねる糸の幅を少なくすると細く繊細な線を、糸の幅を多くとると太くずんぐりした線を表現できます。

サテンステッチ

サテンステッチとは、糸を平行に縫いつけることで面を塗りつぶすように埋める縫い方です。縫い上がりの表面がサテンのような光沢を出すことから、「サテン」ステッチといいます。

立体感を出しやすく、使用できるモチーフの幅広さが特徴です。糸がよれないように気をつけると、綺麗な仕上がりとなります。また、力加減が緩過ぎると糸が浮いたり、きつ過ぎると布にしわが寄ったりするため、程よい力で糸を引けるように練習しましょう。

ブランケットステッチ

ブランケットステッチとは、布の端をぐるりとかがることで、布の縁から糸がほつれたり綿がこぼれたりする可能性を下げる縫い方です。ブランケット(毛布)の縁かがりによく使われることで、「ブランケット」ステッチと呼ばれます。

刺繍の縁をかがって額縁のような表現に使う他、布を綴じ合わせる際やアップリケを縫いつける際にも使用されるステッチです。ステッチの高さや幅が均一となるように縫うと、綺麗に仕上がります。

手芸好きは知っておきたい!世界の代表的な刺繍の種類7つ

刺繍は古来から世界中で行われており、正確な起源はわかっていません。しかし、少なくとも紀元前のエジプトでは刺繍が行われていた形跡が発見されており、日本でも飛鳥時代には複雑な図案の刺繍が作られていました。

刺繍は長い時間をかけて世界の国ごとに独自の発展を遂げており、各地域によって多用される図案や色柄などに特色があります。民族衣装などで目にしたことがある人も多いでしょう。ここでは、世界でも代表的で人気の高いおすすめの刺繍を7種類紹介します。

【イタリア】プントアンティーコ

イタリアの「プントアンティーコ」は、「古典的なステッチ」という意味を持つ伝統的な刺繍です。クロスステッチのように布の織り糸を数えて、アラビア風のモザイク模様と幾何学模様を組み合わせた図案を刺繍します。

布に穴を開けて縁をかがることでレース編みのような模様が縫い上がり、繊細な仕上がりとなることが特徴です。少なめの色数・落ち着いた色味で刺繍することが多く、図案自体は豪奢かつ精緻でありながらシンプルな印象も与えます。「ドロンワーク」や「ハーダンガー刺繍」の源だともいわれています。

【フランス】フランス刺繍

フランスの「フランス刺繍」は、ヨーロッパ風の刺繍の総称として使われる呼び方です。刺繍する生地や糸、カラーに大きな制約がなく、ビーズやリボンを縫い込む手法もあります。フランス刺繍にはさまざまなステッチが使われており指南書なども多いため、初心者にも挑戦しやすい刺繍です。

昔の絵画にもドレス姿の夫人が刺繍を刺す姿が描かれているように、フランス刺繍はかつての上流階級に生きる女性のたしなみでもありました。日本で「刺繍」というときは、「フランス刺繍」のことを指しているケースが多い傾向です。

【インド】カシミール刺繍

インドの「カシミール刺繍」は、色彩が鮮やかで大ぶりな花や精緻な蔦や葉など、主に植物をモチーフとする刺繍です。極細の針で刺し子する「ニードル刺繍」と特殊なかぎ針を使う「アリ刺繍」に大別されます。

ニードル刺繍は「ソズニ刺繍」とも呼ばれ、「ペイズリー柄」としてもよく知られています。「アリ刺繍」は、チェーンステッチの縫い目となることが特徴です。ビーズやスパンコールを縫い込むと、立体的な作品となります。

【ルーマニア】イーラーショシュ

ルーマニアの「イーラーショシュ」は、トランシルヴァニア西部のカロタセグ地方に暮らす、ハンガリー人が受け継いできた伝統的な刺繍です。現地では女児の誕生とともに刺繍を開始し、長い年月をかけて完成した作品を嫁入り道具としていました。

赤・青・白・黒を基本とした色鮮やかな太い糸、もしくは単色で一つの図案を縫い上げることが特徴です。ごつごつとした立体感と、素朴で力強いデザインに人気があります。

【タイ】ヤオ刺繍

タイの「ヤオ刺繍」は、主にタイの北方に暮らす「ヤオ族(ミャオ族)」が受け継いできた伝統的な刺繍です。「ヤオ刺し」という技法が使用されており、布の縦糸や横糸に対して平行に縫うため、模様を織り込んだような仕上がりとなります。

動物や植物といった自然がモチーフとなっているものの、見た目は幾何学的な模様に映ることが特徴です。近年は他民族との交流が進んだこともあり、クロスステッチを使って鮮やかな図案を刺繍した作品も増えています。

【ハンガリー】カロチャ刺繍

ハンガリーの「カロチャ刺繍」は、ハンガリー南部にあるカロチャ地方の民芸品に多く使われている刺繍です。一般家庭で代々受け継がれてきた歴史があり、主に草花や農作物などの身近な植物をモチーフとし、さまざまな色を使用してカラフルに仕上げます。

刺繍の線部分にアウトラインステッチ、面部分にサテンステッチを多用するため、全体的につややかでふっくらとした印象となる刺繍です。基本のステッチ2種類でできる簡単な図案が多いため、初心者向けとしても取り組みやすく人気があります。

【日本】日本刺繍

日本の「日本刺繍」は、大きめの刺繍台に絹地をぴんと張り、絹糸、金糸・銀糸で図案を描いた日本の伝統的な刺繍です。着物や化粧まわし、日本人形などで目にする機会があります。日本刺繍には非常に多くの技巧が凝らされており、針を両手で扱うことも特徴です。

刺繍するモチーフやステッチの技法に合わせ、自分自身で刺繍糸の色合い・太さ・より具合までを細かく調整することで繊細かつ幅広い表現が楽しめます。独学での技術習得は難易度が高いため、日本刺繍に挑戦したい場合は教室を探すとよいでしょう。

まとめ

刺繍ステッチの種類は数多くありますが、基本のステッチを少し変形させたり組み合わせたりするだけで十分に素敵な作品を作り上げることが可能です。刺繍に必要な道具を用意したら、作りたい図案へ取りかかる前に、まずは基本のステッチを身につけることから始めましょう。

刺繍のステッチは、反復練習がポイントです。一度コツを掴めば、縫い目が綺麗になり針運びのスピードもアップします。何度も繰り返し練習して綺麗な縫い目を習得できたら、世界の刺繍を取り入れたオリジナル作品への挑戦もおすすめです。