ダブルラッセルとは?生地の特徴やメリット・おすすめの用途を解説
手芸で日用品やスポーツウェア、エコバックなどを作るときにおすすめしたい生地が「ダブルラッセル」です。聞き馴染みのない方もいるかもしれませんが、ダブルラッセルは厚めの生地でクッション性も高く、さまざまな用途に使用されています。
当記事では、ダブルラッセルの特徴とともにラッセル編みの種類や使用用途を詳しく解説します。手芸をする際、作品に合った生地を使用したいと思っている方は、ぜひ当記事を参考にしてください。
目次1
ダブルラッセルとは?
ダブルラッセルはラッセル編みの一種で、ざっくりと編み目が開いて見える編み方です。ラッセル編み機で表地と裏地を同時に編む手法で作られるため、厚みがあります。伸縮性は高くありませんが、その分形状安定性があり型崩れしにくい素材です。ポリエステルやナイロンなどの化学繊維を使えば、クッション性の高い厚手の生地を作れます。汎用性が高く、寝具やインテリアの素材にも使われています。
最近ではジャケットなど、ファッション分野でも活用されており、手芸ショップでも取り扱いが増えつつある素材です。ダブルラッセルがどのような特徴を持っているのか、詳しく解説しましょう。
ラッセル編みの特徴
ラッセル編みとは、ラッセル編み機と呼ばれる機械で作られるニット生地の総称です。編み目を縦方向に連なる形でつくる「経編み」と呼ばれる技法を用いた編み方で、繊細な模様の入った薄手のレースから厚地の生地まで作れます。
ラッセル編み機は複雑なレース模様も高速で編むことができ、編み目が美しく際立ったデザインに仕上がります。ラッセルレースは繊細ながらも丈夫なため、ウェディングドレスやカーテンなどさまざまなレース生地に利用されている生地です。
ラッセル編みの種類
ラッセル編みには、シングルラッセルとダブルラッセルと呼ばれる2種類の編み方があります。ニードルベッドと呼ばれる、編地を作るパーツが1列に並んだ編み機で作られる生地がシングルラッセルです。対してダブルラッセルは、ニードルベッドが2列備え付けられており、表面と裏面、表裏の結合部の3層の立体構造からなる生地です。立体感と厚みのある生地に仕上がることが特徴です。
ダブルラッセルは、カットの仕方でさらに2種類の生地に分類されます。3層構造のまま生地として用いるスペーサーと、3層構造を2枚にスライスして有毛生地に仕立てるセンターカットです。スペーサーは編み目の目立つ通気性に優れた生地となり、センターカットは美しく均一なベロア風の毛並みを思わせる生地としてセーターなどに使われます。
メッシュとの違い
メッシュも網目状の隙間を作る編み方の1つで、通気性に優れている点はダブルラッセルと同じです。ただしメッシュ生地は軽量さと通気性を重視した用途に用いられ、ダブルラッセルのように厚手の生地にすることはほとんどありません。メッシュはスポーツウェアやイスの布地などにもよく使われています。
メッシュが1枚で使われることの多い素材であるのに対し、ダブルラッセルは最初から3層構造をした厚手の生地です。メッシュよりも複雑な見た目で機能性が高いため、ダブルラッセルは高級感のある素材として使われます。メッシュ構造をダブルラッセルのように3層構造にして、クッション性と通気性を高めた生地は「メッシュラッセル」や「ダブルラッセルメッシュ生地」と呼びます。
ダブルラッセルの素材
ダブルラッセルに用いられる素材は、合成繊維のポリエステルです。ポリエステル素材はシワになりにくく、アイロンをかける必要がほとんどありません。速乾性にも優れていてスポーツウェアと相性のいい素材です。滑り止めや防菌防臭などの加工もしやすく、アイデア次第でさまざまな使い道があります。
通気性が高く、軽くて丈夫なため、衣類のほかバッグやリュックの裏面やショルダー部分にも使われています。加工も簡単なうえに洗濯時にも縮まないので、型崩れしにくいダブルラッセル生地に仕立てるのに最適な素材と言えるでしょう。価格が安いのもポイントです。
ダブルラッセルのメリット
ダブルラッセルは蒸れにくいことがメリットです。またその厚みやクッション性から、アウトドア用品や医療用品に求められる安全性と扱いやすさが両立できます。
ここではダブルラッセルの生地の使用にどのようなメリットがあるのかを、特徴とともに解説しましょう。
通気性が高い
ダブルラッセルは編み目が大きく通気性が高いことが特徴の1つであり、服に使用すれば体がべたつきや、体温が奪われてしまうのを防ぐ効果があります。蒸れてあせもができたり、体に熱が籠もったりする心配もありません。体が密着するシートや、スポーツ用品と相性のいい素材と言えるでしょう。蒸れが気になる靴にも、ダブルラッセルの生地が使われていることがあります。
しかし通気性を保ちつつ、同時に厚みのある生地にもできるため保温性には優れています。最近ではこの特徴を生かし、ジャケットなどにもダブルラッセルが使われるようになりました。
軽い
編み目が詰まっておらず、生地の重量が軽いことも特徴としてあげられます。ポリエステル自体も軽量性に優れた素材で、ダブルラッセルも厚みを出しつつも軽く仕上がる素材です。身動きしやすく体のパフォーマンスを損なわないため、服やシューズとして活躍します。可能なかぎり軽量化したいリュックなどのアウトドア用品のパーツとしても最適です。
軽くて持ち運びにも便利なため、ポータブルな防寒着として機能性の高いアウターを仕上げることもできます。
クッション性がある
ダブルラッセルの生地は3層構造になっており、厚みを生かしてクッション性のある生地に仕立てられます。シートに使った時に長時間体を預けていても痛くなりにくいのは、このクッション性のおかげです。
また、シューズやリュックの背面にクッション材として使うと、長時間活動していても体への負担が軽くなり、疲労が溜まりにくくなります。ポリエステル製のダブルラッセルは耐久性もあるため、柔らかさが長持ちします。
ダブルラッセルの用途
ダブルラッセルの生地は、特徴を生かして、主に以下のような用途で使われています。
スポーツ用品 |
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通気性とクッション性により蒸れを防ぎ、体への負担を軽減できることから、スポーツ用品によく使われる素材です。帽子やシューズやインソールなどがその代表格と言えるでしょう。軽いため、アウターに使用されていることもあります。 軽くて邪魔にならず、ウェアの上から着ていても運動ができて便利です。リュックの背面など、体と触れて蒸れやすい部分にも使われています。 |
日用品 |
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最近では、エコバッグやポーチなどにもダブルラッセル生地が用いられています。軽くて丈夫、さらにクッション性も高いため、卵や果物などを運ぶのにうってつけの生地と言えるでしょう。プリント生地よりも無地のものが多いですが、ポップなカラーの商品も多くさまざまなテイストの製品に活用されています。 抗菌加工がしやすいことから、汗をかきやすい赤ちゃんの肌に触れるベビーカーのシートや車椅子、マットなどの医療器具にも使われています。また、ハンモックやタープなど、アウトドア用品とも相性のいい素材です。 抜群の通気性を生かして、マスクにも使われています。ダブルラッセルのマスクは、ダブルガーゼで作られたものより息苦しさを感じません。洗濯にも強く速乾性にも優れているので、毎日洗って繰り返し使うのにも便利です。 |
まとめ
ダブルラッセルとは、縦方向に連なる形の編み目を作るラッセル編みのうち、表地と裏地を同時に編む手法で作られた生地です。型崩れしにくく、クッション性があるのが特徴です。
ポリエステルやナイロンなどの化学繊維で編まれていることが多く、通気性が高く軽いというメリットもあります。
特徴を生かし、スポーツウェアやエッコバック、ポーチ、マスクなどさまざまな日用品に使用されます。軽くて丈夫な作品を作りたいときは、ダブルラッセルを活用するとよいでしょう。