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公開日: 2024.05.28
最終更新日: 2024.05.28

千鳥がけの縫い方|千鳥がけの基本情報・コツ・他のまつり縫いの種類

千鳥がけの縫い方|千鳥がけの基本情報・コツ・他のまつり縫いの種類

千鳥がけとは手縫いのまつり縫いの一種であり、裏面で糸を交差させたジグザグの縫い目が特徴です。強度がありロックミシンの代わりにほつれ止めに使うこともできます。縫い目がアクセントとなる千鳥がけに挑戦したいものの、やり方が分からない・難しそうで挑戦するか悩んでいるという方もいるでしょう。

この記事では千鳥がけの用途などの基本情報を踏まえ、縫い方やコツを詳しく解説します。千鳥がけ以外のまつり縫いの種類にも触れるため、ぜひお役立てください。

そもそも千鳥がけとは?

千鳥がけとは、手縫いの手法の1つです。糸を交差させる縫い方で、ジグザグな縫い目が特徴です。縫い目が千鳥の足どりに似ていることから、「千鳥がけ」の他、「千鳥ぐけ」「千鳥縫い」と呼ばれています。

まつり縫いの中でも、表面に縫い糸が目立ちにくい点がメリットです。ただし、他のまつり縫いと千鳥がけは、縫い進める方向がそれぞれ異なります。

千鳥がけは、糸を交差させて縫い進めるため、布地をしっかり固定できます。手間はかかるものの、覚えておくと手芸やハンドメイド作品の製作に役立つ縫い方です。

千鳥がけの用途

千鳥がけの主な用途は、下記の通りです。

  • ズボンやスカートの裾上げ
  • 洋服の袖丈詰め
  • ファスナーの縫い付け
  • ほつれ止め
  • 飾り縫い

表面に縫い目が目立ちにくいメリットを生かして、裾上げや袖丈詰め、ファスナーの縫い付けなどに用いられます。デニム生地の裾上げや、ずれやすい生地への縫い付けも可能です。

強度があるため、ロックミシンの代わりとしてほつれ止めをすることもできます。また、ジグザグ模様が表に出るように縫うことで、布地のアクセントにもなります。アイディア次第でさまざまな楽しみ方ができる縫い方です。

千鳥がけの縫い方

千鳥がけは、通常の縫い方に比べて手順が多い縫い方です。裁縫初心者には難しそうに見える縫い方ではあるものの、何度か練習するうちに感覚をつかめるようになります。

まずは針の運び方や生地のすくい方を確認しつつ、ゆっくり縫い進めましょう。

千鳥がけの具体的な手順は、下記の通りです。

1縫い始め
布地の左端から縫い始めます。折り山の約5ミリ下の位置を目安に、玉結びが隠れるように内側から針を出しましょう。
2表地をすくう
針を出した場所から右約5ミリ先にある折り山のすぐ上の表地をすくいます。すくう表地は、織り糸2本が目安です。右から左へと糸をすくって針を運びましょう。生地をすくいすぎると、表面の縫い目が大きくなるため注意が必要です。
3縫い代の生地をすくう
針を出した位置から右5ミリ・折り山の下5ミリの位置で縫い代の生地をすくいます。すくうのは、縫い代側の生地1枚だけです。長い針を使うと、仕上がり線をそろえやすくなります。
4繰り返す
(2)(3)の手順を繰り返します。裏面にはジグザグな縫い目が並び、表面には小さな縫い目が点々とまっすぐに並んでいればOKです。縫い目をきれいに仕上げるために、等間隔で生地をすくいましょう。
5縫い終わり
縫い終わりは、表地を少しすくって玉止めをします。表地と縫い代の生地の間に針を入れて、縫い代の生地の適当な場所に糸を引き抜くと、きれいに糸始末ができます。

表面の生地をすくった縫い目をできるだけ目立たなくしたい場合は、生地と同じ色の糸を使いましょう。

裾上げの場合は、約1~2cm織り上げてマチ針やしつけ縫いで固定しておきます。薄手の生地は、三つ折にするときれいに仕上がります。

千鳥がけでファスナーを取り付ける場合は、ファスナーがずれないようにマチ針で固定しておきましょう。表地のすくい方が足りないとファスナーが取れやすくなるため、糸が目立たない程度にしっかりとすくって縫い付ける必要があります。

千鳥がけのコツ

千鳥がけは、針の動かし方や縫い目のバランスを意識することで、表地と縫い代の生地どちらもきれいに仕上がります。千鳥がけを使った裁縫や作品作りをしたい方は、縫い方のコツをマスターしましょう。

千鳥がけをマスターするために押さえておきたいコツを3つ紹介します。

針運びが逆であることを意識する

千鳥がけでは、針運びが一般的な縫い方と逆であることを意識しましょう。

右利きの方の場合、通常の針運びの方向は右から左です。しかし、千鳥がけは針運びが逆のため、左から右の方向に縫い進めます。

左利きの方は、右から左に縫い進めます。布地の右端から縫い始め、最後は左端で玉止めをして完成です。方向を間違えるときれいな仕上がりにならない場合があるため注意しましょう。

縫い目を均等にクロスさせる

千鳥がけは、縫い目が均等になるほど装飾的に美しい仕上がりになります。

裾上げなど表面に響きにくい用途の場合は、縫い目が均等でなくても大きな支障はありません。しかし、布地のアクセントに千鳥がけを使う場合は、縫い目が不揃いにならないように均等にクロスさせることが大切です。

とはいえ、千鳥がけに慣れていない状態で縫い目を均等にするのは難しいと言えます。まずは、裏側にチャコペンで印を付けて、生地をすくう場所を明確にしましょう。

何度か繰り返すうちに、チャコペンなしでも感覚で均等に縫えるようになります。

糸を強く引っ張りすぎない

きれいな千鳥がけを目指すには、糸の引っ張り具合が重要です。

糸を強く引っ張りすぎてしまうと、生地が引きつれてシワの原因になります。縫い進めながら、糸が張りすぎていないか確認すると失敗を防げます。

また、糸を引っ張る力が弱すぎると、緩みが出て見た目が悪くなるため注意しましょう。優しく引くぐらいの感覚で縫い進めることがポイントです。

千鳥がけ以外のまつり縫いの種類

裾上げやファスナーの取り付けは、千鳥がけ以外の方法でもきれいに仕上げることができます。

千鳥がけ以外のまつり縫いの種類は、下記の通りです。

ななめまつりななめの縫い目が並ぶ手縫いのやり方です。「流しまつり縫い」とも呼ばれ、ズボンやスカートなどの裾上げに用いられます。裾上げの場合は、1~2cmの縫い幅が目安です。
奥まつり表地と縫い代の生地どちらにも縫い目が目立たない縫い方です。ズボンやスカートの裾上げに適しています。糸が引きつれたりたるんだりしないように、適度な強さで糸を引きましょう。
たてまつり表地は縦の縫い目、裏側はななめの縫い目に仕上がる縫い方です。ワッペンやアップリケ、ゼッケンなどの縫い付けに用いられます。カラフルな色の糸で布地のアクセントにするのもおすすめです。
コの字まつり返し口を閉じたり穴が開いた洋服を直したりする場合に用いられる縫い方です。2つの折り山に交互に針を通して縫います。糸の引っ張り具合が弱いと、2つの折り山に隙間ができるため注意しましょう。

まつり縫いの種類によって縫い目の出方は異なります。用途に合わせて縫い方を選びましょう。

まつり縫いは、手縫い以外に家庭用ミシンを使って縫うこともできます。ミシンでまつり縫いをする場合は、「まつり縫い押さえ(ブラインドステッチ押え)」という専用の押さえがあるかどうか確認しましょう。

まつり縫い押さえがあれば、ミシンにセットしてスピーディーかつ均等にまつり縫いができます。

まとめ

千鳥がけは、他のまつり縫いよりも工程が多く、難しそうな印象を抱かれることも少なくありません。しかし、やり方を覚え、丁寧に縫い進めれば成功させることは難しくないでしょう。千鳥がけを行う際は、縫い目が逆になることを意識するほか、均等にクロスさせる・糸の張り具合に注意することなどがコツとなります。

なお、千鳥がけ以外にもまつり縫いの手法ははあるため、縫い目の出方などを考え、用途に合った方法を選ぶことが大切です。