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公開日: 2022.11.28
最終更新日: 2022.11.28

ロックミシンとは?家庭用ミシンとの違いや種類・選び方を解説

ロックミシンとは?家庭用ミシンとの違いや種類・選び方を解説

ロックミシンは生地の端が綺麗に縫え、伸縮性のあるニットなどの生地の縫い合わせに特化しているミシンです。ロックミシンにはオーバーロックミシンとカバーステッチミシン、複合機の3種類があり、できることと価格の相場がそれぞれ異なります。ロックミシンを購入する際は、自分の作りたい作品にはどのような機能が必要か調べることが大事です。

当記事では、ロックミシンの特徴と種類、選び方について解説します。ロックミシンの購入を検討している方は、ロックミシン選びにぜひお役立てください。

ロックミシンとは?家庭用ミシンと違いを解説

ロックミシンとは、生地の裁ち目をかがり縫いするためのミシンです。Tシャツやニットなど伸縮性のある生地も裁ち目をかがり縫いで、ほつれないように美しく仕上げられます。

商品として販売されている衣料品のように本格的な仕上がりを求める場合は、ロックミシンを利用するのがおすすめです。ミシンとロックミシンではできることが異なるので、ソーイングの幅を広げたい方は両方を揃えるのがよいでしょう。

かがり縫いとは?

かがり縫いとは、裁断した生地の端がほつれないように始末する縫い方のことです。かがり縫いは複数種類あり、ロックミシンを使用する方法のほかに手縫いで行える縫い方もあります。

主なかがり縫いの種類と特徴は、下記の通りです。

かがり縫いの種類特徴
裁ち目かがり縫い代を切り落としながら、かがり縫いする方法。ロックミシンで行う。
ジグザグ縫い縫い代の端をジグザグ状に縫う方法。ミシンで行う。
端ミシンほつれにくい生地の端を5mm程度折り、表面からキワの部分を直線に縫う方法。ミシンで行う。
捨てミシンほつれやすい生地(目が粗いウールなど)の縫い代の端を、直線に縫う方法。ミシンで行う。
巻きかがり2枚の生地を合わせ、糸を巻き付けるように端を縫う方法。手縫いで行う。
ブランケットステッチブランケットの端を処理するときの縫い方。糸が生地の端を縁取るように縫う方法。手縫いで行う。

それぞれ仕上がりが異なり、用途に合わせて縫い方を使い分けます。ほかの縫い方と異なり、ロックミシンのかがり縫いは、生地の端をメスと呼ばれる部品で切り落としながら縫うので美しく仕上がります。

ロックミシンでできること

ロックミシンとミシンの違いは、構造上、対応できる縫い目の種類が異なることです。ロックミシンでできることは裁ち目かがりや、ニットの縫い合わせ、巻きロックがあげられます。

ロックミシンの特性を利用すれば、帆布のバッグが作れます。帆布は丈夫な一方で、ほつれやすい生地です。ロックミシンであれば裁ち目かがりで帆布のマチや端を美しく仕上げられる上、本縫いも同時に行えます。

伸縮性のある生地でスパッツやTシャツ、ニットなどの衣料品を作ったり、サイズが合わない既製品をリメイクしたりもできます。スカーフなど薄手の生地も処理しやすいので、ロックミシンはハンカチの作成やフリルの飾り縫いにもおすすめです。

ロックミシンでできないこと

ロックミシンはかがり縫いに特化しているため、ミシンとは活用できるシーンが異なります。以下は、ロックミシンでできないことです。

  • 伸縮性がない生地の縫い合わせ
  • 直線縫い
  • ステッチ

伸縮性がない生地を縫い合わせたり、直線縫いをしたりする場合は、ミシンを使用するか手縫いします。ロックミシンは生地の端を切り落としながらかがり縫いするため、生地の中央にステッチを入れられません。

ロックミシンのできること・できないことを理解した上で、作業内容に応じて使い分けましょう。

ロックミシンの種類

ロックミシンはオーバーロックミシン、カバーステッチミシン、複合機の3種類に分けられます。ロックミシンを購入するときは、種類の選び間違いに注意してください。

各ロックミシンの特徴は、下記の通りです。

オーバーロックミシンカバーステッチミシン複合機
対応できる縫い方ロック始末(かがり縫い・巻きロックなど)カバーステッチ通常のロック始末もカバーステッチもできる
メリット既製品のようなロック始末ができる既製品のような仕上がりにできる1台で2役こなせる
デメリット生地の中央を縫えない通常のかがり縫いができない価格が高い

一般的にロックミシンと言うと、オーバーロックミシンのことを指しています。作りたい作品にかがり縫いが必要な方や、伸縮性のある生地で衣料品などを作りたい方は、まずオーバーロックミシンの購入を検討しましょう。

カバーステッチミシンは、オーバーロックミシンにはできない「生地の中央を縫える」ことが特徴です。オーバーロックミシンでは対応できない機能を補ってくれます。既製品のような仕上がりを求める場合は、オーバーロックミシンとの2台持ちが欠かせません。

複合機は、オーバーロックミシンとカバーステッチミシンの機能を有するロックミシンです。2種類のロックミシンを購入する必要がないので、置き場に困らないメリットがあります。ただ高額モデルが多い点に注意しましょう。

ロックミシンの選び方

ロックミシンを購入するときはメーカーごとの特性に加えて、縫い目の種類や機能性、価格も考慮して選びましょう。

ロックミシンは、オーバーロックミシンとカバーステッチミシンの特性を有する複合機の存在もあり、価格帯が広い商品です。まず用途と予算を決めてから購入するロックミシンを絞り込むと、選びやすくなります。

最後に、ロックミシンを購入するときに重視すべきポイントを3つ紹介します。

用途に合った針と糸の本数を選ぶ

ロックミシンは、針と糸の本数によってできることが変わります。何を作るのかが決まっている場合は、その用途に合った針と必要な分の糸が必要になります。

主な針と糸の本数や、それぞれに適した用途は、下記の通りです。

  • 1本針2本糸:2本糸のかがり縫いのみ
  • 1本針3本糸:2~3本糸の縁かがり縫い、3本糸の巻きロック
  • 2本針4本糸:2~3本糸の縁かがり縫い、3~4本糸の巻きロック

ロックミシンでは、2枚の生地をしっかり縫い合わせられる2本針4本糸が人気です。1本針はシャツなど伸びない生地に適し、ニット生地を縫う場合は2本針4本糸が最適です。2本針4本糸のロックミシンは針を1本抜くと1本針としても使えます。

伸縮性のある生地を取り扱う場合は、薄手であれば1本針3本糸が、厚手も縫うのであれば2本針4本糸が適切です。

付属機能を確認する

ロックミシンは糸コマへのネット掛けや糸通しなど、準備に手間がかかります。そのため、針糸の準備やソーイングを助ける機能が搭載されたロックミシンも販売されています。

主な付属機能は、下記の4つです。

  • 自動糸通し機能(自動針穴糸通し)
    ミシン針に自動で糸通ししてくれる機能です。レバーを上げ下げするのみで、複数本ある針でもストレスなく針穴に糸通しできます。
  • 自動糸掛け機能(自動ルーパー糸通し)
    所定の位置に糸を数センチ差し込み、ボタンを押すと、自動で糸掛けを行ってくれる機能です。複雑な手順に沿って糸掛けする必要がなく、準備時間を短縮したい上級者にもおすすめです。
  • 自動糸調子調節機能
    上糸と下糸の調子を自動で調節してくれる機能です。均等の取れた縫い目となるよう、糸を調節してくれます。
  • 差動送り機能
    針の前と後で送り歯の動きを変えられる機能のことです。伸縮性のある生地が変形しないよう、状態に合わせて縮み縫いや伸ばし縫いができます。

予算で決める

機種やメーカーの好みがない場合は、予算で決める選び方もあります。ある程度用途が決まっていれば、針や糸の本数、機能、使いやすさで絞り込み、予算で最終的な候補を選ぶとよいでしょう。

下記は、ロックミシンの糸と針の本数に応じた価格の相場です。

  • 1本針2本糸:約2万~約3万円
  • 1本針3本糸:約3万~約10万円
  • 2本針4本糸:約3万~約20万円

上記の通り、スタンダードなオーバーロックミシンは3万〜4万円程度で購入できます。複合機など高機能なモデルは価格が高くなる傾向にあるので、慎重に比較検討することが重要です。

まとめ

ロックミシンとは、かがり縫いに特化したミシンです。Tシャツやニットなど伸縮性のある生地の端も、かがり縫いで美しく仕上げられます。ただ、ロックミシンは生地を切り落としながら縫うので、ミシンと異なり直線縫いや生地の中央は縫えません。

ロックミシンには、オーバーロックミシンとカバーステッチミシンがあります。2つのミシンの機能を1台でこなせる複合機は、高機能であるため価格も高額です。

ロックミシンは、作りたい作品に必要な針と糸の本数で選びましょう。用途が決まったら、付属の機能と予算で決めるのがおすすめです。