オックス生地とは?特徴から種類とメリット・デメリットまで
オックス生地は手芸店でよく見かける生地ですが、具体的にどのような作品が作れるのか疑問に思う人もいるのではないでしょうか。肌触りや通気性が良いことで知られ、シワになりにくい点もオックス生地の特徴です。
当記事では、オックス生地の特徴や用途、メリットやデメリットを解説します。オックス生地を使って作品を作るときのポイントについても紹介するため、ぜひハンドメイド活動に生かしてください。
目次1
オックス生地とは?
オックス生地とは、タテとヨコに糸を2本ずつ引き揃える、もしくはタテ2本とヨコ1本を引き揃えて編んだ平織りの生地です。この数本の糸を束ねて平織りする織り方は斜子織り(ななこおり)とも呼ばれます。
オックス生地の「オックス」は、「オックスフォード」の略で、イギリスの名門大学であるオックスフォード大学が由来です。
生地ブランドの「トーマスメイソン」が、由緒正しきオックスフォード大学の学生に愛される生地を作ろうと考え、販売したことが始まりとされています。トーマスメイソンは、オックスフォード生地だけでなく、「ケンブリッジ」「エール」「ハーバード」という名門大学の名前をつけた生地も作りましたが、その中で現在も人気の生地として定着しているものがオックスフォード生地になります。
オックス生地は、シャツの素材として使われることが多いです。オックスフォードシャツは、肌への刺激が少ない綿(コットン)100%のものが主流で、他の繊維と混紡されることはほとんどありません。
オックス生地の特徴
オックス生地の特徴は、肌触りと通気性が良いことです。通常の平織り生地がタテ糸とヨコ糸を1本ずつ交互に織るのに対し、オックス生地は2本ずつ織っているため隙間が多くなり、通気性が良くなります。ゆえに春夏に着用するシャツに使われることが多いです。
また、糸を束ねているため生地がやや厚手でしっかりしており、シワになりにくいのも特徴です。さらに、カジュアルなシャツの場合、多少のシワは味になるため、アイロンをかけずにそのまま着用できる点も大きなメリットでしょう。
オックス生地のシャツと一口に言っても、使用する糸の太さによって印象がガラリと変わるため、カジュアルからフォーマルまで、どのようなシーンにでも対応できる多様な風合いを持っています。
オックス生地はシャツだけでなく、ブラウスやワンピース、巾着やポーチといった小物など幅広いアイテムに使用できることも魅力です。
オックス生地の種類4つ
オックス生地は、使用する糸の太さで以下の4種類に分かれます。
- オックスフォード
- ヘビーオックス
- ピンポイントオックス
- ロイヤルオックス
それぞれの特徴をまとめたものが、以下の表です。オックス生地はシャツに使われることが多いため、それぞれの生地で作ったシャツがどのようなシーンで使われるのかという点についても解説しています。
使われる糸 | シャツの用途 | |
---|---|---|
オックスフォード | およそ20~40番手 | カジュアル |
ヘビーオックス | およそ10~40番手 | カジュアル |
ピンポイントオックス | およそ80~100番手 | ビジネス |
ロイヤルオックス | およそ100~140番手 | ビジネス |
※糸の太さは番手の数字が大きいほど細く、小さいほど太くなります
細めの糸で織られるピンポイントオックスとロイヤルオックスは、通常のオックスフォードより柔らかく、光沢感が増した仕上がりです。そのためフォーマルな印象となり、ビジネス用のシャツとしてよく着用されています。
オックス生地と「シャンブレー」の違い
オックス生地と似た生地に「シャンブレー」があります。シャンブレーは霜降り状の色ムラがあり、オックス生地と同様に平織りで編まれているため、丈夫で軽い点が特徴です。玉虫色のような光沢があり、上品でありながらどこか華やかな印象を与える生地です。
オックス生地とシャンブレーは主に使用する糸と織り方の点で異なります。シャンブレーはタテ糸に色糸、ヨコ糸に白糸を使う生地ですが、まれにタテヨコともに色糸が使われることもあります。一方、オックス生地は使われる糸の色が特に決まっていません。
また、シャンブレーはタテ糸・ヨコ糸ともに1本ずつの糸を平織りした生地ですが、オックス生地は数本の糸を束ねて平織りした生地です。
さらに、オックス生地は綿100%のものが多くを占めますが、シャンブレーは綿だけでなく麻100%やポリエステル100%のものもあります。通気性はどちらも優れていますが、オックス生地のほうがより通気性が高くなります。
オックス生地の用途
オックス生地は、シャツやスカートなどの洋服作りに最適です。綿100%のオックス生地は吸水性が高く、汗を吸い取ってくれるため普段着はもちろん、特にワンピースや浴衣を作るときにおすすめです。大人向けの服だけでなく、ベビー服や子ども服にも使えます。
また、オックス生地は丈夫で繰り返しの洗濯にも耐えられるため、体操着やコップを入れる巾着、ランチョンマットなどの子どもの入園・入学グッズ作りにも重宝します。
もし、通園バッグなどのバッグ類を作る時は、重いものを入れても耐えられるよう、内布をつけたり接着芯を貼ったりしてより頑丈にすることがおすすめです。場合によっては、バッグ作りにはオックス生地でなく帆布(はんぷ)やキルトなど、より厚手の生地を選びましょう。
オックス生地は洋服や巾着、バッグ以外にも、クッションカバーなどのインテリア用品からテーブルクロスなどのキッチンアイテムまで、さまざまなものが作れるオールマイティな生地です。余ったハギレは、コースターや2枚仕立てでポーチやペンケースなどの布小物も作るのもおすすめです。
オックス生地のメリット・デメリット!
ここでは、オックス生地をハンドメイドで使うときのメリットとデメリットを紹介します。
【メリット】
- 初心者でも扱いやすい
- 比較的価格が安い
- カラーや柄のバリエーションが豊富
オックス生地のメリットは手芸初心者でも扱いやすい点です。しっかりしている生地のため、家庭用ミシンで縫いやすく、アイロンでしっかり折り目をつけられます。
また、手芸用品店での取り扱いも多いため、たくさんの生地の中から好みのものを選ぶことができます。価格も安く、もし失敗してもやり直ししやすい点もメリットです。
さらに、オックス生地はカラー展開が豊富な点も魅力です。柄も無地だけではなく、キャラクター柄などの生地も多く販売されているため、女の子でも男の子でも気に入るものが見つかるでしょう。
【デメリット】
- 縫い代が重なると縫いにくい
- 伸縮性があまりない
- 何度か洗濯しないと固めである
オックス生地はしっかりしているため、布地が重なり厚みが出るとミシンで縫いにくくなる点がデメリットです。ギャザーなど縫い代が重なるデザインの服については、オックス生地は避けたほうが良いでしょう。
また、伸縮性に富む素材ではないため、子ども用のタイトな服に使うと動きにくくなってしまう点にも注意が必要です。オックス生地で子ども服を作るなら、ゆとりのあるデザインのものがおすすめです。
オックス生地は洗濯を繰り返すうちに次第に柔らかくなるため、固さについてはそこまで心配する必要はありません。
オックス生地を使用するときのポイント・注意点とは?
オックス生地を使ってハンドメイド作品を作るときのポイントや注意点を2つ紹介します。
・脱水時間を短くする
まずは洗濯表示を確認します。洗濯機で洗えるものは、裏返しにしてネットに入れて洗いましょう。洗濯機で洗えないものや、縮ませたくない場合はクリーニングに出すのがおすすめです。
オックス生地製品を洗濯するときのポイントは、なるべく脱水時間を短くすることです。脱水しすぎたオックスシャツはシワがつきやすくなり、アイロンをかける必要性が出てきます。オックス生地は乾燥が早く、生乾きにはなりにくいため、短い時間で脱水しましょう。
・水通しを行う
水通しとは、作品を作る前に、一回生地を水につけてから乾かす作業です。オックス生地は綿100%のため、最初の洗濯で少し縮んでしまうことがあります。水通しであらかじめ生地を収縮させておけば、作品の完成後の洗濯で縮んでしまうことを避けられます。
また、水通しは色落ちを防げたり、生地のゆがみを直したりする効果もあります。衣類など洗濯して使うものは、水通しをしてから製作に入ったほうがより良い作品を作れるでしょう。
まとめ
オックス生地は通気性と肌触りが良い生地で、オックスフォードシャツで有名です。繰り返しの洗濯にも耐えられるうえ使い勝手が良いため、シャツやワンピースなどの衣服から入園・入学グッズまでハンドメイド作品に幅広く使われます。
オックス生地をソーイングに使うときは、事前に水通ししてから製作に入ると良いでしょう。
オックス生地は色や柄の種類が豊富で、手芸用品店は多くの商品を取り揃えています。ユザワヤなら店舗だけでなく、オンラインショップでも品揃えが豊富なため、好みに合う生地が見つかるでしょう。
参考:ユザワヤ