ハンドメイド作品の販売で住所を知られたくない場合の対処法を解説!
ハンドメイド作品をネットショップで販売するためには、住所の公開が法律で義務づけられています。住所を公開することで購入者からの信頼を獲得でき、売上アップに繋がるメリットもあります。
しかし、トラブル回避や防犯上の観点から、ネットショップの運営で自宅の住所を公開することに抵抗がある人も多いでしょう。当記事では、住所を公開するメリットや、自宅住所を知られずにハンドメイド作品を販売する方法を解説します。安心してハンドメイド作品を販売するための参考にしてください。
目次1
ハンドメイドの販売者は架空の住所で商品を発送できる?
ハンドメイド作品をネットショップで販売する場合、取引と関係のない架空の住所を発送に利用することはできません。
通販では特定商取引法が適用され、活動の拠点となる住所をネットショップに必ず記載する必要があるためです。虚偽の住所を記載したり、記載そのものを怠ったりすると、ルール違反として行政処分を受ける可能性もあります。
出典:消費者庁「特定商取引法」
ここでは、架空の住所でハンドメイド作品を発送できない理由について詳しく解説します。
架空の住所で商品を発送できない理由
ネットショップでは現に活動している住所を連絡先として記載する必要があるため、架空の住所で商品を発送することはできません。法人にかぎらず、個人事業主(フリーランス)が個人運営している場合も記載が必要です。
住所を記載しなければならない根拠は、特定商取引法という法律にあります。特定商取引法は、消費者を守ることを目的とした法律であり、次のような項目を明記するよう義務づけています。
- 事業者の名前
- 事業者の住所
- 事業者の電話番号
- 販売価格
- 代金の支払い時期
- 送料
- 納期
- 返品に関する規定
など
住所や電話番号を記載する目的は、トラブル発生時や問い合わせの際に、消費者が事業者へ確実に連絡できるようにするためです。虚偽の内容を記載することは禁止されています。
例外として、ネットショップに住所や電話番号を記載しなくてよい場合もあります。本来記載すべき事項をメールなどで遅滞なく回答できる場合、その説明を表示した上で事業者の住所や電話番号の表示を省略可能です。
さらに、消費者からの問い合わせに対応が可能であるという要件を満たすことで、次のような活動拠点の住所や電話番号を使用できます。
- 通販取引の場を提供する事業者
- バーチャルオフィス
これらの住所や電話番号は、実際に連絡が取れる営業の拠点とみなされます。自宅の住所や電話番号とは異なりますが、架空の住所として扱われる心配は無用です。消費者との連絡がスムーズに取れるかぎり、特定商取引法上の表示義務を果たせます。
ただし、私書箱は実質的な営業の拠点とは言えないため、特定商取引法における住所として記載できません。
ネットショップの住所を公開するメリット2つ
ハンドメイド作品を通販で販売するときに購入者に住所を公開すると、取引を通してどこに住んでいるか分かってしまうというデメリットがあります。
プライバシー保護や防犯の視点から、発送伝票やネットショップへの住所記載をためらう人も多いでしょう。しかし、住所を公開することで手間を省ける上に、売上げアップを目指せるメリットもあります。
ここでは、それぞれのメリットの理由について解説します。
発送手続きにかかる手間が省ける
住所を隠すために匿名配送の利用にこだわるよりも、ネットショップの住所を公開したほうが発送に手間や時間がかかりません。
匿名発送を利用するためには、コンビニや郵便局、運送会社の事業所へ荷物を持ち込む必要があります。近所に発送場所がない場合、出向くだけでも時間のロスです。
さらに、売れた商品が増えるほど伝票の印刷や貼り付けの手間が増え、受付手続きに時間がかかります。発送場所が混雑しているときには行列に並び、時間を大幅にロスしてしまうときもあるでしょう。
自宅から発送場所が遠い場合や、発送数が多い場合、住所を公開して集荷発送やポスト投函で対応したほうが時間と手間を省けます。
購入者からの信頼を獲得でき売上アップにつながる
住所を公開することで、売上アップにつながります。
住所を非公開にしている販売者への信頼度は不十分な状態です。「万が一トラブルになったときに対応してもらえないのではないか」という不安感から、住所非公開の販売者からの買い物を避ける人もいるでしょう。
住所を公開している販売者であれば身元が分かるため、購入者の安心感や信頼感につながります。住所を非公開で販売している販売者よりも信頼を得やすく、売上アップを目指せるメリットがあります。
どうしても住所を知られたくない場合は?
個人でハンドメイド作品を販売していると、どうしても住所を公開したくない場合もあるでしょう。
自宅の住所を非公開のままハンドメイド作品を販売する方法があります。住所を公開したくない場合は、ネットショップ専用の住所を用意したり、住所を非公開のまま配送できるサービスを利用したりすることがおすすめです。
特定商取引法のページを検索エンジンに登録しない
特定商取引法に基づく表記のページを用意すると、検索によって住所をはじめとした個人情報が第三者に簡単に見られてしまうのが難点です。
特定商取引法に基づく表記のページをnoindex化すると、検索結果に表示されなくなります。
特定のサイトやページがネット検索でヒットするためには、サイトやページが検索エンジンに登録されていることが必要です。特定商取引法に基づく表記のページが検索エンジンに登録されていなければ、検索されても検索結果に表示されません。
特定商取引法ページのHTMLを編集し「noindex」を表記することで、検索してもヒットしなくなります。
レンタルオフィスやバーチャルオフィスを利用する
レンタルオフィスやバーチャルオフィスの住所を利用することで、自宅の住所を購入者に公開せずにハンドメイド作品を販売することが可能です。
レンタルオフィスやバーチャルオフィスでは、プランやオプションによっては以下のようなサービスが利用できます。
- 住所貸し
- 郵便物や宅配便の受け取り
- 荷物や郵便物の転送
- 電話の取り次ぎ
など
ただし、レンタルオフィスやバーチャルオフィスは、利用できる設備が異なります。
レンタルオフィス | オフィス設備・ワークスペース「あり」 |
---|---|
バーチャルオフィス | オフィス設備・ワークスペース「なし」 |
実際に事務所で作業したい場合は、レンタルオフィスがおすすめです。住所や電話番号だけ借りたい場合は、バーチャルオフィスで十分でしょう。いずれも、賃貸物件の事務所や店舗を借りるより初期費用や固定費を抑えられます。
レンタルオフィスやバーチャルオフィスによって異なりますが、公式サイトなどから申込後、審査に通過したのち契約する流れが一般的です。契約で注意したいのが、プランやオプションの選択です。住所や電話番号を借りられたとしても、格安な料金プランでは返品の荷物を受け取ってもらえなかったり、電話を取り次いでもらえなかったりすることがあります。
荷物の受け取りや電話の取り次ぎができない場合、特定商取引法で定められた義務を果たしていないと解釈される可能性があります。購入者からの返品や連絡に確実に対応できるプランやオプションを契約しましょう。
個人情報を公開しなくてもよいアプリを利用する
ハンドメイド作品の売買が可能なアプリが匿名配送に対応していれば、本名や住所、電話番号を公開せずに発送できます。
匿名配送に対応しているアプリは、下記の通りです。いずれもフリマアプリですが、ハンドメイド作品の販売ができます。
【匿名配送に対応しているアプリ】
- メルカリ
- ラクマ
- PayPayフリマ
ただし、ハンドメイド作品の売買アプリの中には、匿名配送に未対応のアプリもあります。匿名配送に対応しているかどうかを確認した上で、自分に合ったアプリを利用しましょう。
【匿名配送に対応していないアプリ】
- minne
- Creema
- ichi
- BASE
ハンドメイド作品の売買ができるアプリの特徴は、下記の通りです。自分に合った方法で安全にハンドメイド作品を販売しましょう。
サービス名 | 匿名配送 | 特徴 |
---|---|---|
メルカリ | 可 |
|
ラクマ | 可 |
|
PayPayフリマ | 不可 |
|
minne | 不可 |
|
Creema | 不可 |
|
iichi | 不可 |
|
BASE | 不可 |
|
まとめ
ハンドメイド作品を通販で販売する場合、特定商取引法に基づいて住所や電話番号などの個人情報を公開する必要があります。
顧客の信頼を得やすいなど住所を公開することにはメリットもありますが、セキュリティ上の理由から自宅の住所を絶対に知られたくない人も少なくありません。しかし、架空の住所を記載することは、特定商取引法違反です。
どうしても自宅の住所を記載したくない場合は、レンタルオフィスや匿名配送機能を利用して対処しましょう。