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公開日: 2022.07.26
最終更新日: 2022.07.26

シャンブレー生地の特徴は?デニム・ダンガリーとの違いも

シャンブレー生地の特徴は?デニム・ダンガリーとの違いも

デニムと似た風合いの生地の1つに、シャンブレーという生地があります。一般的にはシャツなどに使われることが多い生地ですが、「どのような歴史があるのか」「デニムやダンガリーとどう違うのか」まで詳しく理解している方は多くないでしょう。また、シャンブレー生地の洗濯方法が分からず、取り扱いに困っている方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、シャンブレーの概要や特徴、洗濯時の注意点などを紹介します。シャンブレー生地で衣服を作るときのポイントも紹介するため、ハンドメイド活動に生かしたい方は、ぜひ参考にしてください。

シャンブレーとは?

シャンブレーとは、素材の名前ではなく生地の織り方を指します。シャンブレーはタテ糸に色糸を、ヨコ糸に白糸を使って平織りした生地のことで、主にコットンを原料としています。

平織りはタテ糸とヨコ糸を1本ごとに交差する織り方であり、三原組織の1つです。三原組織はタテ糸とヨコ糸で作られる織物の基本であり、平織りの他、「綾織り」「朱子織り」が該当します。

以下では、シャンブレーが使用されるアイテムや、デニム・ダンガリーとの違い、シャンブレーの歴史について解説します。

シャンブレーはどんなアイテムに使用されている?

シャンブレーは、衣料品や小物類など幅広いアイテムに使われる生地ですが、下記のようなアイテムに使用されることが多いです。

シャンブレーを使ったアイテムの例

・シャツやブラウス

「シャンブレーシャツ」という名称があるほど、シャンブレーを使った代表的なファッションアイテムです。デニムよりも色味が薄いことから上品な雰囲気もあり、カジュアルファッションからきれいめな着こなしなど、さまざまなコーデで活躍できるため、1枚あれば重宝するでしょう。

・ワンピース

シャンブレー特有の洗練された色合いを生かしたワンピースは、女性らしい品もありつつ軽やかで涼しげな印象を与えるため、春夏コーデに人気のアイテムです。

・夏用の帽子

爽やかな見た目と丈夫で通気性がよいという機能性を兼ね備えたシャンブレーは、夏の強い日差しを遮る際におすすめのアイテムです。洗濯しても色落ちしづらいため、汗をかいた際も丁寧に洗うことで、清潔に使い続けることができるでしょう。

他にも、ハンカチやネクタイ、マスクやポーチなどのアイテムに使われることもあります。

シャンブレーとデニム、ダンガリーの違い

シャンブレーとデニムやダンガリーは、見た目が似ていることから違いが分かりにくいと考える方も珍しくありません。混同されやすいシャンブレー、デニム、ダンガリーはそれぞれ下記のような違いがあります。

・シャンブレーとデニムの違い

デニムは、タテ糸に色糸、ヨコ糸に染めていない白糸を使って綾織りした生地です。綾織りとは、タテ糸かヨコ糸を2〜3本ずつ飛ばしながら交差させて織る方法で、生地の表面に斜めの線が見える特徴があります。また糸の交差する点が少ないため、厚手の生地に仕上がります。

シャンブレーとデニムは白糸と色糸の使い方が同じですが、織り方が異なります。平織りで織られているシャンブレーは、デニムよりも白糸が表面に多く出てくるため、淡い色味になります。また、タテ糸とヨコ糸を1本ずつ交差させているため、隙間の多い薄手の生地になります。

・シャンブレーとダンガリーの違い

ダンガリーとは、タテ糸に白糸、ヨコ糸に色糸を使って平織りした生地です。元々は綾織で織られたものでしたが、現在は平織りが主流です。デニムより薄く、シャンブレーよりも厚く作られることが多く、粗めのざっくりとした風合いが特徴です。ダンガリー生地のシャツはあまり流通しておらず、シャンブレーより色味の濃い生地や薄手のデニム生地で作られたシャツをダンガリーシャツとして販売するケースもあります。

シャンブレーとダンガリーは織り方が同じですが、糸の使い方が逆という違いがあります。ダンガリーは下記の記事で詳しく紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

シャンブレーの歴史

シャンブレーの発祥の地は、1595年のフランス北部のカンブレー(Cambray)町です。カンブレーで作られた麻織物は「カンブリック(Cambric)」という名前で親しまれ、後にカンブレーを英語で表記した「シャンブレー(Chambray)」と呼ばれるようになりました。

カンブレー町には司教座が置かれており、当初は聖職者の上質なワークウェアとして使用されていました。シャンブレー生地は軽くて通気性がよい生地のため、20世紀初めにはワークウェア以外にも下着やベッドカバーなど、さまざまな用途に使用されるようになりました。

1903年には、シャンブレーシャツとダンガリージャケット、トラウザーズが「海軍ワーキングウェア規定」でミリタリーウェアとして正式採用されるようになりました。ミリタリーウェアは年々変化していきましたが、ワークウェアとして優れていたシャンブレーシャツは変わらずに着用され続けます。

第二次世界大戦後に、大スターたちがアメリカ映画でシャンブレーシャツを着用するようになったことをきっかけに、シャンブレーが急速に普及しました。シャンブレーシャツとデニムパンツが労働者のワークウェアとして定着し、青い作業着を着た労働者という意味合いで「ブルーカラー」という言葉が使われるようになります。

1960年後半には、ワークウェアだけではなく普段着としても着用されるようになりました。当時はベトナム戦争が勃発しており、愛と平和を訴えるために、ピースマークや花などの平和をモチーフとした柄を施したリメイク品が流行しました。そして現在では、カジュアルかつ上品な印象を楽しめる生地として、多くのファッションアイテムに活用され、愛されています。

シャンブレーの主な特徴

シャンブレー生地は「組織点(糸の交差する点)」が多く、また色糸と白糸を使って織ることから、下記のような特徴があります。

・シャンブレーの主な特徴

  • 霜降り調の風合いがある
  • 耐久性と通気性に優れている
  • 軽くて扱いやすい
  • 光沢感がある

色糸と白糸を使うため、光の当たり方や見る角度によって見え方が変わる玉虫のような光沢感があります。また、ほどよい色ムラは「シャンブレー効果」「霜降り効果」とも呼ばれ、カジュアル感と品の良さを同時に楽しめることが魅力的です。夏でも快適に着用でき、控えめで落ち着いた色合いのため、普段のコーディネートだけではなくビジネスシーンやセミフォーマルの場などでも幅広く活用できます。

加えて、2種類の糸が均等に出るため、色落ちが目立ちにくい点も特徴的です。また、薄地で軽い着心地でありながら、ワークウェアとして使われていた歴史があるほど耐久性が高く丈夫なため、経年変化を楽しみつつ長く愛用することが可能です。

さらにコットン100%だけではなく、リネン100%や、コットンとリネンの混紡糸で作られたシャンブレー生地もあります。また、色糸は定番のブルーだけではなくさまざまな色を使うことができるため、自分好みの生地を見つけることができるでしょう。

洗濯時の注意点は?

シャンブレーは色落ちが目立ちにくい生地ではあるものの、洗い方や洗剤によっては色落ちしてしまうケースもあるため、洗濯をする際は注意が必要です。洗剤は、中性洗剤やおしゃれ着洗い用のものを使用しましょう。アルカリ性の洗剤はシャンブレー生地の色落ちを進めてしまうので、色落ちさせたくない人は使わない方が無難です。使う洗剤で色落ちをしてしまうか心配な場合は、使用予定の洗剤を使って、目立たない場所で色落ちテストをしてから洗うことがおすすめです。

色落ちテスト後は、洗濯表示を見て、水洗いや洗濯機の使用が可能かをチェックします。水洗いは可能でも洗濯機の使用が不可の素材の場合、汚れがひどくないときは洗剤を使わずに水だけで手洗いをするだけでも十分に汚れが落ちるでしょう。お湯で洗うと色落ちしやすくなりますが、適度に色落ちさせて風合いを楽しみたい場合は、お湯を使うのもOKです。

洗濯機で洗う際は、洗濯ネットに入れてドライモードや手洗いモードなどの優しいコースに設定しましょう。また、部分的な色落ちを防ぐためにも、洗剤が直接シャンブレー生地にかからないように注意してください。洗い終わったら、シワを伸ばして形を整え、日光が直接当たらない場所で陰干しをします。

シャンブレー生地で衣服を作る際のポイント

シャンブレー生地で衣服を作る際は、11番手のミシン針を使いましょう。薄手の素材の場合は60番手のようなやや太い糸、厚手の素材の場合は90番手のような細い糸で縫うのがおすすめです。また、水通しをしてから作ることで、洗濯での縮みを防止することができます。

シャンブレー生地はミシンで縫いやすく、アイロンで織り目をしっかりつけることができるため、ハンドメイドや手芸が初めての方でも扱いやすい生地です。衣料品や帽子を作ったり、余った生地でポーチやマスクを作ったりするなど、多種多様なアイテムが作れるため、シャンブレー生地で楽しくハンドメイド作品作りをしましょう。

まとめ

シャンブレーは、耐久性と通気性に優れており、カジュアルかつ涼しげな風合いを楽しむことができます。定番のシャツやブラウスの他、ワンピースや帽子、ネクタイやポーチなど幅広いアイテムに使用できます。

洗濯機で洗う際は、必ず洗濯ネットに入れ、手洗いモードなどの優しいコースに設定して洗いましょう。洗濯後は形を整えてから陰干ししましょう。

シャンブレーはハンドメイド初心者にも扱いやすい生地です。シャンブレーの特徴を生かしたさまざまなアイテム作りに挑戦し、ハンドメイド活動をよりよいものにしましょう。