ウールの特徴・性質|洗濯時の注意点・その他の動物繊維も
ウールは、多くの衣服やハンドメイド作品に使用される代表的な天然繊維として有名な素材です。しかし、ウールの名前は知っていても、種類や素材の特性を理解している人は少ないでしょう。素材の詳細を把握しておくと、ハンドメイドの幅が広がります。また、服選びの際にも役立ちます。
そこで今回は、ウールの特徴・性質を分かりやすく解説します。洗濯時の注意点や、その他の動物繊維との違いについてもご紹介しますので、ぜひハンドメイド活動などでの素材選びの参考にしてください。
目次1
ウールとは?
ウールとは、羊毛を原料として作られる動物繊維のことです。羊毛として使われる羊の種類は約3,000で、種類によって毛質が異なります。
羊毛の中でもメリノウールは、耐久性が高いため服の素材に適しています。メリノウールは、主にオーストラリアやニュージーランド、フランスで飼育されているメリノ種の羊毛のことです。特にオーストラリアはメリノウールの生産が他国より多く、高品質なメリノウールを世界中に輸出しています。
ウールはどんなアイテムに使用されている?
ウールは保温性の高さから、秋冬の洋服やアイテムに多く使用されます。代表的なアイテムは下記の通りです。
・セーター
ウールセーターは、ウール素材が使用されるアイテムとして馴染み深いものの1つです。ウールは保温性が高い上に蒸れないため、セーターの素材に最適といえます。
・コート
ウールは暖かく扱いやすいことから、コートの素材としても採用されています。ウールは形崩れしにくく、冬場の寒さにも耐えられるため、多くのブランドがウール素材のコートを販売しています。
・ソックス、インナー
ウールは、保温性や丈夫さからアウトドア商品としても人気が高い素材です。多くのアウトドアブランドで、ウール素材のソックスやインナーが販売されています。
・マフラー、手袋
マフラーや手袋も、ウール素材が使用されているアイテムとして有名です。ウールを使用したマフラーや手袋は取り扱いやすく、ハンドメイド作品としても人気です。
・カーテン
あまり知られていませんが、ウール素材はカーテンとしても優秀な素材です。ウールカーテンは弾力性や消臭効果・撥水効果があるため、日本の気候にマッチします。
・羊毛フェルト
ブローチやキーホルダーにも使われる羊毛フェルトにウール素材が使用されることもあります。ウール素材はカラーバリエーションが豊富で素材の光沢感を演出できるため、ハンドメイド作品にも人気です。
ウールの主な特徴・性質
ウールの主な特徴・性質は下記の通りです。
ウールの主な特徴・性質
- 保温性が高い
- 吸放湿性がある
- 汚れにくい
- シワになりにくい
- 自然環境に優しい素材である
ウールの大きな特徴は保温性が高いことです。前述の通り、気温が低い秋冬の衣服に活用されることが多く、さまざまなブランドが服などの素材として採用しています。ウールは吸湿性と放湿性を併せ持っており、汗をかいた時は素早く外へ湿気を逃がすという特徴をいかして、夏のアイテムにも使用されています。また、ウールは汚れがつきにくくシワになりにくいという特徴もあり、洗濯がしやすいとして衣料品の素材に人気です。
さらに、ウール素材は地球にも優しく、近年注目されている素材の1つです。ウールは海洋でも陸上でも分解できるため、土や海へ還すことができます。ミンクとは異なり、羊自体に負担をかけることなく何度でも毛刈りが可能なため、環境保全と動物愛護の両方の観点から持続可能な素材といえるでしょう。
ウールを洗濯する際の注意点は?
ウールは吸水性が高いため、洗濯方法を誤るとアイテムが伸びたり縮んだりする恐れがあります。ウール素材の衣服を洗濯する場合は、以下のポイントを押さえるとトラブルの発生を防げます。
・「水洗い不可」のアイテムはクリーニングを活用する
洗濯機でウール素材のアイテムを洗う場合は、必ず洗濯表示を確認しましょう。「水洗い不可」という表示がある場合、自宅での洗濯は生地を傷めるリスクがあるためクリーニングに出しましょう。
・手洗いの際は水で素早く洗濯する
ウール素材は、水に浸ける時間が長いと縮んでフェルト状になるという特徴があります。また、熱に弱いという特徴もあり、30度以上の水温で洗濯すると生地が縮みやすくなります。形崩れや傷みを起こさないためには、水で素早く洗濯するのがポイントです。
・平らな場所で陰干しする
ウール素材は伸縮性に優れているため、ハンガーやピンチを使用すると生地が伸びてしまいます。平らな場所で陰干しをすると、型崩れを防げます。
・洗濯の頻度は少なめに
洗濯自体が生地の傷みの原因になるケースもあります。普段からこまめにお手入れして、洗濯の頻度を下げましょう。ウール素材は発湿性が高く汚れもつきにくいため、汗をかいたら干し、ブラッシングでホコリをはらうといったお手入れで、洗濯回数を減らせます。
【毛】ウール以外の主な動物繊維
動物繊維とは、動物から採取される繊維の総称で、「獣毛」「絹」「その他の動物繊維」の3種類に分けられます。家庭用品品質表示法では「獣毛」は「毛」と表記され、「毛」は羊毛、モヘヤ、アルパカ、らくだ、カシミヤ、アンゴラに分類されます。ウールは羊毛に分類される繊維です。
ここからは、代表的な動物繊維と、それぞれの性質や特徴を紹介します。
アルパカ
アルパカは、南米地方に生息するラクダ科のアルパカの毛を指します。
アルパカは毛質が滑らかで、シルクのような光沢が特徴です。アルパカは世界的に頭数が少ないため、価値の高い動物繊維といえます。
動物 | アルパカ |
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生産地 | 南米地方 |
特徴 |
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向いている製品 |
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カシミヤ
カシミヤは高級素材として有名な素材で、ハイブランドのアイテムにも使用されています。
カシミヤヤギには表面を覆う長い毛がありますが、セーターなどの製品には柔らかい産毛の部分だけを使用します。セーターを1枚作るためにカシミヤヤギ2〜3頭分の毛が必要です。
動物 | カシミヤヤギ |
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生産地 | ヒマラヤ地方 |
特徴 |
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向いている製品 |
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モヘア
モヘアはアンゴラヤギから取れる毛で、耐久性の高さからカーペットにも使用される素材です。モヘアは単体で加工することが難しいとされており、ウール繊維や合成繊維など他の繊維素材と混ぜて使われます。
動物 | アンゴラヤギ |
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生産地 | トルコ、南アフリカ、アメリカ |
特徴 |
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向いている製品 |
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アンゴラ
アンゴラはアンゴラウサギから採取できる繊維で、柔らかく滑らかな手触りが特徴です。
アンゴラは絹のような風合いで、高級素材として広く知られています。アンゴラは毛玉ができやすく虫食いが起こりやすいため、取り扱いには注意が必要です。
動物 | アンゴラウサギ |
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生産地 | 中国、トルコ |
特徴 |
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向いている製品 |
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まとめ
ウールは羊毛を原料として作られる動物繊維であり、保温性の高さや扱いやすさから、セーターやマフラー、コートなどさまざまなアイテムに使用されています。ウールは環境に優しいことから、近年注目を集める繊維の1つです。
ウールは、汚れがつきにくく発湿性にも優れているなど、衣服の素材として優秀な面がある一方で、伸縮性の高さから洗濯時には注意が必要な繊維です。洗濯方法によっては生地を傷める恐れがあるため、水温や洗い方には十分に注意しましょう。