まつり縫いとは?手縫い・ミシン縫いのやり方を丁寧に解説
まつり縫いは、表の縫い目が目立たないように縫う方法であり、「裁縫の基本」とも言える縫い方です。基本的には手縫いで行うことも多いものの、専用の道具を使用することでミシンでも簡単にまつり縫いを行うことができます。
また、まつり縫いとひとくちに言っても、あらゆる種類・手法が存在します。生地の素材や厚さなどによって適切なまつり縫いの種類が異なるため、しっかり覚えておきましょう。
今回は、まつり縫いの基礎知識として、概要や種類から各種類のやり方とポイント、さらにミシンでまつり縫いをする方法まで詳しく解説します。洋服を繕いたい方や趣味や副業でハンドメイドを始めた方は、ぜひ参考にしてください。
目次1
まつり縫いとは?どんな種類がある?
まつり縫いとは、生地の表側に縫い目を目立たせないように縫い留める手法です。主にスカートやズボンの裾上げ・裾直しをするときや、ワッペンを縫い付けるときに使用される縫い方で、手縫いで簡単に行えるという魅力も持っています。
まつり縫いの中でも、下記のようにあらゆる縫い方が存在しており、用途に合わせて適切な縫い方を選ぶことが可能です。
- ななめまつり
- 奥まつり
- たてまつり
- コの字まつり
- 千鳥がけ
ここからは、各種類の特徴や適切なシーンとやり方・コツを詳しく解説します。
まつり縫い(1)ななめまつりのやり方
ななめまつり縫いは、その名の通りななめに縫いつける方法で、スカートやズボンの裾上げによく用いられるやり方です。まつり縫いの中でも最も基本的な縫い方で、「流しまつり縫い」とも言われます。
ななめまつり縫いの具体的な手順は、下記の通りです。なお、ななめまつり縫いに限らず縫い始めは必ず玉結びをしてください。
(1) | 生地を三つ折りにして、折り山の端から表側に針を出す |
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(2) | 布の表面を小さめにすくう(すくった部分が表側に出る) |
(3) | 少し進んだ縫いしろの裏から再度折り山の表側に針を出す |
(4) | (2)と(3)を繰り返し、玉止めをして完成 |
ななめまつり縫いの縫い目幅は、アイテムによって調節が必要となります。小さめのアイテムであれば1センチ未満、スカートやズボンの裾上げであれば1センチ以上2センチ未満で問題ありません。
まつり縫い(2)奥まつりのやり方
奥まつり縫いとは、布と布の間に糸が隠れるようなやり方です。表側だけでなく裏側の縫い目も目立たずほつれにくいことが特徴で、ななめまつり縫いと同様にスカートやズボンの裾上げによく行われます。
奥まつり縫いの具体的な手順は、下記の通りです。
(1) | 布を折り返し、縫いしろの裏側から針を出す |
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(2) | 5ミリほど進んだ布の表面を小さめにすくう |
(3) | 折り山の表側から針を出す(すくった布の表面くらいの小ささ) |
(4) | (2)と(3)を繰り返し、玉止めをしたあと折り返しを元に戻して完成 |
奥まつり縫いをきれいに行うためには、最初の準備が重要です。事前に折り目をしっかりと付けて、布がズレないようにまち針を刺すなどしましょう。また、糸を引っ張るときに力が入っているとシワとなりやすいため、程よい力加減で糸を引くこともポイントです。
まつり縫い(3)たてまつりのやり方
たてまつり縫いとは、表側に縦方向の縫い目が目立つようなやり方です。ワッペン・名刺などのアップリケやパイピングに適した縫い方で、あえて糸の色を変えることでデザインのアクセントにもなります。
たてまつり縫いの具体的な手順は、下記の通りです。
(1) | ワッペンなど貼り付けたいアイテムの生地裏側から針を出す |
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(2) | アイテムを貼り付けられる生地に、表側から垂直に針を刺す |
(3) | 1ミリ程度進んで、裏側から再度針を出す |
(4) | (2)と(3)を繰り返し、裏側もしくはワッペンの中で玉止めをして完成 |
たてまつり縫いの場合、表側は垂直にまっすぐ糸が渡りますが、裏側はななめに糸が渡るような形です。縫い目の始まりがバラバラだと統一感が出ずやや汚く見えてしまうため、均等に縫うことがポイントと言えます。
まつり縫い(4)コの字まつりのやり方
コの字まつり縫いとは、その名の通り折り山部分に「コの字」で糸を通していくやり方です。表側・裏側の縫い目が目立たないため、返し口を閉じるときや破れた・穴があいた洋服を修復させるときにコの字まつり縫いがよく行われます。
下記では、返し口を閉じるときのコの字まつり縫いの具体的な手順を紹介します。
(1) | 返し口の少し手前の縫い目裏側から、表側に針を出す |
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(2) | 手前側の折り山を、直角に3ミリ程度すくって針を通す |
(3) | 奥川の折り山を、直角に3ミリ程度すくって針を通す |
(4) | (2)と(3)を繰り返す |
(5) | 玉止めと同じ箇所に針を入れ、適当な箇所に針を出してから糸を引いて完成 |
コの字まつり縫いは、最後に程よい力加減で糸を引くことがポイントです。仕上げの糸を引く力が強ければシワになりやすく、弱ければ糸や玉止めが目立ってしまいます。
まつり縫い(5)千鳥がけのやり方
千鳥がけとは、千鳥の足取りのように糸をジグザグに交差させて縫うやり方です。伸縮性があり縫いしろをしっかりとおさえられるため、厚手のスカート・ズボンの裾上げやファスナーの取り付けなどに適しています。
千鳥がけの具体的な手順は、下記の通りです。
(1) | 縫いしろの端裏側に針を刺し、1センチ程度下の表側に針を出す |
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(2) | 布の表面を小さめにすくい、(1)で針を出したところから1センチほど右側で再度小さめに布をすくう |
(3) | (2)で針を出した場所から5ミリ~1センチほど進み、(2)の工程を繰り返す |
(4) | (2)と(3)を繰り返し、玉止めをして完成 |
まつり縫いは基本的に右から左へ縫い進めることが多いものの、千鳥がけの場合は左から右方向に縫い進めることが特徴です。(2)(3)の工程における針の間隔がバラバラだと統一感が損なわれてしまうため、なるべく同じ縫い幅にしましょう。
手縫いでまつり縫いする際の2つのポイント
どのようなまつり縫いの種類においても、縫い目を目立たなくするためには下記2つのポイントに意識しておく必要があります。
〇布のほんの一部をすくって縫う
たてまつり縫いの場合は小さめにすくうことを意識しなくてもよいケースが多いものの、基本的にまつり縫いをするときは「布のほんの一部をすくう」ことが重要です。すくう幅が広ければ糸が目立ってしまうだけでなく、ひっかかりやすくなり耐久性も低まる可能性があります。
〇糸を強く引っ張らない
まつり縫いは、すくう幅が小さいことが特徴です。糸を強く引っ張ることでシワとなりやすく、仕上がりが不格好となってしまうおそれがあります。反対に、引っ張る力が弱ければ糸が目立ちやすい点にも注意しましょう。糸を引っ張る際は、弱すぎず強すぎない適度な力加減がおすすめです。
【ミシン】まつり縫いで縫う方法
まつり縫いは手縫いで行われることが一般的ですが、「まつり縫い押さえ」という専用のアイテムがあれば、ミシンでも簡単にまつり縫いを行えます。
ミシンを使ったまつり縫い(裾上げ)の具体的な方法は、下記の通りです。
(1) | 縫いしろにしたい範囲だけ、裾の部分を裏側に折り返す |
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(2) | 縫いしろ部分をさらに表側に折り返し、「Z」のような形で三つ折りにする |
(3) | 折り山の布端に、まつり縫い押さえのセンターガイドを合わせる |
(4) | 針が折り山から外れないよう、慎重にまっすぐ縫い進める |
(5) | 玉止めをして完成 |
また、表側に縫い目が目立ちすぎたという場合は、折り山の端ギリギリに針を通せるよう右側に調節してください。反対に、折り山まで針が届いていなければ裾部分が縫えなかったり所々開いてしまったりするため、左側に調節しましょう。
まとめ
まつり縫いは、表の縫い目が目立たないように縫う方法のことです。裁縫の基本としても知られており、手縫いで行われることの多い縫い方とも言えます。
まつり縫いの中にもあらゆる種類があり、人気かつ代表的な縫い方は「ななめまつり縫い」「奥まつり縫い」「たてまつり縫い」「コの字まつり縫い」「千鳥がけ」です。縫い方が細かに異なるこれらの種類は、適切な用途も異なります。
「まつり縫い押さえ」という専用のアイテムがあればミシンでスピーディーにまつり縫いをすることができますが、手芸初心者の手縫いでもまつり縫いは比較的簡単です。ここまでの内容を参考に、ぜひさまざまなまつり縫いにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。