ぐし縫いのやり方は?並縫いとの違いや綺麗に縫うポイントも解説
布をしっかりと縫い合わせたいときや、より立体的なギャザーを寄せたいときに重宝する縫い方がぐし縫いです。ぐし縫いは等間隔で縫い進める技法のため、まっすぐ綺麗に縫い目を作れるよう、気をつけながら縫い進める必要があります。
当記事では、ぐし縫いのやり方と綺麗に縫うポイントを解説します。ぐし縫いを使ったギャザーのやり方についても解説するので、さまざまな縫い方を身に着けたい方はぜひ当記事を参考にしてください。
目次1
ぐし縫いとは?
ぐし縫いとは、並縫いと同様に布と布を縫い合わせるときに使う手芸技法を指します。並縫いよりも細かい間隔で縫っていくのが特徴で、「約2ミリ程度の間隔で縫ったもの」と定義されることもあります。縫い終わりに糸を引っ張ると綺麗なギャザーを作れるので、立体的なデザインを作るための縫い方とも言えるでしょう。
また、和裁ではぐし縫いを「ぐしじつけ」と呼ぶ場合もあります。ぐしじつけとは留袖や紋付などの着物に用いるしつけのことで、「縫いじつけ」とも呼ばれています。ぐしじつけは
留袖などの着物を格調高く見せるためにあえて入れてあるもので、外してはいけないしつけとしても有名です。
並縫いとの違い
並縫いとは、布の表裏を同じ縫い目の長さで等間隔に縫っていく縫い方です。並縫いとぐし縫いは同じ縫い方ですが、縫い目の間隔によって区別されています。縫い目の間隔が3~4ミリ程度であれば並縫い、2ミリ程度であればぐし縫いと定義している場合もあります。
また、使用用途が異なることも並縫いとぐし縫いの違いの1つです。ぐし縫いは、布を縫い合わせるときや、仮縫い、しつけなどを行うときに使います。活躍する場面は並縫いと似ていますが、ぐし縫いのほうが縫い目の間隔が狭いため、布同士をしっかりと縫い合わせたい場合に使用するとよいでしょう。
また、細かいギャザーを寄せてより立体的に仕上げたい場合には、ぐし縫いを使うのが適しているとも言われています。
ぐし縫いのやり方
ぐし縫いの縫い方は並縫いと同じなので、決して難しくありません。縫い目の間隔を並縫いよりも細かくするよう意識すればできる縫い方なので、手芸初心者でも簡単に身につけられます。
ここでは、ぐし縫いの具体的な縫い方の手順について解説します。
(1) | 手縫い針と手縫い糸を用意します。糸は2本取りしたしつけ糸でも代用可能です。糸を手縫い針に通したら、最初に玉止めをします。糸は1本取りでも2本取りでも問題ありません。 |
---|---|
(2) | 糸を通した手縫い針を、結び目が表に出ないように布の裏側から針を刺します。手縫い糸をしっかりと引き抜き、結び目で止まるまで引っ張りましょう。 |
(3) | 縫いたい方向に向かって手縫い針を入れ、2ミリの等間隔になるように手縫い針を刺します。その際に1針ごとに手縫い針を抜かず、針先で何度かすくうとまっすぐ縫うことができます。 |
(4) | 何針か縫ったら、手縫い針を引き抜きましょう。引き抜く際に糸がだまにならないようにしっかりと引っ張ります。 |
(5) | ぐし縫いで縫いたいところまで(3)〜(4)を繰り返します。指でしごいて布を張ると、縫った場所がよれることを防げます。 |
(6) | 縫いたいところまで縫い終えたら、布の裏側で玉止めを行います。縫いはじめの玉結びと同じように、結び目が表に出ないように気を付けましょう。 |
ぐし縫いを綺麗に行うポイント
ぐし縫いは、縫い目が等間隔でまっすぐになっていると仕上がりが綺麗に見えます。ぐし縫いは2ミリという細かい間隔で縫っていくため、縫い目がガタガタにならないように注意しながら縫っていきましょう。
ここでは、ぐし縫いを綺麗に行うポイントについて紹介します。
布をたるませない
ぐし縫いを行う場合、布はたるませずに張った状態にすると綺麗に縫い進められます。布がたるんでしまうと手縫い針を刺す位置がずれてしまい、思うように縫うことができません。
布をたるませずに縫うのが難しい人は、「かけはり」や「くけ台」という布地を張るアイテムもあるため、慣れないうちは使用するのもおすすめです。
まっすぐ縫う
針を刺した場所と出す場所がずれてしまうと、縫い目の高さがばらばらになってしまいます。縫い目を綺麗に見せるためには、布端と縫い目が並行になるように意識しながらぐし縫いをするとよいでしょう。
まっすぐ縫うには、針を常に一直線上に出し入れすることが大切です。ぐし縫いに慣れないうちはチャコペンシルで引いた線の上を縫うとまっすぐ縫い進められます。チャコペンシルがない場合は、マスキングテープを縫いたい場所に貼っておき、マスキングテープに沿って縫うのもおすすめです。
縫い目が等間隔になるよう心がける
縫い目を綺麗に見せるためには、布の表と裏で同じ縫い目に見えるよう、等間隔で縫うことを意識するように心がけましょう。また、1針ずつ縫うよりも何針かすくってから針を引き抜くと、まっすぐ等間隔に縫えやすくなるのでおすすめです。
ぐし縫いで綺麗なギャザーを作るには?
ぐし縫いは特にギャザーを作るときに活躍する縫い方と言われています。ギャザーとは布が寄り集まった状態で、手作りで布小物やスカートのフリルを作る際に重宝する技法です。
ここでは、ぐし縫いでギャザーを作る方法について、ミシンを使う場合と手縫いで作る場合に分けて説明します。
ミシンを使う場合
ギャザーは手縫いでも作れますが、ミシンを用いると縫い目を均等かつ早く縫えるのでおすすめです。
ミシンを使用してギャザーを作るときは、縫い目がもっとも大きい「粗ミシン」で縫うのがポイントです。粗ミシンで2本の縫い目を入れると、ギャザーを綺麗に寄せられます。
(1) | ミシンの設定を行います。できるだけ糸調子の数字を小さく設定することが綺麗に仕上げるコツです。縫い模様は直線縫い、縫い目の粗さは3~5、押さえ方は基本押さえに設定しましょう。 |
---|---|
(2) | できあがり線とギャザー止まりの印を書きます。 |
(3) | できあがり線を挟んで5~7ミリの間隔で、2本の直線を平行にミシンをかけます。できあがり線を上下に挟むと、ギャザー部分と別布を縫い合わせる時にギャザーを安定させられます。 |
(4) | 縫い終わりに押さえを上げて布を引き出し、上糸と下糸を5センチ程度残して切ります。 |
(5) | 縫い始めの糸を玉結びしてから、縫い終わりの下糸を2本一緒に引いて、好みの分量分だけ布を縮めます。 |
(6) | 縫い終わりの糸を玉結びし、ギャザーを整えてから軽くアイロンをかけます。 |
(7) | 縫い目の粗さと糸調子を通常の数値に設定して、ギャザーを裏地に縫い付けます。 |
(8) | 下糸を取り、アイロンをかけたら完成です。下糸を取った際に針穴が気になる場合は、でき上がり線の上側に2本粗ミシンをかけると表からは跡が見えなくなるためおすすめです。 |
手縫いで作る場合
ギャザーを手縫いで作る場合、やり方はほぼミシンで行う場合と同じですが、綺麗なギャザーに仕上げるためにも細かく均等な縫い目のぐし縫いになるように心がけるようにしましょう。
また手縫いでギャザーを作る場合、手間はかかりますがミシンと比べて簡単に縫うことができます。ミシンの場合は縫う前と作業途中に細かい設定が必要であるため、設定が必要なく簡単にできる点も手縫いでギャザーを作るメリットと言えるでしょう。
まとめ
ぐし縫いは布を等間隔の縫い目で縫い合わせるやり方で、並縫いと同じように縫い進めます。綺麗なぐし縫いをしたいときは、縫い目がまっすぐ等間隔になるように注意するのがポイントです。
並縫いよりも縫い目が細かいのが特徴で、布同士をしっかりと縫い合わせたい場合に使う縫い方です。また、ギャザーを寄せるときも縫い目の細かいぐし縫いを使うことでより立体的に仕上がります。ぐし縫いをマスターし、手芸づくりに役立てましょう。