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公開日: 2022.06.10
最終更新日: 2022.06.13

パイル生地とは?ループパイル・カットパイルの違い・生地の特徴も

パイル生地とは?ループパイル・カットパイルの違い・生地の特徴も

パイル生地はタオルや洋服、雑貨など幅広く使われています。柔らかな触り心地で、吸水性に優れていて、生地のクッション性が高い点も特徴の1つです。吸水性に優れていることから夏用の生地として重宝されてきましたが、さまざまなパイル織物が開発され、オールシーズン使われるようになりました。

この記事では、パイル生地の種類や特徴、他の生地との違いについて解説します。パイル生地はどのようなアイテムを製作するのに向いているかも紹介しますので、ぜひハンドメイドに役立ててください。

パイル生地とは

パイルとは、円形の糸が生地の片面または両面に織り込まれた生地で、別名「タオル生地」とも呼ばれます。パイル生地の織り方は、たて糸とよこ糸を交互に織る平織りと、たて糸とよこ糸の繊維を1束以上ずらして織る綾織りがあります。

平織りは通気性が高く軽い作りになっており、綾織りは平織りよりも重く伸縮性があることが特徴です。綾織りは「ツイル」とも呼ばれ、伸縮性を生かしてジャケットやシャツなどの衣類によく使用されます。

パイル生地はどんなアイテムに使用されている?

パイル生地はTシャツやパーカーなどの衣類によく使用されます。ループ状の糸で織り込まれた生地は吸水性に優れ、クッション性もあるため普段着はもちろん、ルームウェアとしても人気があります。市販のパイルパジャマは、表面だけパイル状になっているものがほとんどです。ハンドメイドにパイル生地を使う場合は、汗の吸収をより良くするために、両面パイルニットを使用しているものを選ぶとよいでしょう。

吸水性を生かして夏物の衣類に使用されることが多いパイル生地は、厚手の生地でも比較的軽い点が特徴です。生地の厚さや毛足の長さを変えると保温性が上がり、今ではオールシーズン対応できる生地となっています。大人向けのパイル地ウェアを販売しているブランドも増えており、パイル地のTシャツやパイルニットを使用したセーターなど生地の良さを生かした商品が販売されています。

また、パイル生地は正しく洗濯すると、柔らかな肌触りのまま長年使用できます。優しい手触りと肌に優しいオーガニックコットンパイルを使用して、赤ちゃんのおもちゃやスタイ(よだれかけ)などベビー用品を作るのもおすすめです。

パイル生地はタオルとして活用されるだけでなく、衣類、クッションやスリッパなどの小物からソファやベッドのカバーまで、幅広く使用される万能な生地と言えるでしょう。

パイル生地の種類|ループパイル・カットパイル

パイル生地は、使われている円形の糸の加工方法によって2つの種類に分けられます。

  • ループパイル
  • カットパイル

ループパイルとは、円形の糸が切られていないパイル生地のことです。糸が円形のまま保たれているため、弾力性があり復元性にも優れています。ループパイルの長所を生かして、ラグやスリッパなど復元性が求められるアイテムによく使われます。

一方、カットパイルとは、円形の糸の先をカットした生地のことです。質感やデザイン性、触り心地に優れていて、洋服やタオルなどに使われています。「ベロア」や「コーデュロイ」もカットパイルでできた生地です。

パイル生地の主な特徴・魅力

ここでは、パイル生地の特徴や魅力についてご紹介します。

パイル生地の主な特徴・魅力

・吸水性と発散性に優れている

パイル生地は、円形の糸を使用しているため表面積が大きく、吸水性に優れています。発散性にも優れていて、衣類が吸いとった汗を素早く蒸発させるという特徴もあります。

・弾力性がある

円形の糸が使用されているため、ふわふわとした独特の弾力性があります。復元する力もあるため、ラグやスリッパなど足元で使用する用品や、クッションなど弾力性を生かせるアイテムの生地として向いています。

・柔らかな触り心地

柔らかく包み込むような手触りは、パイル生地の魅力の1つです。正しく洗濯すると、柔らかな触り心地のまま長く使用できます。

・保温性がある

表面が円形の糸で覆われることで空気の層ができ、保温性が高まります。特にパイルが長めで、厚手のものを選ぶと冬でも快適に過ごせる衣類を作れます。

・糸のほつれや毛羽落ちがある

ループ状になっている糸に引っ掛けてしまうと、ほつれの原因になります。糸がほつれた場合、引っ張らずにハサミで切るようにしましょう。また、洗濯時には毛羽落ちがあるため、洗濯の方法には注意が必要です。

吸水性と保温性の両方を兼ね備えているため、パイル生地はオールシーズン使用できます。使う用途によっては、生地の厚さやパイルの長さなどに注意して生地を選びましょう。

柔らかい手触りは肌に優しいため、肌着や赤ちゃん用のおくるみ、ベビー用品を作るのにも向いています。幅広くさまざまなアイテムに使われることも、パイル生地の魅力です。

洗濯時の注意点は?

パイル生地の柔らかな肌触りを保つためには、なるべく色分けをしてパイル地のものだけで洗うようにしましょう。また、塩素系の漂白剤や蛍光増白剤が入った洗剤は避け、天然由来の液体洗剤の使用をおすすめします。

洗濯機で洗う際は、たっぷりの水で洗うのがポイントです。多めの水で洗うと、パイル部分をつぶさず、ふんわりとした仕上がりになります。洗濯後は10~20回振り、パイルを立たせてから風通しの良い日陰に干します。長時間紫外線に当てるとゴワゴワとした手触りになるため注意が必要です。

パイル生地以外でタオルに使用されている主な生地

パイル生地は吸水・発散性に優れ、柔らかな肌触りがあり、タオルに使われることで有名です。パイル生地の他にタオルとして使用されている生地には、シャーリング生地やワッフル生地、マイクロファイバーなどが挙げられます。

ここからは、それぞれの生地の特徴と魅力をご紹介します。

シャーリング生地

パイル生地に使われているループ糸の先端部分を、片面だけカットして滑らかに仕上げられたものをシャーリング生地と言います。

シャーリング生地で作られたタオルは、円形の糸を均等にカットするため、表面が滑らかになり高級感があることから元々は贈答品として作られていました。プレゼントとしての需要が減るにつれて、生地に直接プリントできる特徴を生かして、イベントの記念品タオルやアーティストのグッズとして使用されることが多くなりました。

シャーリング生地は、パイルをカットすると毛足が短くなり、片面パイルになるため、パイル生地よりも吸水性が劣ります。吸水性の高い素材が欲しい場合は、なるべく厚手のシャーリング生地を選ぶようにしましょう。

ワッフル生地

ワッフル生地は、名前の通りお菓子のワッフルのような凹凸の折り目があります。特徴的な凹凸は、生地を織る際にタテ糸とヨコ糸を浮かせた状態で作ることによってできます。ワッフル生地はタオル生地としても使われますが、元々アウトドア専用の下着に使われていたことで有名です。

表面に凹凸の折り目があると糸と糸との間に空間ができるため、吸水性と吸湿性に優れているのが魅力です。ワッフル生地は他の生地と比べて毛羽立ちが目立ちにくいため、古くからタオル素材として重宝されています。

マイクロファイバー

マイクロファイバーとは、ナイロンやポリエステルなどからできた極細の化学繊維から作られた生地です。マイクロファイバーの大きな特徴は極細の繊維です。髪の毛の100分の1ほどの細い繊維から作られており、洗剤を使用しなくても汚れがとれるため掃除に向いています。

繊維が極細であり、繊維自体に溝やすき間があるため優れた吸水性があります。また、吸水と同時に蒸発する仕組みになっているため、コットンなどの自然素材で作られている生地よりも速乾性にも優れています。

まとめ

パイル生地は、吸水性に優れていて、柔らかな触り心地と弾力性があります。保温性もあるため、生地の厚さやパイルの長さを適切に選ぶとオールシーズン使用できます。

パイル生地を洗濯する際はなるべく漂白剤は避けて、たっぷりの水で洗いましょう。日陰で干すと、柔らかな手触りを保てます。

パイル生地は生地の色や厚みなど種類が豊富です。衣類や日用品に至るまで、さまざまなものを作る時に使用できます。ハンドメイドの素材としてパイル生地を購入する際は、用途に合った生地を手芸店で探しましょう。