オーガニックコットンとは?特徴や通常のコットンとの違いも
オーガニックコットンは、肌着やタオルなどで使用されている希少性の高い自然素材です。自然環境に配慮した生産方法や人体に優しいなどの特徴から、SDGsの観点から注目されています。オーガニックコットンは、ハンドメイド作品を作る際の生地としても人気ですが、通常通常のコットンと比べて何が違うのか、よく知らない人も多いのではないでしょうか。
当記事では、オーガニックコットンの特徴や、通常のコットンとの違いなどを詳しく紹介します。これからハンドメイド作品を作る人や素材についての知識を身につけたい人は、ぜひ参考にしてください。
目次1
オーガニックコットンとは?
オーガニックコットンとは、オーガニック農法で栽培された綿からとれた繊維、またはその繊維を使用した製品のことを指します。コットンは非常に身近な繊維ですが、世界で育てられているコットンのうち、オーガニック栽培の生産量はほんの数%しかありません。また、オーガニックコットンは法的な位置付けが定まっていないため、市場にはさまざまなオーガニックコットン製品が流通しています。
(出典:日本オーガニックコットン協会「オーガニックコットン」)
市場のオーガニックコットン製品について整理すると、以下のように大別できます。
- 原料の原綿がオーガニック認証を受けているということでオーガニックコットンと表示しているもの
- 原料から製品までそれぞれオーガニック認証を受けているもの
- 第三者の認証はなく、栽培や加工の方法からオーガニックと称するにふさわしいと自称しているもの
そもそも「オーガニック」とは?
そもそも「オーガニック」の定義とは、土壌や自然生態系、人々の健康を持続させる農業生産の取り組みであるとされており、日本では「有機」と置き換えています。有機農業とは、ただ農薬や化学肥料に頼らないというものではなく、人や環境のすべてが健全かつ持続可能である状態を目指し、共存することを目標としています。また、伝統的な農法と新しい技術や知識を融合させていくことも示唆しています。
オーガニックの価値観は、アパレルや化粧品などさまざまな業界に広がっていますが、もっとも基本となるのは「農業」です。オーガニック関係者が多く加盟している「IFOAM(国際有機農業運動連盟)」が策定した有機農業の原則は、世界のオーガニックの定義を統一したものになります。有機農業の原則は、オーガニックがもたらす本質や価値を多面的な視点で追及しており、目標ともいえる定義です。
しかし、実際に生産や流通を行うためには、明確な評価基準がないと分かりにくいという問題が生じたため、生産の基準を設け、第三者が認証するということが広がりました。はじめは、生産者や製造業者によって認証基準が作られましたが、90年代の終わり頃に下記のような、通商レベルでの「オーガニック」のガイドラインが策定されました。
(出典:日本オーガニックコットン協会「オーガニックコットン」)
【オーガニックの基準】
- オーガニックの生産基準に沿った管理を約3年つづけた田畑で収穫されたものをオーガニックと表示することができる
- 土づくりから、農産物を出荷するまで、一貫してオーガニックの基準に沿って他のものと混合せずに取り扱う(トレーサビリティの担保)
- 天然物質を中心とした土づくりで使用できる資材や生産物が収穫できなくなるなどやむを得ず使う農薬がリストとなっている
オーガニックコットンが注目されている理由
オーガニックコットンが注目されている理由として、下記の2点があげられます。
地球環境や人に優しい素材 |
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オーガニック製品を選ぶことは、地球環境への負荷を軽減するなどの社会的意義があります。オーガニックコットンの生産は一般の生産方法に比べて、肥料や農薬、殺虫剤などの化学物質の使用が最小限に抑えられるため、結果的に環境への負荷の低減が期待できます。 また、オーガニック製品に注目し、消費者自身もオーガニックの目指すものを追い求めていくことで、人々や環境などに意識が向き、社会貢献への関心も自然と高まっていくでしょう。少しでも多くの人々が、地球環境や自然に目を向けることができれば、結果として、豊かで過ごしやすいサステナブルな社会の構築につながっていきます。 |
栽培に携わる人に優しい素材 |
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オーガニックコットンの生産農家にとって、継続してオーガニックを生産するためには、マーケットを確保していることが重要です。オーガニックコットン製品を積極的に購入することで、生産農家の継続的な有機農業の取り組みが可能になります。 また、オーガニックコットンの認定を受けるためには、労働者の健康や安全への配慮、児童労働の禁止といった厳しい基準をクリアする必要があります。オーガニックコットン製品を使用することで、劣悪な条件などの労働搾取から、綿花農家の人々を守ることにもつながります。 |
オーガニックコットンはどんなアイテムに使用されている?
オーガニックコットンは、通気性や保温性などの機能性に優れているため、生活で使用するさまざまな布製品に使用されます。
例えば、オーガニックコットンは肌触りが良く、皮膚への刺激が少ない素材のため、直接肌に触れて使うマスクや赤ちゃん用のスタイなどにもよく使用されています。肌に優しく化学物質や農薬も未使用なことから、なんでも口に入れてしまう赤ちゃんでも安心して使うことができます。また、繊維の端が丸みを帯びているという特性を生かした、吸水性が抜群で非常に使い心地の良いタオルも人気のアイテムです。
また、ハンドメイド作品や衣類などにもよく使用されています。天然素材の風合いが優しい雰囲気のデザインによく合うため、洋服に仕立てるならナチュラルなTシャツやワンピース、スカートなどとの相性が良いでしょう。吸湿性と放湿性にも優れているため、パジャマや下着にも最適です。汗を吸収し、放出してくれるため蒸れにくく、夏の暑い日でも快適に過ごせます。
オーガニックコットンと通常のコットンとの違いは?
収穫されるコットン自体は、オーガニックコットンでも通常のコットンでも違いはありません。また、どちらも残留農薬は非常に少ないため、化学的なテストなどでもオーガニックかどうかを判別することはできません。では、どのような方法でコットンがオーガニックコットンか通常のコットンかを見分けるのでしょうか。
以下では、オーガニックコットンと通常のコットンの違いを詳しく解説します。
生産・加工方法の違いは?
まず、オーガニックコットンと通常のコットンでは生産・栽培方法が違います。通常のコットンは、綿花栽培の際に農薬などを使用していますが、一方オーガニックコットンは農薬などの薬剤を使用していません。代わりに、牛糞などの有機肥料を使用しているため、環境に配慮したコットン栽培が可能です。
収穫方法についてもそれぞれ異なります。通常のコットンは、摘み取りの際に葉が混じると品質を損なうため、綿花を収穫する前に除草剤を散布します。しかし、オーガニックコットンは、機械や薬剤を使用せずに、1つ1つ手間を掛けて手作業で収穫を行うため、品質の良いものだけを収穫できます。
また、加工方法についても違いがあります。通常のコットンの場合、色を均一にするために漂白を行うことが多く、水質汚染などの問題が指摘されています。オーガニックコットンの場合は、加工の際に漂白や染色などの化学処理を行わないものも多く、素材そのままの茶色がかった色で流通していることも珍しくありません。
着用感・使用感の違いは?
通常のコットンとオーガニックコットンでは、製品の着用感や使用感などにも違いがあります。
通常のコットンは、糸から生地になるまでの工程で、さまざまな化学処理を施しているため、コットン本来の風合いが失われていきます。さらに、失われた風合いを補うために柔軟剤で加工を行いますが、洗濯をする度に加工が取れていくため、使用を続けるうちに硬くパサついた触り心地に変化するものが多い傾向です。また、加工の段階で化学薬品を大量に使用するため、肌が弱い人が着用すると肌に刺激を感じる可能性があります。
一方でオーガニックコットンは、繊維の傷みが少なく、本来の風合いが保たれているため、洗えば洗うほど馴染み、滑らかでふわふわとした肌触りを感じることができます。保温性や保湿性にも優れており、肌触りも良いため、肌で直接、天然の風合いが味わえるのも魅力です。また、残留農薬がごく少量で肌への刺激が少ないため、肌の弱いデリケートな人でも安心して使用できます。
オーガニックコットンのお手入れ方法
オーガニックコットンを使用したアイテムは、風合いや柔らかさを保つために、洗濯などのお手入れの際は注意を払う必要があります。
まず、洗濯の際は水の温度を30度~40度以下にすることが適切です。また、塩素系漂白剤や蛍光増白剤などの使用を避けて、無添加の洗濯石けんを使用することが推奨されています。洗濯後はすぐに形を整え、風通しの良い場所で陰干しします。
注意が必要な事は、天然染めされているものは、繰り返しの洗濯や日焼けなどが原因で徐々に色落ちするという特性がある点です。また、オーガニックコットンは、薬剤による加工処理を行っていないものが多いため、洗濯後に縮みや歪みなどの型崩れが起こる場合があります。
まとめ
オーガニックコットンは通常のコットンと異なり、生産過程で化学薬品を使用していないため、地球環境や人体に優しい素材です。また、保温性や保湿性、吸湿性などに優れているため、衣類やマスク、タオルなどの直接肌に触れるものに適しています。
素材そのままを生かした味わい深い風合いが魅力のため、ハンドメイド作品を作る際にもおすすめです。しかし、色落ちや型崩れが起こる場合があるなどの特性もあるため、お手入れの際には細心の注意を払い、丁寧に扱うことが重要です。