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公開日: 2022.04.25
最終更新日: 2022.04.25

ハンドメイド作家が領収書を書くときの書き方!よくある疑問と回答も

ハンドメイド作家が領収書を書くときの書き方!よくある疑問と回答も

ハンドメイド市場の拡大にともない、ハンドメイド作品を販売する人が増えている一方、領収書の発行方法について疑問を持つ方も増えています。「手作りの作品を副業などで売ってみたいけれど、領収書の書き方が分からない」という方は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、ハンドメイド作家が領収書を発行する目的から領収書の書き方・ポイント、領収書に関する疑問と回答まで紹介します。領収書の書き方を誤ると、税務上の問題になったり、お客様との信頼関係に大きく影響したりする可能性があります。お客様との安心・安全なお取引のため、ぜひ参考にしてください。

領収書とは?発行する目的も

「領収書」とは、「〇〇様から代金を受け取りました」と証明するための証書です。二重に代金が請求されることを防ぐ、会社の経費を不正に使用されることを防ぐことが目的となります。

領収書は、民法486条で「弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる。」と定められています。「弁済」は代金の支払い、「受取証書」は領収書のことです。

引用:e-Gov「民法」引用日2022/03/18

つまり、商品やサービスの対価として金銭の授受があった場合、支払った側が請求したら、お金を受け取った側は金銭の拝受を証明するものを発行する義務があります。

領収書とレシートの違い

「お金を受け取りました」という証明ができるものが領収書にあたるため、レシートも広義では領収書となります。

領収書とレシートの主な違いとして「宛名の有無」がありますが、経費を精算する際に宛名は必ず必要な項目ではありません。宛名が「上様」であったり、内容が「お品代」と具体性がなかったりで、領収書が無効となるケースもあります。その点、レシートは全項目の内容が明記された状態で発行されるため、税務上の信頼性は強いと言えるでしょう。

レシートであっても、「店名・レシートの発行日・商品内容・金額」が記載されていた場合は、税法上は領収書と同じ扱いになります。

【項目別】ハンドメイド作品が売れた!領収書の準備から書き方を把握しよう!

ハンドメイドの作品が売れたら、領収書の発行が必要になることがあります。手書きで領収書を書く場合、下記3点の用意が必要です。

  • 領収書の用紙
  • 印鑑
  • 収入印紙

上記3点は、ハンドメイド作品を売る前に準備しておくと、お客様からの領収書希望があった際に焦らず済むでしょう。

以下では、実際の書き方を項目ごとに解説します。

日付

お客様から代金を受け取った日付を記入します。日付によって、どの年度の取り引きになるかが異なってくるため、税務上とても重要な項目です。

日付の記例は下記の通りです。

  • 2022年1月1日
  • 令和4年1月1日

年号は和暦・西暦どちらでも構いませんが、「H◯年」などの省略形は使用不可のため注意しましょう。

宛名

お客様に確認し、お客様の氏名を記入します。漢字などに間違いがあると無効になるケースもあるため、正式名称を記入しましょう。お客様から「上様」と指定があれば、「上様」と記入しても構いません。

ただし、「上様」と書かれた領収書では、税務調査がクリアできないケースがあります。上様は不特定多数に当てはまる表現で、誰が支払ったのかが曖昧になるためです。なお、「上様」と書くことが法律上認められている職種もあります。

下記の業種は、宛名の記載は要件から省かれているため、上様でも問題ありません。

  • 小売業(スーパー、百貨店など)
  • 旅客運送業(電車、バスなど)
  • 旅行に関する事業(旅行会社など)
  • 飲食業(レストラン、居酒屋など)
  • 駐車場業

金額

受け取った金額を記入します。金額を記入する際の注意ポイントは、下記の3点です。

  • 最初に「¥(円マーク)」または「金」を入れる
  • 三桁ごとに「,」で区切る(例:1,200,000)
  • 末尾に「※」「-」「也」などを入れる

実際の記入例としては、「¥1,200-」「金1,200也」「¥1,200※」などとなります。

記号などを挿入するのは煩雑に感じるかもしれませんが、これらには改ざん防止の役割があります。例えば、カンマがないと「1200」を「12000」などに書き換えることが可能となります。そのため、必ず数字の前後には記号を挿入し、桁ごとにカンマを入れましょう。

但し書き

但し書きには、具体的に何の代金なのかを記入します。記入例は下記の通りです。

  • アクセサリー代として
  • ピアス代として
  • 文房具代として

一般的に「お品代として」という表記を使用しますが、前述の通り、宛名や但し書きが曖昧な場合、税務調査で不利になる恐れがあります。但し書きはなるべく具体的に記入するようにしましょう。

発行者情報

発行者情報には、以下の内容を記入します。

  • 企業名や法人名、または店舗名
  • 住所
  • 電話番号
  • 印鑑(発行者欄にかぶるように押すのが一般的)

ハンドメイド作品を販売している方は、企業名や店舗名がないこともあります。企業名や店舗名がない場合は、本名または作家名を記入してください。

収入印紙

金額が50,000円以上の場合、課税の対象となるため、領収書に「収入印紙」を貼り付ける必要があります。収入印紙とは、国に対して税金や手数料などを納める目的で発行されるものです。印紙代は、領収書を発行した側が負担します。

収入印紙の金額は、領収書に記載されている金額によって異なります。

領収書の記載金額印紙代
5万円未満非課税
5万円〜100万円以下200円
100万円超〜200万円以下400円
200万円超〜300万円以下600円
300万円超〜500万円以下1,000円
500万円超〜1,000万円以下2,000円

出典:国税庁「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」

収入印紙は、下記の場所で購入できます。

  • 郵便局
  • コンビニ
  • 役所
  • 金券ショップ
  • 法務局

レザーや宝石類などの高額商品を扱っている場合は、収入印紙が必要になることも少なくありません。収入印紙を貼り忘れると、「過怠税(かたいぜい)」という数倍の税金を取られることもあるため、注意しましょう。

ハンドメイド作家が押さえておきたい!領収書に関する疑問と回答

領収書を発行したことがない人にとっては、領収書の発行に疑問を抱くことも珍しくありません。実際、受注後の発送のタイミングで領収書を求められ、書き方が分からず混乱する方も少なくありません。

ここからは、領収書に関するよくある疑問点を、項目ごとに解説します。

印鑑は必須ですか?

印鑑は必ずしも押す必要はありません。しかし、可能であれば印鑑は押しておいたほうがよいでしょう。偽造や改ざん防止のために、押印が必要となります。印鑑を押す際は、発行者情報に被るように押印しましょう。

また、印鑑は、印を彫ってある面が四角い「角印」を使用するのが主流です。

クレジットカードの場合も収入印紙は必要ですか?

クレジットカードの場合は、収入印紙を貼り付ける必要はありません。クレジットカード決済やキャッシュレス決済など、その場でお店が金銭を受け取っていない場合は、収入印紙を貼り付けずに領収書を発行することができます。

収入印紙を貼らなくてよいケースは、クレジットカード決済を含め、下記の3つが挙げられます。

  • 領収書の金額が5万円未満の場合
  • 紙で発行せず、電子的に作成した電子領収書をメールなどで送付した場合
  • クレジットカード決済などで、お店がすぐに金銭を受け取っていない場合

出典:国税庁「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」

出典:国税庁「クレジット販売の場合の領収書」

領収書の不備があった場合はどう対応すればいいですか?

万が一領収書に不備があった場合、領収書を返却してもらい、新たに領収書を発行する必要があります。金額や宛名の漢字間違いなど、少しのミスであっても二重線や訂正印で修正せず、新しく再発行してください。

しかし、再発行は架空の売上計上などにつながるため、基本的に領収書は再発行することができません。そのため、やむを得ず再発行する場合、不備のあった原本はバツなどを書いた上で、控えと一緒に保管しておく必要があります。控えとともに保管することで、二重計上による脱税などの疑いを防げます。

領収書は保存しなくても大丈夫ですか?

領収書は、最長10年の保管義務があります。ただし、保管義務は、個人事業主と法人、白色確定申告と青色確定によって異なるため注意が必要です。

個人事業主で白色確定申告者の場合は5年、青色確定申告者の場合は7年です。法人の場合は、原則7年間から最長で10年の保管義務があります。

領収書は確定申告書を提出する際と、申告後に税務調査が入った際に提出します。紛失などにより領収書を提出できなかった場合、必要経費として認められず、所得控除が受けられなくなります。また、追加の所得税を支払わなくてはならないケースもあるため、領収書は必ず保管しましょう。

まとめ

領収書は、「お客様から代金をいただいた」ということを証明する受領書であり、税務上とても大切な書類です。領収書発行の際は、項目ごとの書き方や保管方法などに十分注意し、もし分からない点があれば、税務署や税理士などに相談しましょう。

これからハンドメイド作品を制作することを検討している方は、ユザワヤなどの大手手芸店から材料を仕入れるのがおすすめです。取引方法だけでなく、材料にもこだわることは、お客様から信頼されるハンドメイド作家になるためにとても重要です。

参考:ユザワヤ