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公開日: 2022.06.14
最終更新日: 2022.06.22

キュプラとは?特徴・性質やレーヨンとの違いも解説!

キュプラとは?特徴・性質やレーヨンとの違いも解説!

スーツの裏地などに使われるキュプラは、上品な光沢感やドレープ感(優雅でゆったりとした様子)を持った魅力的な生地です。しかし、ポリエステルやコットンなどと比較すると、ファッションに詳しくない人にはあまり馴染みのない素材かもしれません。キュプラが何から作られる生地でどのような特徴があるのか、知っているという人は多くはないでしょう。

そこで今回は、キュプラの特徴や性質、洗濯時に押さえておきたいポイントを紹介します。また、混同しやすいレーヨンやポリエステルなどの生地とキュプラとの違いについても解説するため、ぜひ日々のハンドメイド活動に役立ててください。

キュプラとは?

キュプラとは、コットンリンター(cotton linter)と呼ばれる原料から作られる再生繊維です。コットンリンターとは、綿花の種子から3~4cm程度の長い繊維(lint)を取り除いた後、なお種子に残る数ミリ程度の短い産毛のような繊維のことを指します。コットンリンターを束ねて紡績することは難しいため、繊維を一度溶解してから長い繊維に再生します。コットンリンターが原料のキュプラは、コットンの性質を持っており、肌に優しく吸湿性に優れています。

またキュプラは、「銅アンモニアレーヨン」とも呼ばれ、キュプラという言葉自体は「銅」を意味しています。これは「銅アンモニア法」という、酸化銅アンモニア溶液を使って繊維を溶かす、キュプラの製造方法に由来しています。

なお、キュプラは繊維の一般的な名称で、製造メーカーである旭化成の商標名は「ベンベルグ」です。現在キュプラは、世界で唯一旭化成だけが製造しています。キュプラ自体は19世紀末にドイツで生まれましたが、キュプラの製造工程に含まれる銅やアンモニアなどの廃棄物の処理が難点となり、旭化成以外のメーカーは製造を撤廃してしまいました。旭化成は廃棄物の再利用技術を確立したため、1928年から現在にわたって今でも製造し続け、世界中に輸出しています。

キュプラはどんなアイテムに使用されている?

キュプラは、さまざまなファッションアイテムに使われていますが、代表的なものはスーツやコート、ジャケットの裏地です。コートやスーツの裏側にツルツルとした肌触りのよい生地があることは知っている人も多いでしょう。その裏地で使われている素材がキュプラになります。また、キュプラを使ったドレープ感のあるスカートやゆったりとしたパンツといったボトムスも販売されています。

肌触りが良く美しい光沢感もあるため、ワンピースやドレスの生地としても適しているでしょう。さらに、キュプラの柔らかさや吸湿性を生かした、とろみ感のあるシャツなども女性からの人気が高いアイテムです。このように、キュプラは多くのファッションシーンで楽しまれています。また、高級感があり質の高い生地であることから、キュプラが使われているかどうかで衣服の質を確かめる場合もあります。

再生繊維とは?

キュプラのように天然素材を溶解後に再生して作る繊維や、ペットボトルを溶解して再生するポリエステル繊維のことを、再生繊維と呼びます。再生繊維は、植物系と化学系の2種類に分けることができ、キュプラは植物系、ポリエステル繊維は化学系と分類されます。植物系の再生繊維とは、綿や木材パルプなどの天然繊維を化学薬品の力で一度溶かし、再び紡糸したものを指します。

繊維を一度溶かす手間をかけるのは、天然繊維の中でも短く紡績しづらい繊維を有効活用するためです。短い繊維には、強度が低いというウィークポイントがあります。溶解をして長い繊維に再生することで、糸の強度の低さや摩擦に対する弱さをカバーすることが可能です。

また再生繊維は、以下のような特徴からサステナブル(持続可能)で環境に優しいというメリットがあります。

  • 本来は繊維として使えない部分や、使用済みのペットボトルなどを原料として利用している
  • 土に埋めると微生物によって分解され、土へ還ることができる
  • 焼却しても有害物質はほとんど発生しない

キュプラの主な特徴・性質

キュプラは下記の特徴と性質を持っています。

・高級感がある

キュプラ生地の持つ、テカテカしない品のよい光沢感とドレープ性による美しいシルエットは、衣服の高級感をグッと高めてくれます。

・手触りが滑らか

キュプラの繊維は表面が柔らかく断面が丸いため、生地の手触りがとても滑らかです。そのため肌への刺激が少なく、敏感肌の人でもストレスを感じることなく着用することができるでしょう。

・静電気が起こりにくい

静電気の起こりにくさは、衣服の着心地をよくするために欠かせないポイントです。キュプラは多くの水分を繊維に含んでいるため静電気が起きにくく、衣服の裏地などへの使用に適しています。

・調湿機能がある

湿度を吸い取ったり放出したりする調湿機能に優れるキュプラ素材の衣服は、ムレやべたつきを防ぐため、着心地がとても爽やかです。夏は涼しく、冬は暖かく感じられるため、年間を通して快適に過ごすことができます。

洗濯時の注意点は?

キュプラは多くの長所があり魅力に溢れた生地ですが、水に濡れると縮んだりヨレたりしてしまうというデリケートな一面も持ち合わせています。基本的にはクリーニングに持っていくことをおすすめしますが、時間がなくてどうしても自宅で洗濯したいといった場合は、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 洗濯表示を確認する
    キュプラ以外の繊維も混ざっている混紡生地の衣服の場合は、水洗いができないことがあります。あらかじめ洗濯表示を確認しましょう。
  • 優しく手洗いする
    デリケートなキュプラ生地を洗濯したい場合は、生地の痛みを防ぐために洗濯機を使わずに優しく手洗いしましょう。
  • 水の温度は30℃以下にする
    キュプラの洗濯時は水温に注意が必要です。30℃以下の水を使えば、縮みや型くずれを防止することができます。
  • 手早く済ませる
    水が苦手なキュプラの洗濯時間は、できるだけ手早く済ませてください。具体的には、1分ほど洗うだけで十分汚れが落ちるでしょう。
  • 押し洗いをする
    こすり洗いはキュプラ生地を痛める原因になってしまうため、押して汚れを水に溶かし出すように洗いましょう。
  • 中性洗剤を使う
    キュプラの洗濯に使用する洗剤は、おしゃれ着用の中性洗剤です。生地へのダメージを押さえながら、皮脂汚れを十分落とすことができます。

普段のお手入れでは、汗染みなどを濡れたタオルで軽く叩くようにして拭くのがおすすめです。臭いが気になる場合は、おしゃれ着用の中性洗剤を溶かした水でタオルを濡らし、お手入れをするのも良いでしょう。こまめにお手入れすることで、着るたびにクリーニングに出さなくても清潔な状態を保つことができます。

キュプラと他の生地・素材の比較

キュプラと同じように衣服の裏地などに使われる素材には、レーヨンやポリエステル、シルクなどがあります。これらの素材は光沢性とドレープ性を持っているため、キュプラとよく似ていますが、それぞれ異なる特徴があります。

ここからはレーヨン・ポリエステル・シルクの3つの生地の特徴とキュプラとの違いについて、詳しく説明します。

レーヨン

レーヨンはキュプラと同じく再生繊維の1つですが、繊維原料として使われているのはコットンリンターではなく木材パルプです。薄手で肌触りのよいレーヨンは、スーツやコートの裏地からシャツやパジャマまで幅広いアイテムに使われています。

元来シルクに代わる生地として開発されたレーヨンは、耐火性・耐久性に課題がありましたが、技術が進むにつれて改善されました。レーヨンの光沢感や調湿性、しなやかさはキュプラと同様です。しかし、レーヨン繊維はキュプラよりも太く断面には凹凸があるため、キュプラと比べると滑らかさはやや劣ります。

ただし、手頃な価格で手に入れることができるため、普段着などの衣類にも採り入れやすい点が魅力です。

ポリエステル

ポリエステルは、石油などから作られるPET(ポリエチレンテレフタレート)を原料として、化学的に合成された合成繊維です。PETとは、ペットボトルの原料としてもよく知られる化学物質です。衣服だけでなくバッグやカーテン、リネンやテントから傘などまで、多種多様なアイテムに使われています。

ポリエステルは速乾性に優れ、型くずれしにくいという特徴を持っています。また、摩擦に強く、シワになりにくいのも大きな長所です。大量生産も可能なため、ポリエステルを使ったアイテムは比較的安価で販売されています。

しかし、キュプラとは異なり吸湿性が低く、静電気が起こりやすいという特徴もあります。肌触りなどの風合いもキュプラより硬いため、肌への負担についても注意が必要です。

シルク

シルクは、蚕(かいこ)の繭(まゆ)から作られる天然繊維です。人の皮膚のタンパク質構造に似ているため、身につけていてもかぶれを起こしにくく、敏感肌の人に優しい素材です。

シルクは軽量で柔らかく、特有のしなやかさや静電気の起こりにくさなどの魅力を多く持っています。また、美しい光沢を持っているため、シルク生地は古代から現代まで世界中で愛用されてきました。

しかし、高級生地であるシルクは価格が高く、家庭での洗濯が難しいという特徴もあります。また、変色しやすく虫に食われやすいため、常用にはあまり向いていません。

まとめ

キュプラは滑らかな肌触りや美しい光沢が魅力の再生繊維で、スーツなどの裏地やシャツ、ボトムスなどに使われています。湿度調節の機能が高いことから、1年中快適な着心地をキープしてくれるため、汗っかきの人や肌が敏感な人はキュプラを裏地に使用した衣服を着ることもおすすめです。

ただし、キュプラは家での洗濯にあまり向いていない素材です。家で洗濯したい場合は必ず洗濯表示を確認し、ぬるま湯で素早く手洗いをしましょう。汗染みなどは、おしゃれ着用の中性洗剤を溶かした水でタオルを濡らしてから、軽く叩くようにして拭くのがおすすめです。こまめなケアをすることで、キュプラの風合いや光沢を保ったまま長く着続けることができます。