ヘリンボーンってどんな生地?どんな織り方?魅力を紹介
ヘリンボーンは、V字型と逆V字型が連なった模様の総称です。織物では羊毛を使った秋冬物の衣類が定番で、他にも綿や麻、ポリエステルなどの素材が用いられます。着心地のよさや丈夫さ、上質な雰囲気から、幅広い世代に人気のある生地です。
今回はヘリンボーン生地とはどのようなものなのか、使用されるアイテムや主な素材、特徴や魅力などから解説します。また、ヘリンボーンと同じ綾織り(斜文織り)の変化組織についても紹介するため、ソーイングの生地選びの参考にしてください。
目次1
ヘリンボーンとは?
ヘリンボーンとは、タテ糸とヨコ糸を2本以上ずつ組み合わせて織る、綾織りの一種です。最大の特徴は、連続したV字型(山型)の柄です。ヘリンボーンという名称は、織物に限らず、フローリングやタイルといったインテリアの分野などでも、模様そのものを指して使われます。
魚の骨のような模様をしているため、語源は英語で「ニシンの骨」を意味する「Herring bone」です。杉の葉のような形をしていることから、日本では「杉綾織り」とも呼ばれます。
ヘリンボーンはどんなアイテムに使用されている?
ヘリンボーンの定番は、ウール(羊毛)を使った秋冬物の衣類です。例えばジャケットとパンツのセットアップ、コート、スカートなどに用いられます。クラシックで王道ながらも、カジュアルでおしゃれな雰囲気もあり、流行りを問わず人気です。
ウール以外の素材でも、平織りよりも厚みがあり、しっかりとした質感の生地になります。そのため、メンズスーツやレディースのアンサンブルなど、フォーマルなアイテムを仕立てる場合にも、高級感のある仕上がりが期待できます。
ハンドメイド作品に用いる場合は、小物を作るのがおすすめです。適度な厚みの丈夫な生地のため、裏地なしでペンケースやポーチ、ブックカバーなどが作れます。ネクタイなどのファッションアイテムもおすすめです。シンプルな作りでもセンスよく仕上がるため、贈り物にもぴったりです。
ヘリンボーンに使用されている主な素材
ヘリンボーン生地には、先に挙げた定番のウール以外にも、さまざまな素材が使用されています。その中でも主な素材である綿、麻、ポリエステル、羊毛(ウール)について、その特徴を解説します。ヘリンボーンを使ったソーイングをする際、ぜひ素材選びの参考にしてください。
・綿
綿は植物の種から採れる、最も身近な天然素材です。綿素材の布地は、優しくふんわりした肌触りで着心地がよく、Tシャツやカットソー、パジャマなど、日常使いの衣類に適しています。
通気性や吸水性、保温性に優れているため、季節を問わず快適に着られます。洗濯や乾燥によっては縮む可能性があるため、お手入れには気をつけましょう。
・麻
麻はリネンやラミーなどの植物の繊維を使った天然素材です。衣類として使われる生地は、表面はざらりとした手触りで、見た目にはハリとシャリ感があります。
吸水性と通気性に優れているため、湿度の高い日本では、昔から夏の定番の素材として重宝されてきました。色褪せしやすく、シワができやすいため、直射日光を避けて陰干しを行い、ハンガーにかけて保管しましょう。
・ポリエステル
ポリエステルは最も身近な合成繊維で、機能性に優れた素材です。つるりとした光沢感ある生地は、耐久性が抜群で、型崩れもあまりしません。
シワになりにくいのに加え、吸湿性が高く洗濯してもすぐに乾くため、お手入れが簡単です。一方で、静電気が発生しやすく、毛玉ができやすいというデメリットもあります。
・羊毛
羊毛は動物由来の天然素材で、ウールの1つです。保温性に優れているため、ニットやコートなど、秋冬の衣類によく用いられます。また、伸縮性と弾力性があり、厚手の生地でも着心地がよく、シワや型崩れの心配がいりません。
お手入れは少し難しく、自分で洗うと縮んだり、毛玉がついたりする可能性があります。自宅で洗えないこともないですが、クリーニングに出す方が無難でしょう。
ヘリンボーンの主な特徴・魅力
ヘリンボーンは、用いられる素材が幅広く、素材の種類によって表情や風合いが異なります。しかしどの素材を使っても、織り方による特徴や魅力は変わりません。ヘリンボーンの特徴・魅力を3つのポイントにまとめて紹介します。
ヘリンボーンの主な特徴・魅力 |
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・着心地がいい ヘリンボーンには、厚い生地でも損なわれない柔軟性があるため、厚手の生地で仕立てた衣類も快適に着られます。着れば着るほど体に馴染み、しっくりしてくるため、見映えがするのも大きな魅力です。 ・強度が高い ヘリンボーンは綾織りのため、生地には適度な厚みと、しっかりした質感があります。これらの織りの特徴から、とても丈夫で、洗濯を繰り返しても型崩れしづらい、強度の高さを誇ります。 ・シックな雰囲気がある ヘリンボーンはオーソドックスな織り方ですが、おしゃれで垢抜けた印象です。生地には綾織り特有の光沢があり、はっきりした織り目は、高級感を演出します。スーツやコートなど、フォーマルなアイテムにぴったりです。 |
ヘリンボーン生地にはハリやコシがあるため、シワになりにくく、一度シワがついても戻りやすい性質があります。また適度な厚みから扱いやすいため、ハンドメイドの素材としてもおすすめです。
洗濯時の注意点は?
ヘリンボーン生地にはさまざまな素材が使用されており、お手入れの方法は使われている素材によって異なります。衣類の場合はタグの品質表示を確認して、お手入れしましょう。
綾織りは摩擦に弱い、デリケートな一面があります。基本的には手洗いをしましょう。洗濯機を使う場合には、洗濯ネットに入れた上で、手洗いやデリケートコースに設定するのがおすすめです。
洗濯機の使える綿や麻素材であっても、毛羽立ちや毛玉の原因となるため、乾燥機能の使用はおすすめできません。
ジャケットやコートなど、型崩れしやすいアイテムや羊毛素材の衣類は、洗濯だけでなくアイロンがけも難しいため、クリーニング店に出した方が安心です。
ヘリンボーンと併せて知っておきたい!綾織りの種類
ヘリンボーンは三原組織の1つである、綾織りの一種です。綾織りは、斜めに目が走ることから、「斜文織り」とも呼ばれます。ヘリンボーンは綾織りの変化組織にあたる「山形斜文織り」です。
ここからは、綾織り(斜文織り)の3種類の変化組織について紹介します。
変化斜文織り
変化斜文織りは、太い綾目同士や、太い綾目と細い綾目を組み合わせた、はっきりした幅広の斜文線が特徴の織り方です。「フランス綾」や、「ファンシーツイル」とも呼ばれます。織り目の角度はかなり急で、ほとんどの場合右上がりとなっています。
柔らかい質感と優しい光沢のある生地ができるため、綿素材の場合はカジュアルなアイテムによく用いられます。
破れ斜文織り
破れ斜文織りは、本来の綾織りであれば綾目が連なってできる稜線を途中で断ち切り、方向転換する織り方です。「ブロークンツイル」とも呼ばれます。
綾織り特有の、綾目の方向にねじれてしまう性質を解消させるために開発された組織です。綾目が表れないため、表面になめらかな風合いが表れます。生地の持つ丈夫さも、魅力の1つで、デニム生地としても用いられます。
山形斜文織り
山形斜文織りは、綾目を右上がりと左上がりの交互に繰り返して織ることで、斜めに綾目が走る織り方で、ヘリンボーンはこの織り方に該当します。織り目が山形の連なった柄に見えるため、このような名称がついています。
右綾の持つ耐久性と、左綾の持つ柔らかさを兼ね備え、高級感のある見た目と、シワのできにくい扱いやすさから、フォーマルな衣服を仕立てるのにぴったりの織物組織です。
まとめ
ヘリンボーンはV字型(山型)の連なる模様の総称で、織物では綾織りに分類されます。綿やポリエステル、羊毛などさまざまな素材から織られています。着心地のよさと、上品な雰囲気から、ジャケットやコートなど、フォーマルなアイテムにもぴったりです。お手入れは使われている素材によって異なりますが、デリケートな生地のため、扱いには注意が必要です。
ヘリンボーンは山形斜文織りの1つで、綾織りの変化組織には他にも種類があります。それぞれの特徴や魅力を知って、ハンドメイドの作品作りに役立てましょう。