ジョーゼット生地の特徴は?シフォンやデシンとの違いも
春夏用のブラウスやスカートの素材に使われるジョーゼットは、表面にシワ加工が施された、特徴のある薄手の生地です。ジョーゼット生地を使ったアイテムを作ってみたいと思いながらも、「薄手の素材は扱いが難しそう」などといった理由でなかなか手が出せない方もいるのではないでしょうか。
当記事では、ジョーゼット生地の特徴や取り扱う上でのポイントを紹介します。ジョーゼットとよく似た生地との違いも解説するため、ハンドメイド作品を作る際の参考にしてください。
目次1
ジョーゼットとは?
ジョーゼットとは、強撚糸(撚り数が多い撚糸)で織られた生地に高熱を加えて縮ませることで、シボ(シワ模様)を出した生地のことを指します。密度の粗い織物のため、薄手で透け感のある涼しげな風合いが特徴です。ジョーゼットは、20世紀初頭フランスにて誕生しました。「ジョーゼット・クレープ」が正式名称であり、ドレスメーカーの名が由来とされています。
価格によって生地の質が異なる点もジョーゼットの特徴です。一般的に柔らかく肌触りがよいシボ数が多いものが高価な生地に分類され、安価なものはシボが少なくザラザラとした手触りの生地が多いとされています。しかし中には、梨地織りを使用することで、あえてザラザラ感を出した「梨地ジョーゼット」と呼ばれる種類もあります。
ジョーゼットはどんなアイテムに使用されている?
ジョーゼットは、表面のシボと涼しげな肌触りが魅力であり、高級感や上品な雰囲気を出すことができます。以下のアイテムによく使用されています。
・パーティードレスやワンピース
ジョーゼットはエレガントな印象を与えるため、優美なシチュエーションによく合います。ジョーゼット生地のパーティー用ドレスやワンピースは、結婚式や入学式はもちろん、フォーマルな場面にもぴったりです。
・ブラウスやスカート
表面のシボにより熱がこもりにくく、夏の汗ばむ時期に重宝されます。さらにドレープ性にも優れており、体型が気になる人でもおしゃれに着こなしながら体型カバーができるところも魅力的です。
・イベント衣装(コスプレ衣装)
コンクールやイベントなどの衣装生地にも多く使用されます。ジョーゼットは粗めに織られていることから上品な透け感があり、華やかな舞台にもおすすめです。また、伸縮性や弾力性もあるためシワになりにくく、カバンなどに入れて持ち運びをするコスプレ衣装にも使いやすいでしょう。
ジョーゼットの主な特徴
ジョーゼットは、絹(シルク)素材を平織りして作った「ちりめん」織物の一種です。元々は絹素材の生地を指していましたが、現在ではコットン素材や混紡素材、合成繊維なども使用されており、さまざまな種類があります。以下はジョーゼットの主な特徴です。
ジョーゼットの主な特徴
- 上品なシボ加工と透け感
- 弾力性があり、シワになりにくい
- さらりとした肌触り
- 生地が薄く、通気性がよい
ジョーゼット生地の大きな特徴は、表面に「シボ」があることです。適度な隙間を残して織っているため、美しい透け感があります。他にはないシボ感と透け感の独特な風合いで、高級感のある上品な印象を与えることができる生地です。
また、収縮加工しているストレッチ生地のため伸縮性もあり、シワや型崩れが起きにくいです。普段使いの洋服であれば、基本的にアイロンをする必要もなく、いつでもキレイに着こなせることも魅力の1つです。ジョーゼット生地は薄地で軽く、通気性にも優れているため、夏の暑い時期でも涼しくさらりと着こなせるでしょう。
ジョーゼットとシフォンの違い
ジョーゼットと似た素材として「シフォン素材」がよく挙げられます。シフォンはタテ糸とヨコ糸を交差させながら織った平織りの生地です。ジョーゼット同様、強撚糸を使用しているため、シワになりにくい特徴があります。またシフォンも、元々は絹素材で作られていましたが、現在ではレーヨンやナイロンなどの化学繊維で作られるシフォン生地も登場しています。
上記の特徴からもジョーゼットとシフォンは似た素材であることが分かりますが、ただしシフォンにはシボがありません。また、撚り数が少ない細い糸を使用しているため、ジョーゼットより薄地で透け感が強いことが大きな違いです。
シフォンは、ふんわりとした華やかでフェミニンな印象を与えることができるため、女性物のブラウスやスカートに多く使用されています。
ジョーゼットとデシンの違い
「デシン」はタテ糸に無撚糸もしくは弱い撚糸、ヨコ糸に強撚糸を使用して高密度に織った生地のことです。
デシンは、ジョーゼットのように生地を縮ませる加工は行っていません。また異なる糸を使用することで糸のハリ具合に違いが生まれ、強撚糸が元に戻ろうとする力で細かいシボを作り出しています。ジョーゼットよりも柔らかく触り心地がよい風合いを持ちます。
ジョーゼットとデシンを同じ糸を使用して織った場合、デシンのほうがより透け感のある生地に仕上がります。淡い色でなければ肌が見えるほど透けることもないため、ブラウスやドレス衣装の素材にもおすすめです。
ジョーゼットとオーガンジーの違い
「オーガンジー」とは、タテ・ヨコの糸を1本ずつ織り込んだ平織物に、特殊加工を施し独特なシャリ感をまとった生地のことです。つやつやした光沢感があり、ウェディングドレスや舞台衣装など、華やかなアイテムに多く使用される生地です。
ジョーゼットとオーガンジーは、ともに仕上げ加工を行っている点は同じですが、加工方法が異なるため、生地の風合いが変わります。ジョーゼットは、布を縮ませる加工によりシボを出した生地のことで、柔らかく繊細な生地に仕上がります。一方で、オーガンジーは薬品を使って加工しており、パリッとしたハリ感のある生地に仕上がることが特徴です。実際に手で触れてみるとその違いが明確に分かるでしょう。
ジョーゼットを取り扱う際のポイントは?
デリケートなジョーゼット生地は、取り扱いに注意が必要です。尖ったものに引っ掛けてしまうとストッキングのように簡単に伝線してしまうこともあります。洗濯する際は、洗濯ネットに入れる、おしゃれ着コースで洗うなどの工夫をしましょう。
また熱に弱いため、アイロンがけを自宅で行うのは難易度が高いでしょう。ジョーゼットはシワになりにくいものの、ドレスなど長期間クローゼットで保管するアイテムはシワがつく場合もあります。シワのお手入れは自宅よりもクリーニング店に持ち込むほうがおすすめです。クリーニングに出す時間がない場合は、スチームアイロンであれば、多少のシワは伸ばせます。ただし、スチームをあてすぎてしまうと、茶色く変色する可能性もあるため気をつけましょう。
ハンドメイドで使用されることも多いジョーゼットですが、薄手で扱いが難しい生地のため、キレイに裁断・裁縫するためにはコツがいります。普通に裁断してしまうと布がズレやすく、真っすぐに裁断しにくいため、薄い紙に生地を貼り付ける、スプレー糊を活用するなどの工夫で歪まずキレイに裁断できるでしょう。
またジョーゼット生地は滑りやすいため、ミシンでうまく縫えない際は、生地の下に紙を敷くと厚みが増して扱いやすくなります。ほつれやすい生地のため、仕上げに端処理を行っておくと安心でしょう。
まとめ
ジョーゼットは、生地に高熱を加えて練り、縮ませる仕上げ加工を施すことで、上品なシワ模様を出した生地のことを指します。ジョーゼット生地は、ブラウスやスカートなどの普段使いの衣服だけではなく、パーティードレスやワンピース、コスプレ衣装など幅広いアイテムに使用されています。
ジョーゼットは薄手で繊細な生地のため、ハンドメイドで扱うには少し注意が必要です。ハンドメイド初心者の方でも、生地の下に紙をひいたりスプレー糊を活用したりすることで、キレイに仕上げることができるでしょう。ぜひ試してみてください。