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公開日: 2022.05.17
最終更新日: 2022.05.17

中表とは?外表との違い・メリット・具体的な縫い方も紹介

中表とは?外表との違い・メリット・具体的な縫い方も紹介

作品を製作する際に、ソーイングの雑誌などで「中表で縫い合わせる」という用語があり、言葉の意味や読み方も分からず、やる気がしぼんでしまってはいないでしょうか。

そこで今回は、裁縫の専門用語である「中表(なかおもて)」の意味と「外表(そとおもて)」との違い、それぞれの縫い方を解説します。

中表・外表を知るのは裁縫の基本です。手芸初心者以上の方も、中表・外表の特徴を理解した上で裁縫を始めることで、裁縫のレベルが上がるでしょう。

中表とは?外表との違いも解説

中表とは、2枚の布または布を折りたたんだとき、布の表同士がくっつくように内側に重ね合わせることで、布の裏側が両面とも見えている状態です。中表で縫い合わせてから裏返すと、縫い目が内側に隠れます。

外表とは、布の表を外側にして裏同士を重ね合わせることです。

中表と外表を間違えると、失敗の原因となります。縫い目をほどき、最初からやり直さなくてはならない場合もあります。布の重ね方が正しいと仕上がりが綺麗になるため、必ず重ね方を確認してから縫い始めましょう。

中表・外表で縫うメリット

中表と外表は、それぞれ役割や特徴があります。使用する布地・手順や、どのような雰囲気の作品に仕上げたいのかによって、中表と外表のどちらが適切かは変わります。

中表と外表のそれぞれのメリットを活かしてイメージしている作品を綺麗に仕上げるために、布の重ね方は重要なポイントです。

ここでは、中表・外表で縫うメリットについて解説します。

中表は縫い目が見えないので仕上がりが綺麗になる

中表で縫い合わせるメリットは、縫い目が見えないことです。縫い合わせてから裏返して表側を出すため、縫い目や布の端が内側になり、すっきりとした見た目になります。

外表で縫い合わせると縫い目や布の端が見えるため、縫い目を見せたい、布の端の処理をしなくてもよいなどの条件がないと、あまりよい仕上がりにはなりません。

見た目を綺麗に仕上げたい場合は、中表で縫うことをおすすめします。

外表は完成品をイメージしながら縫える

外表で縫い合わせるメリットは、絵柄を見ながら縫えるため完成品をイメージしやすい点です。外表は縫い目が見える縫い方のため、ひと味違ったデザインの作品に仕上がります。

また、外表は縫い目を接着フェルトで隠したい場合にも最適です。接着フェルトにはアイロンで簡単に接着できるものもあり、初心者でも簡単に取り扱えます。

中表・外表を使った縫い方3選

中表と外表を理解することは、裁縫する上で基本中の基本です。中表と外表を使いこなすことで、さまざまな作品をイメージ通りに仕上げることができます。基本的に中表で縫い、補強やデザインに合わせて外表を使うとよいでしょう。

ここでは、作品の作り方を通して、中表と外表の縫い方を紹介します。

コースター

コップや水差しの下に敷くコースターは、以下の手順で縫います。

1中表で4辺を縫い合わせる
仕上げたい大きさに縫い代1cmをプラスした正方形の布を中表に合わせ、3cmほどの返し口以外の4辺を縫い代1cmで縫い合わせます。
24つの角をカットして裏返す
4つの角を斜めにカットして、返し口から表面が見えるように裏返します。裏返すことで、カットした角が綺麗に出やすくなります。
3アイロンをかける
角をしっかりと出したら、返し口を内側に入れてアイロンをかけます。
4返し口を縫って完成
アイロンで角を整えたら、最後に返し口を手縫いで閉じて完成です。最後にもう一度アイロンをかけると、仕上がりが綺麗になります。

ナップサック

ハイキングなどに使われることの多いナップザックは、以下の手順で縫います。

1表地と裏地を裁断する
袋の表側になる布地(表地)と、内側になる布地(裏地)をそれぞれ、タテ(仕上がりサイズ:80〜85cm×2倍)×ヨコ(35cm)に縫い代込みで裁断します。
2タブを作り仮止めする
まずは、タブとなる布地(8×6cm程度)または持ち手テープを2枚用意します。
布地でタブを作る場合は、長辺を4等分し内側に織り込み、上下ともに端から2mmで縫い合わせます。表地の表側、長辺の1/2部分(底になる場所)から3.5cmほど上の両サイドに、二つ折りにしたタブの端を表地の布端に合わせて内向きに置き、端から5mmあたりを仮止めします。
3表地と裏地を中表で縫い合わせる
表地と裏地を中表で重ね、両側の短辺をそれぞれ縫い代1cmで縫い合わせます。縫い代をアイロンで割り、表地を右側・裏地を左側にして、底になる折り返しが左右にくるよう、縫い代を中心に置きます。
4表地と裏地の上下を縫い合わせる
左右4つの角でマチを作るために、底側3cm×脇側2cmの四角を切り離します。そして、上下をそれぞれ縫い代1cmで縫い合わせます。
※返し口8cm、ヒモ通し口2cmは縫い残します。
5マチを作り裏返して返し口を閉じる
アイロンで上下の縫い代を割ります。マチの切り込みを広げて、脇部分と底部分を台形のように合わせて縫い代1cmで縫いましょう。そして、返し口を閉じます。
6ヒモ通し口を縫う
裏地を表地の中に入れ、アイロンで袋口を整えます。脇側に開いているヒモ通し口2cmの上下を、袋状に一周縫います。
7ヒモを通して完成
本体上部のヒモ通し口とタブに、2本のヒモを通して完成です。

クッションカバー

クッションを汚れなどから守るクッションカバーは、初心者にも作りやすいアイテムです。クッションカバーは、以下の手順で縫います。

1布を裁断し両端を縫う
45cm×45cmのクッションカバーの場合、必要な布幅(50cm×105cm)を用意します。 両端の短辺を中心に向かって2cm折るのを2回繰り返して三つ折りにし、アイロンで折り目をしっかりつけてから縫い付けます。
2外表、中表の順に縫い合わせる
縫い付けた両端を真ん中に向けて外表で重ねてたたみ、折った両サイドにアイロンをかけます。上下を補強するために、袋縫いという技法で二層になるよう縫いましょう。外表のまま上下を縫い代1cmで縫い、中表に裏返して再度上下を縫い代1.5cmで縫います。
3表地に戻して完成
中表で縫い終えたら、外表に裏返して完成です。

布の表裏を見分ける5つの方法

中表・外表を使いこなすためには、布の表と裏を見分けなくてはなりません。しかし、布の種類によって、一目ですぐに分かるものと、分かりづらいものが存在します。

ここでは、布の表裏の見分け方を紹介します。

●プリントの濃さで見分ける

布の表と裏を見比べてプリントされた柄や色の濃さが違う場合は、濃い面が表です。

●光沢の有無で見分ける

シルクやサテンなど光沢のある布は、光沢のある面が表です。

●布の端にある小さな穴で見分ける

布に「生地の耳」と呼ばれる布の端がある場合、小さな穴が複数並んでいます。穴を触ってみて、突出している面が表です。穴のある部分を裁断すると、表裏が見分けられなくなるため、マスキングテープなどで印をつけておくとよいでしょう。

●布の端に記載がある文字で見分ける

高級ウールなどの布の端には、原産国を表記している場合があります。原産国の表記がある面が表です。

●布の模様から見分ける

デニムやツイル、ギャバジンなどの綾織物は、糸の交差が斜めの線として現れる布目が特徴です。右上から左下方向に伸びる線が見える面が表です。

まとめ

中表や外表などの基本用語や縫い方を知ることは、仕上がりの綺麗さにつながります。また、袋縫いで部分的に強度を上げたり、縫い目を隠したりなどのメリットもあり、作品の完成度は一段と高くなるでしょう。

コースターやクッションカバーは、ミシンなら10分程度、手縫いでも短時間で簡単に作ることができます。ユザワヤなどの手作り素材の専門店でお気に入りの布を購入して、インテリアなどに合うオリジナル作品にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

参考:ユザワヤ