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公開日: 2021.10.20
最終更新日: 2021.10.20

毛糸の太さの特徴|棒針・かぎ針の号数や番手の調べ方・換算式も

毛糸の太さの特徴|棒針・かぎ針の号数や番手の調べ方・換算式も

手編みに初挑戦する人が編み図を前にして戸惑うことのひとつに、毛糸の選び方があります。お手本で指定の毛糸ではなく、「同じ模様で違う色や質感の作品が編みたい」と考える人も多いでしょう。

しかし、「お手本と同じ並太の毛糸と編み針で編んだにもかかわらず、違うサイズに仕上がった」という例は少なくありません。これは、同じ太さ表記でもメーカーによって実際の太さが異なるためです。

今回は、毛糸の太さを表す際に日本で使われている名称や各太さに適した棒針・かぎ針の号数、世界基準の単位などを解説します。

手芸で使われる毛糸の太さの特徴

手芸作品に毛糸を使う場合、「素材」の差以外にも「太さ」の差によって、作品の厚みや温かさといった編み上がりに大きな差が生じます。毛糸で編み物をする際は、作品の用途によって使い分けることで理想の編み物を制作することが可能です。

ここでは、手芸で使われる毛糸の太さについて解説します。

日本では主に6種類の太さの毛糸が使われている

日本の手芸界では、毛糸の太さを「並太」「合太」など大まかな表現で分類することが一般的です。市販の毛糸は、主に極細・中細・合太・並太・極太・超極太の6種表記が使用されており、メーカーによっては最大11種類の太さが用意されています。

各太さの名称と読み方、直径・番手・撚り数の基本的な目安リストは下記のとおりです。

細い
超極細極細合細中細
合太並太並太
太い
極太極々太超極太超々極太
超極細
読みちょうごくぼそ
直径~0.8mm
番手32~42番手
撚り~2本
極細
読みごくぼそ
直径0.8~1mm
番手18~24番手
撚り2本
合細
読みあいぼそ
直径1~1.2mm
番手18~20番手
撚り3本
中細
読みちゅうぼそ
直径1.4~1.6mm
番手16~18番手
撚り4本
合太
読みあいぶと
直径1.8~2mm
番手14~16番手
撚り4本
並太
読みなみぶと
直径2~3mm
番手8~14番手
撚り4本
読みふと
直径2.5~3mm
番手7~8番手
撚り3本
極太
読みごくぶと
直径3~4mm
番手5~6番手
撚り3本
極々太
読みごくごくぶと
直径4~5mm
番手1~3番手
撚り3本~
超極太
読みちょうごくぶと
直径5~7mm
番手1~3番手
撚り3本~
超々極太
読みちょうちょうごくぶと
直径8mm~
番手1~3番手
撚り3本~

なお、上記の直径や撚り数はあくまでも目安であり、「極々太」が「極太」に含まれるなど、メーカーによって毛糸の太さが異なるため注意が必要です。

メーカーによって毛糸の太さが異なる

毛糸の太さは、メーカーごとに設けられた独自の基準によって、6~8種類に分けられています。メーカーごとに基準が異なる理由は、JIS規格のような共通する規格が毛糸には存在しないためです。上記の理由によって、異なるメーカーの毛糸を購入した場合、「A社の並太よりB社の合太のほうが太かった」となるケースはよくあります。

小さなモチーフ程度であれば、多少毛糸の太さが異なっても問題ありません。しかし、セーターなどの大物に挑戦する場合は、わずかな太さの差が編み上がりの寸法に大きく影響します。毛糸を通販サイトで購入する際は、メーカーで設けている毛糸の基準や特徴などを事前に調べ、複数メーカーの商品を比較した上で選択することが大切です。

毛糸の太さに適した棒針・かぎ針の号数

編み物に慣れないうちは、毛糸の太さに適した号数の棒針・かぎ針を使用したほうが編みやすく、綺麗に仕上がります。

以下は、毛糸の各太さに適した棒針・かぎ針の号数対応表および、初心者でも挑戦しやすいアイテムです。なお、超極細タイプの毛糸は、毛糸用のかぎ針よりもレース針での編み物に向いています。

毛糸の太さ棒針の号数かぎ針の号数
極細(0.8~1mm)0~2号2/0号
合細(1~1.2mm)1~3号2/0~3/0号
中細(1.4~1.6mm)2~4号2/0~4/0号
合太(1.8~2mm)3~6号3/0~5/0号
並太(2~3mm)5~10号5/0~7/0号
極太(3~4mm)9~14号8/0~10/0号
超極太(4mm~)12号~ジャンボ20mmジャンボ7~15mm
毛糸の太さ編みやすいアイテム
極細
  • 手袋
  • 靴下
  • アームウォーマー
  • 編みぐるみ
  • モチーフ
  • ドイリー
合細
中細
合太
  • マフラー
  • スヌード
並太
  • 帽子
  • セーター
  • バッグ
  • ブランケット
極太
超極太

棒針・かぎ針の号数に幅がある理由は、編む人によって編み目のきつさが異なるためです。初めて編み物をする場合は、練習用の毛糸と針を使ってゲージをとってみるとよいでしょう。

日本語表記のある毛糸のラベルには、その毛糸に見合った棒針・かぎ針の号数や標準ゲージが記載されていることがほとんどです。毛糸を購入する際は、ラベルの適正サイズも参考にすることをおすすめします。

プロは世界共通基準の「番手」を使っている

■番手とは

番手とは、毛糸の太さの目安となる単位のことです。「毛番手」「綿番手」などがあり、基本的に番手の数字が大きいほど細い毛糸、数字が小さいほど太い毛糸となります。

下記は、世界で統一された番手の基準です。

毛番手毛糸1kgあたり長さ1km=1番手・2km=2番手
綿番手毛糸1ポンドあたり長さ840ヤード=1番手・1680ヤード=2番手
麻番手毛糸1ポンドあたり長さ300ヤード1番手・600ヤード=2番手
デニール毛糸9000mあたり重量1g=1デニール・2g=2デニール

毛番手の場合、10番手の毛糸1本でできた単糸は「1/10」、10番手の毛糸を2本撚った双糸は「2/10」と表記します。綿番手・麻番手は「10/1」のように分母と分子の書き順が逆となるため、見分けることは簡単です。

日本の毛糸はメーカーによって太さの基準が異なります。中でも「並太」には大きく差がある上、商品の写真を見てもなかなか判別が付きません。そのため、手芸分野のプロが毛糸を指定する際は、正解共通標準である「番手」で行うことが一般的です。

ただし、番手は毛糸の太さの「目安」を表す単位であり、毛糸の太さそのものを表す言葉ではありません。ファンシーヤーンに代表されるように、毛糸は素材や撚りの強さによって、同じ番手でも実際の太さが異なることがあります。

番手の調べ方と換算式

編み物に使用する毛糸には、手芸用品店やショッピングサイトで購入できる市販毛糸か工業毛糸を選ぶことが一般的です。市販毛糸と工業毛糸では番手の調べ方が異なります。また、綿番手などで表記されている場合は、毛番手へ換算したほうがよいでしょう。

ここでは、毛糸の番手を調べる方法と、綿番手や麻番手を毛番手へ換算する方法を解説します。

市販毛糸・工業毛糸の番手の調べ方

市販毛糸や工業毛糸は、下記の方法で番手を調べることが可能です。

■市販毛糸の番手の調べ方

市販毛糸は、毛糸のラベルに記載された「g」と「m」から、下記の計算式で算出できます。

m÷g×撚り数=番手

「g」と「m」は、「標準状態重量 40g(80m)」のように表記されていることが一般的です。単糸が何本縒り合されているか記載されていない場合は、糸端を引き出して数えてみましょう。

たとえば、40g・80m・4本撚りの毛糸の場合、上記の計算式に当てはめると「80÷40×4=8」です。つまり、40g・80m・4本撚りの毛糸は「8番手・太~並太相当」となります。

■工業毛糸の番手の調べ方

工業毛糸の場合、コーンの内側に番手が記載されていることが一般的です。どこにも番手が書かれていない場合は、Webサイトなどの商品情報で確認するか販売元に問い合わせましょう。

なお、毛糸は「毛番手」の表記が多いものの、「綿番手」や「麻番手」となっている場合もあります。「毛番手」はウール、「綿番手」はコットン、「麻番手」はリネンの含有量が多い毛糸に表記される傾向です。綿・麻・デニールで番手が記載されている場合は、換算式で対応する毛番手を調べることができます。

番手の換算式と換算方法

以下は、編み物で使用することが多い「毛番手」「綿番手」「麻番手」「デニール」の換算式、および綿番手から毛番手・デニールから毛番手へ換算する場合の例です。

毛番手綿番手
毛番手1×0.7
綿番手×1.71
麻番手×0.6×3.5
デニール9000/デニール5315/デニール
麻番手デニール
毛番手×1.659000/デニール
綿番手×2.85315/綿番手
麻番手114880/デニール
デニール14880/デニール1
綿番手毛番手
12/112×1.7=20.41/20.4
デニール毛番手
1000デニール9000÷1000=99番手

編み物で使用する番手の基本は「毛番手」となるため、初心者のうちは毛番手への換算式さえ理解しておけば問題ありません。

まとめ

毛糸はメーカーごとに太さを分類する基準が異なるため、複数のメーカーで毛糸の太さをそろえたい場合は、毛糸の「番手」で比較します。市販毛糸ならラベルに記載された「標準状態重量」、工業毛糸であればコーンの内側を確認しましょう。

毛番手以外の番手で記載されている場合は、換算式を使うことで同じ太さの毛糸を探せる可能性が高まります。番手は世界共通の基準なため、海外の編み図を参考にしたい場合にも活用することが可能です。