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公開日: 2022.08.31
最終更新日: 2022.08.31

シャツやパンツに使用される「タイプライター生地」の特徴

シャツやパンツに使用される「タイプライター生地」の特徴

「タイプライター」というユニークな名前の生地をご存知でしょうか。ファッションに興味のある方なら、一度は聞いたことがあるかもしれません。タイプライターは主に衣類の生地として使用され、ハリ感があり、高密度で織られているという特徴があります。

当記事では、タイプライター生地が使用されているアイテムや、生地の特徴について紹介します。また、他の生地との違いや洗濯時の注意点についても紹介するため、ぜひハンドメイドの生地選びの参考にしてください。

タイプライター生地とは?

タイプライター生地とは、細い綿糸を高密度で織った平織り生地です。1インチ四方の生地に織り込まれている糸の本数が多く、一般的な生地で使用する糸より繊細な70〜120番手の高級細番手の糸が使われています。細い糸を使用しているため薄手でありながら、平織りで織られた高密度織物のため、丈夫で強いハリ感のある、独特な質感が特徴です。

ここでは、タイプライター生地という名前の由来と、タイプライターがどのようなアイテムに使用されているか具体的に紹介します。

タイプライター生地の名前の由来

「タイプライター生地」という名前の由来には所説ありますが、キーを叩いて印字する機械であるタイプライターから由来しているという有力な説が2つあります。

  • タイプライターで使用する、印字用リボンの素材として用いられていたという説
  • タイプライターで文字が打ち込めるほど、高密度に織られた生地であるという説

密度の低い生地だとタイプライターで文字を打つことは難しいでしょう。現在ではタイプライターを使う機会がないため、あくまでイメージにはなりますが、上記の説よりタイプライター生地がいかに薄く頑丈な織物かということが分かります。

タイプライター生地はどんなアイテムに使用されている?

タイプライター生地は、衣服からファッション小物まで、さまざまなアイテムに使用される生地です。タイプライター生地が使用されているものとしては、以下のようなアイテムが挙げられます。

  • 薄手のシャツ、ブラウス
  • 春夏用のアウター
  • ハリ感のあるスカートなどのボトムス、ワンピース
  • 帽子、カバン、小物類

ハリ感や光沢感、独特なシワ感を生かしたシャツやボトムスなどは、きれいめカジュアルコーデにもぴったりです。また、高密度で頑丈な生地のため、キャップなどの生地に使用されたり、子ども用の通園・通学用カバンを手作りする時に使用されたりすることも多いです。

タイプライター生地の主な特徴

主に衣類の生地として親しまれているタイプライター生地には、どのような魅力があるのでしょうか。タイプライター生地の特徴は、以下の通りです。

タイプライターの主な特徴
  • ハリ感や独特の光沢感がある
  • ナチュラルなシワ感を楽しめる
  • 薄くて軽いため、清涼感がある
  • 肌ざわりが良い

高密度に織られたタイプライター生地は、生地自体に強いハリがあります。また、細い綿糸を織りあげていることで上品な光沢感があり、アイロンをかけてシワ取りをすることで、ビジネスシーン用の衣類としても使用できるでしょう。一方で、アイロンをかけずに立体的なシワ感を生かすことで、ラフでナチュラルな印象を与えることもできます。

タイプライター生地は、ハンドメイド初心者の方でも扱いやすい生地です。薄手でハリ感があるため縫いやすく、生地の密度が高く透け感もほぼないことから、裏地まで縫うのが大変という方にもぴったりです。

ハンドメイド作品作りに挑戦するなら、春夏シーズンの衣服がおすすめです。タイプライター生地は細番手の糸が使用されているため、軽やかで涼し気な印象を与えることができます。また、綿素材を使用していることから肌触りも良く、ストレスフリーで着こなすことができるでしょう。

洗濯時の注意点は?

タイプライターは高密度で丈夫な生地のため、自宅での洗濯も可能ですが、天然素材を使った生地の洗濯にはいくつか注意が必要です。ここでは、洗濯時の注意点を3つ紹介します。

・洗濯表示を確認する

洗濯機マークがついているものは、そのまま洗濯機を使用することができます。初めて洗濯する服や、色柄ものの場合は洗濯ネットにいれて洗濯した方が良いでしょう。一方、手洗いマークが付いているものは、洗濯機で洗うことができません。洗濯する前に必ず洗濯表示をチェックしましょう。

・脱水時間は短めにする

タイプライター生地は、綿素材を使用しておりハリ感も強いため、シワになりやすく、生地によっては一度シワがつくと中々取れない場合もあります。洗濯時には、なるべくシワが付かないよう脱水時間は短めにしましょう。

・風がよく通る場所に干す

綿糸で織られた生地は、生乾きになりやすい傾向があります。生乾き臭を防ぐために、洗濯物を干す間隔は20cm程あけ、風がよく通るように干すことをおすすめします。

【タイプライター以外】代表的な平織り綿織物

タイプライターは、綿糸を使用して織られた平織り綿織物です。平織りとは、タテ糸とヨコ糸が交互に交差している最も一般的な織り方の1種です。摩擦に強く、耐久性が高いというメリットがありますが、織り方の構造上、厚手の織物を作るのには向かないというデメリットもあります。

ここでは、タイプライター以外の代表的な平織り綿織物を4つ紹介します。

ローン

ローン生地とは、細番手の綿糸で粗めに織られた透け感のある薄い平織物です。細い糸でできているため、通気性が良く、速乾性にも優れています。軽量で透明感もあるため、真夏の暑い季節に着る衣類の生地として重宝されています。

また、色や柄が豊富な点もローンの魅力の1つです。平織り特有の滑らかな表面はプリントがしやすく、多種多様な種類があります。

さらにローンは、加工や糸の種類によって柔らかい肌触りになったり、ハリ感を出したりすることが可能な生地です。太い糸を使用して織られた生地にはハリ感が生まれ、糸が細いほど柔らかい肌触りの生地になります。

ブロード

ブロード生地は、タテ糸がヨコ糸の約2倍高い密度で織られている平織物です。もともとは羊毛を使用して織られる毛織物の1種でしたが、現在は綿毛で織られた綿ブロードが一般的です。タテ糸の密度が高いため、生地の表面に横向きに盛り上がって見える線があります。

高密度に織られているため、シルクのような上品な光沢感と高級な雰囲気があり、フォーマルなシーンで使用されるシャツやワンピースに向いています。スカートのギャザー部分の素材にブロードを使用することで、軽やかな印象に仕上げることもできます。

また、薄手の生地ながら適度なハリもあるため、ソーイング初心者でも縫いやすいという特徴もあります。衣類から小物まで幅広く作ることができる定番生地として知られています。

オックスフォード

斜子織り(ななこおり)と呼ばれる平織りの変形組織で作られた生地がオックスフォードです。斜子織りとは、タテ糸とヨコ糸をそれぞれ2本以上、またはタテ糸2本、ヨコ糸1本をひとまとめにして織る織り方です。1本ずつ交差させないため、生地の繊維にすき間があり、通常の平織りよりも通気性が良いことが特徴です。また、着心地が軽くて柔らかいことから、春物の衣服に向いています。

糸の太さによって、オックスフォード生地は4種類に分けられます。

・ベビーオックス

1番太い糸が使用されていて、通常のオックスフォードよりも硬く厚い点が特徴。

・オックスフォード

もっともスタンダードな生地。柔らかさとハリどちらも感じることができる。

・ピンポイントオックス

通常のオックスフォードの次に細い糸が使用されている。やや生地が柔らかくなり、光沢感がでる。

・ロイヤルオックス

1番細い糸を使用して作られた生地。キラキラとした光沢感があり、滑らかで薄い生地感が特徴。

生地の種類によって、カジュアルにもビジネスにも使用できる衣類を作れる点もオックスフォードの魅力です。

シャンブレー

シャンブレー生地とは、タテ糸に色のついた糸、ヨコ糸に白色またはタテ糸と異なる色の糸を使用して織られた平織物です。シャンブレーは歴史の古い生地で、フランス北部の「カンブレー」という町で聖職者の衣類に使われたことが始まりといわれています。

色糸と白糸を使って織られているため、生地の表面には独特の霜降り状のムラがあり「シャンブレー効果」や「霜降り効果」と呼ばれます。素材ならではの独特の風合いを生かしたアイテムを作れることが、シャンブレーの魅力の1つです。

薄手で丈夫な質感に加え、通気性も良いため、春夏用の衣類に向いています。見る角度によって色が変わる玉虫のような光沢感もあり、セミフォーマルなシャツ生地として重宝されています。

まとめ

タイプライター生地は、細い綿糸を使って高密度に織られていることが特徴です。文字を打つタイプライターの機械で使用する印字用のリボンに使われていたという説があるほど、生地の密度が高く、丈夫です。生地にハリ感や光沢感があるため、ビジネス場面やカジュアルな場面、どちらでも着用できるアイテムを作ることができます。

一方で、シワになりやすいという一面もあるため、洗濯時には洗濯表示を確認し、脱水時間を短くするなどの気配りが必要です。タイプライター生地の特徴や、他の生地との違いを知り、タイプライターの素材感を生かせる作品作りに挑戦してみましょう。