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公開日: 2022.06.27
最終更新日: 2022.06.27

スカートのおすすめ生地は?デザインごとのおすすめや柄の種類も

スカートのおすすめ生地は?デザインごとのおすすめや柄の種類も

ハンドメイドのスカートは生地を裁断してミシンがけをするだけと作り方が簡単で、洋服作り初心者から上級者までおすすめの題材です。使用する生地や縫い方を工夫すれば、デザインや着心地にこだわったオリジナルのスカートを作れます。

「スカート用の生地はどのように選べばよいか」「おすすめの生地を知りたい」と考える方は多いのではないでしょうか。ハンドメイドでスカートを制作したい人に向けて、スカート用の生地の選び方を詳しく解説します。

スカート用の生地の選び方

スカートを手作りする場合は、まずどのようなスカートを作りたいかを明確にして、適したスカート用の生地を選ぶことが重要です。生地には厚さ・織り方・性質など多様な特徴があり、使用する生地によって手作りスカートの仕上がりも変わります。

以下ではスカート用の生地の選び方を5つに分けて、それぞれのポイントや考え方を紹介します。

生地の厚さ

生地の厚さは、裁断しやすさやミシン針の通しやすさにかかわります。スカートは縫い代に沿って生地同士を縫い合わせるため、初心者の方は薄くやわらかい生地がおすすめです。

生地の厚さは一般的に、60番などの「番手」や8号などの「号数」で表記されます。番手や号数を見るときは、数字が大きいほど生地が薄くなる点を理解しましょう。

ただし、デニム生地に使われる「オンス」は重さを表す単位であり、数字が大きいほど生地が厚くなります。

生地の織り方

生地の織り方は、スカートの質感や耐久性にかかわるポイントです。生地の基本的な織り方は三原組織と呼ばれ、「平織」「綾織」「繻子織(しゅすおり)」の3つがあります。

平織はタテ糸とヨコ糸が交互に交差する織り方です。平織の生地は頑丈で摩擦に強いため、初心者がスカート作りに使用する生地に適しています。

綾織の生地は、ハリがありながらもやわらかな生地を使いたいときにおすすめです。繻子織の生地は滑らかで光沢感があるものの摩擦に弱いため、上級者向けと言えます。

生地の性質

生地の性質は、スカートの耐久性や通気性、着用時の動きやすさにかかわるポイントです。生地に使用されている原料の種類によって、生地の性質は変わります。

たとえば綿で作られたコットン生地は肌触りがやわらかく、着心地がよい点が特徴です。コットン生地のスカートは保温性にも優れていて、冬場も暖かく着られます。

生地の種類は綿以外にも、麻・ウール・ポリエステルなどさまざまです。生地の性質に着目して生地を選ぶと、着用シーンに合ったスカートを作れます。

スカートのデザイン

スカートのデザインはフレアスカートやギャザースカートなどの種類があり、デザインごとに適している生地が異なります。作りたいスカートのデザインが決まったなら、デザインに合った生地を選ぶことが大切です。

たとえば、ウエストから裾にかけてふわりと広がるフレアスカートなら、やわらかく身体にフィットしやすい生地が適しています。ウエストの留め具は、ウエストゴム・金具・ベルトのいずれにするか、また裏地付きにするかどうかなども考えて生地を選びましょう。

着用シーズン

スカートの生地選びは着用シーズンを考えることも大切です。着用シーズンを大きく「春夏服」「秋冬服」の2つに分けて、それぞれの季節に適した生地を選びましょう。

春夏服のスカートは、適度な薄さがあり、軽くて動きやすい生地がおすすめです。通気性も良好な生地を選ぶと、着用時に熱がこもらず快適に過ごせます。秋冬用のスカートには、厚みがあり保温性に優れている生地を選びましょう。

「春夏」「秋冬」に適した生地は下記の通りになります。

春夏におすすめの生地秋冬におすすめの生地
  • ローン
  • リップル
  • サッカー
  • 楊柳
  • シフォン
  • ブロード
  • デニム
  • オックス
  • リネン
  • デシン
  • サマーウール
  • ダブルガーゼ
  • アムンゼン
  • タイプライター
  • ネル
  • ビエラ
  • ブロード
  • デニム
  • ウール
  • コーデュロイ
  • ツイード

スカートにおすすめの生地

スカートに使える生地の種類は多岐にわたり、それぞれ異なる特徴を持っています。スカートの生地選びでは生地の特徴を把握して、作りたいスカートに適した種類の生地を選ぶことが大切です。

以下ではスカートにおすすめの生地を22選挙げ、生地の特徴と向いているスカートの種類などを紹介します。

ローン

ローンは60~100番手の細い織糸を使用した、平織で織られた生地です。ローンは薄手で軽く、やわらかな肌触りがあり、上品な風合いを特徴としています。綿素材のコットンローンが主流であるものの、原料が麻の「リネンローン」も存在します。

薄手のローンは、透け感のある春夏用スカートを作りたいときにおすすめです。デザインでは、フレアスカートやギャザースカートなど、裾のドレープ感を重視するスカートに向いています。

タイプライター

タイプライターは主に40~80番手の細い織糸を使用した、平織で織られた綿素材の生地です。タイプライターは細い糸を高密度で織り上げて作られており、ハリのある肌触りと耐久性の高さを特徴としています。

ハリのあるタイプライターは、タックスカートやプリーツスカートなどのひだを目立たせるスカートにおすすめです。また生地が薄手ではあるものの、高密度で保温性に優れるため、秋冬用のスカートにも使用できます。

リップル

リップルは綿・麻などセルロース系の繊維を苛性ソーダに部分的に浸し、表面にシボ(さざ波のような凸凹)を出した生地です。シボのあるリップルは肌に触れる面積が少なくなり、通気性に優れているため、春夏用のスカートに適しています。

リップルで作るスカートは、ペプラムスカートやティアードスカートなどのシボの風合いを生かせるデザインがおすすめです。リップルはシボの形状や大きさによって生地の印象が変わり、シボが細かいリップルは大人用スカートに向いています。

ネル

ネルはコットンフランネルの略称で、綿織物の表面を起毛させた生地です。ネルの織り方は平織・綾織の2種類あり、起毛する面も片面・両面の2種類あります。肌触りがふんわりとやわらかく、保温性に優れている点がネルの特徴です。

起毛によって暖かく着られるネルは、秋冬用のスカートに向いています。デザインではマーメイドスカート・Aラインスカートなど、丈長でやわらかな雰囲気を出したいスカートを選ぶことがおすすめです。

サッカー

サッカーは収縮率の異なるタテ糸を組み合わせて織り、表面にシボを出した平織の生地です。シボによって生地が肌に触れる面積は少なくなるため、サッカーは春夏用のスカートに適しています。同じくシボを出す生地のリップルと比較すると、サッカーのシボは直線上に並ぶように出る点が特徴です。

サッカーを使うときは、シボの並びが美しく見えるデザインを選びましょう。ギャザースカートやペンシルスカートなど、直線的なラインを出せるデザインがおすすめです。

楊柳

楊柳(ようりゅう)は、ヨコ糸に強撚糸(撚数が多い撚糸)を使い、表面に縦方向のシボを出した生地です。流れるようなシボが美しい楊柳は、見た目に涼感があり、さらっとした肌触りで春夏用のスカートに向いています。

楊柳はシボが一定間隔で出るものや、ナチュラル楊柳と呼ばれるシボが不均等で出るものがあり、シボの出方で異なる見た目を楽しめる点が特徴です。フレアスカートやギャザースカートなど、シボの流れを表現しやすいデザインでスカートを作りましょう。

ビエラ

ビエラは「ビエラフランネル」の略称で、綿45%・毛55%のコットンリネンを綾織にし、表面を起毛させた生地のことです。ただし、近年は綿100%のコットンビエラも登場しています。綾織のやわらかな肌触りと、起毛の保温性を持っている点がビエラの特徴です。

起毛生地であるビエラは秋冬用のスカートに適しています。デザインではタックスカートやプリーツスカートなど、腰から足元にかけてしなやかなドレープ感を出せるスカートがおすすめです。

シフォン

シフォンは細番手の糸を平織に織った薄手の生地です。本来のシフォンは生糸を使用した絹織物のことを指すものの、近年はレーヨンやナイロン、ポリエステルを使用したシフォンも登場しています。透けるほどに薄く、身体にフィットするやわらかなドレープ性を持つ点がシフォンの特徴です。

シフォンは透け感があるため、春夏用のスカートに適しています。ミニスカートやプリーツスカートなど、フェミニンなデザインのスカートに使用することがおすすめです。

ブロード

ブロードはタテ糸とヨコ糸に同じ太さの糸を使用し、高密度で織った平織の生地です。一般的には綿素材の「コットンブロード」が知られており、生地にやわらかな肌触りと高級感をイメージさせる落ち感があります。縫いやすく、アイロンで折り目を付けやすいため、初心者におすすめの生地です。

ブロードは季節を問わない生地であり、春夏用・秋冬用どちらのスカートにも適しています。縫いやすさや折り目の付けやすさを生かして、タックスカートやギャザースカートに使うことがおすすめです。

デニム

デニムはインディゴ染めのタテ糸と染色していないヨコ糸で織った、綾織の生地です。デニムは太めの糸で作られるため、生地が丈夫で長持ちします。使い込むうちにインディゴの色落ちで、風合いの変化を楽しめる点も特徴です。

また、デニムの厚みは生地の重みを指す「オンス」で表示されます。生地が軽いライトオンスのデニムは春夏用、生地が重いヘビーオンスのデニムは秋冬用のスカートにおすすめです。デニムを使うと活動的なデザインのミニスカートや、重厚感のあるAラインスカートが作れます。

チノ

チノはチノクロスの略称で、綿糸から作られた綾織の生地です。チノはもともと作業着やイギリスの軍服として使われていた歴史があり、丈夫な生地として知られています。チノパンにも使われているチノは、軽量で肌触りがよい点が特徴です。

チノは、同じく丈夫なデニム生地と比較して、表面に光沢感があるため上品な雰囲気を演出できます。デザインではタイトスカートやペンシルスカートなど、身体にフィットするスカートに使用することがおすすめです。

オックス

オックスは「オックスフォード」の略称で、タテ糸とヨコ糸を2本ずつ引き揃えて織った、斜子織(平織の変形組織)の生地です。オックスの原料は一般的に綿であり、しなやかでさらりとした肌触りがあります。

タテ糸とヨコ糸の間に隙間があるオックスは通気性がよく、春夏用のスカートにおすすめの生地です。デザインではフレアスカートやプリーツスカートなど、足回りのドレープ感を出したいスカートに適しています。

キャンバス

キャンバスは太番手の糸を使用し、高密度に織られた平織の生地です。和名の「帆布(はんぷ)」で呼ばれることも多く、厚みは帆布11号などのように「号」で表示されます。キャンバスは厚手で丈夫な生地であり、通気性に優れている点が特徴です。

キャンバスでスカートを作るときは、生地の号数に注意しましょう。号数が小さいほど生地は厚くなり、家庭用ミシンでは8号程度が限界の厚みとなります。初心者は最も生地が薄い11号のキャンバスがおすすめです。

リネン

リネンは麻の一種である亜麻の茎から作られた、天然繊維の生地です。繊維の詰まった茎を原料とするリネンは耐久性が高く、水分の発散性や通気性に優れています。中でもリネンを綾織にした「リネンツイル」は生地にやわらかさがあり、スカート用に適した生地です。

さらりとした手触りで涼感のあるリネンは、春夏用のスカートに適しています。身体の動きにフィットするドレープ感も出せるため、ギャザースカートやAラインスカートなどふわっとした動きのあるデザインにおすすめです。

デシン

デシンは「クレープデシン」の略称で、タテ糸に無撚糸または甘撚糸、ヨコ糸に強撚糸を使い、高密度の平織にした生地です。タテ糸とヨコ糸の撚数が異なることで、生地の表面に繊細なシボが出ます。デシンは軽く、表面に上品な光沢があり、身体に沿って美しいドレープを作れる点が特徴です。

シボのあるデシンはさらりとした肌触りで、春夏用のスカートに適しています。デザインではドレープ性を生かせるよう、フレアスカートやペプラムスカートなどの動きを楽しめるスカートがおすすめです。

ウール

ウールは羊毛を原料とした糸・生地であり、主にメリノ種の羊から取られた「メリノウール」が広く使われています。ウールは空気を多く含むため保温性があり、伸縮性のよさやシワになりにくい点が特徴です。

ウールは一般的に秋冬用のスカートに向いているものの、羊毛を細く撚って織られた「サマーウール」は春夏用のスカートに使えます。ウールのスカートをどちらのシーズン向けで作りたいかによって、原料であるウールの種類や生地の厚みを使い分けましょう。

ダブルガーゼ

ダブルガーゼは木綿から作られたガーゼ生地(シングルガーゼ)を、2枚重ねで仕立てた生地のことを指します。ダブルガーゼは、ガーゼ生地ならではの通気性のよさを持ちながら、シングルガーゼよりも耐久性に優れている点が特徴です。

通気性のよいダブルガーゼは春夏用のスカートに適しています。ダブルガーゼは洗濯後にシワが出やすい性質もあるため、マーメイドスカートやAラインスカートなど、表面にひだがなくアイロンがけしやすいデザインに使いましょう。

コーデュロイ

コーデュロイはパイル織物の一種であり、生地の表面に凹凸の畝(うね)を織り出した生地です。コーデュロイの表面は凹凸が作り出す光と影のコントラストがあり、ベルベットのようななめらかな手触りもあります。保温性が高く、秋冬用のスカートにおすすめの生地です。

コーデュロイを選ぶときは、表面に見える畝の本数に注目しましょう。畝の本数は「ウェール」という単位で表され、1インチ(約2.54cm)にいくつの畝があるかを示します。ウェールが大きいほどコーデュロイの光沢感は増し、上品な風合いが出せます。

ツイード

ツイードは短い羊毛で作られる紡毛糸で織られた、表面が粗く見える生地です。繊維が短いため使用する羊毛の量は多くなり、生地は肉厚になります。保温性に優れ、複数色の糸を使うことで複雑な美しい色合いを出せる点がツイードの特徴です。

厚手で風を通しにくく、保温性も高いツイードは秋冬用のスカートに向いています。デザインではフレアスカートやマーメイドスカートなどの流れるようなシルエットのスカートや、色柄でおしゃれさを出しやすいミニスカートなどがおすすめです。

アムンゼン

アムンゼンは梨地織(なしじおり)の一種で、タテ糸とヨコ糸の組み方を複雑に調整して、生地に細かいシボを出した生地です。表面はシボによってざらざらとしていて、生地に立体感を出しています。緻密に織られているため手触りはやわらかで、ドレープ性もある点が特徴です。

アムンゼンは肌に張り付きにくく、春夏用のスカートに適しています。デザインではフレアスカート・プリーツスカートなどのふわりと動くスカートや、上品さが求められるタイトスカートを選ぶことがおすすめです。

ジャガード織り

ジャガード織りはタテ糸とヨコ糸の織り方で色柄を表現した生地です。布地に模様を印刷するプリント生地とは異なり、模様自体を織り込むジャガード織りは、立体感のある柄を作れます。ジャガード織りは先染めの色糸を使用するため、洗濯しても色落ちしにくい点が特徴です。

ジャガード織りの生地をスカートに使うときは、繊細な色柄を生かせるデザインを選びましょう。マーメイドスカートやAラインスカートなど、スカート表面にひだを作らず色柄の連続性を見せられるデザインがおすすめです。

サテン

サテンは三原組織の1つである「繻子織」で織られた生地のことです。サテンの原料は絹・綿・ナイロンなど多種多様であり、中でも綿素材のサテンは「綿サテン」と呼ばれます。サテンは美しい光沢感があり、なめらかな手触りとドレープ性を持つ点が特徴です。

サテンを使用するときは、光沢感が主張しすぎないように注意しましょう。光沢感よりもつや感のある生地を選ぶと上品なスカートを作れます。デザインではフレアスカートなどのドレープ性を生かせるスカートがおすすめです。

スカートにおすすめの生地の柄

スカートを作るときは、生地の色や柄で悩むこともあります。スカートを着用する季節やシチュエーション、トップスとのコーディネートが分かっている場合は、適した生地の色や柄を選びましょう。

また、柄物のスカートを作るときは、柄の種類とスカートのデザインとの相性を考慮することがおすすめです。

以下ではスカートにおすすめの生地の柄を9選挙げ、各柄の特徴と相性のよいデザインを紹介します。

花柄

花をモチーフにした花柄は、女性の美しさ・優しさを引き立てられる柄です。花柄は花の大きさで分けると「小花柄」「中花柄」「大花柄」の3種類があり、花の表現方法では「ロココ調」「ボタニカル柄」「トロピカル柄」などの種類分けができます。

花柄の色は生地自体の色とのバランスを考え、スカート全体が派手な色合いにならないよう注意しましょう。花柄はフレアスカートやペンシルスカートといった装飾が少なく、模様をしっかりと見せられるスカートがおすすめです。

ドット

ドットは水玉模様が生地全体に並び、洋服をかわいく見せてくれる柄です。ドットの種類は水玉の大きさや、水玉の大きさが均等か不揃いか、配置が規則的か不規則かによって分けられます。初心者の方は、中サイズの水玉が規則的に並ぶ「ポルカドット」がおすすめです。

ドットの生地を使用するときは、スカートがのっぺりと平面的に見えてしまわないように注意してください。スカート表面に動きを出せるギャザースカートや、裾に向かって広がりのあるフレアスカートは、ドットを立体的に見せられるおすすめのデザインです。

チェック

チェックは縦縞と横縞が一定間隔で交差して、格子模様を作る柄です。チェックはさまざまな種類があり、白と他色の2色で構成される「ギンガムチェック」や、赤・黒・緑などの多色で構成される「タータンチェック」が有名です。

チェックの生地を使用するときは、格子模様のサイズをスカートの丈に合わせましょう。たとえばミニスカートは格子模様の小さいチェックが映えます。対してAラインスカートなどのロングスカートは、ベースカラーをよく見せられるように格子模様が大きいチェックがおすすめです。

ストライプ

ストライプは2色以上の異なる色で平行に線を描き、縞模様を作った柄です。なお、日本では縦縞をストライプ、横縞をボーダーと呼ぶ習慣があるものの、本来は縦縞も横縞もストライプと呼びます。

ストライプの生地を使用するときは、作りたいスカートのデザインに合わせてストライプの太さを選びましょう。細いストライプは清潔感があり、仕事着として使われやすいタイトスカートに合っています。太いストライプは華やかで目立つため、ドレープ感のあるAラインスカートがおすすめです。

幾何学模様

幾何学模様は三角形・四角形などの多角形や円・楕円などを組み合わせて配列し、連続的な模様を作り出す柄です。幾何学模様は数え切れないほどの種類があり、2色の四角形を交互に配列した「市松模様」や、連なって飛ぶ鳥のような柄の「千鳥格子」がよく知られています。

幾何学模様の柄は、マーメイドスカートやペンシルスカートのように直線的なシルエットのあるスカートが向いています。模様から得られるイメージや色合いを考えて選ぶと、幾何学模様の生地で楽しくスカート作りができるでしょう。

ペイズリー

ペイズリーは松かさや糸杉といった植物をモチーフに、曲線的な連続した模様を作り出す柄です。植物のモチーフは神聖さや生命力を表していると言われ、大きく描かれた優美な勾玉形状と緻密な装飾を特徴としています。

ペイズリーの生地を使うときは、模様の美しさを楽しめるように落ち着いた色合いの生地を選びましょう。ペイズリーはプリント生地もあるものの、ジャガード織りの生地を選ぶと立体的な柄が楽しめます。デザインではAラインスカートなどのドレープ性があるスカートがおすすめです。

ノルディック

ノルディックは雪の結晶・トナカイモチーフの図案や幾何学模様・点描などを組み合わせた、北欧の伝統的な柄です。ノルディックは温かみやノスタルジックな雰囲気を感じさせる柄であり、秋冬用のスカートに使用すると季節感を演出できます。

ノルディックの生地を使うときは、生地のベースカラーによって印象が大きく変わる点も押さえましょう。白・グレー・青の寒色系は落ち着きがあり、大人用の柄物スカートに向いています。赤・茶の暖色系はモチーフが目立ち、かわいい系のスカートにおすすめです。

チマヨ

チマヨは「オルテガ柄」とも呼ばれ、四角形や三角形をひし形パターンに組み合わせた、ネイティブ・アメリカンの伝統柄です。幾何学模様に通じる図形の組み合わせや規則的な配置が特徴であり、大きなひし形パターンや大胆な色使いで人気を集めています。

チマヨの生地を使うときは、大きなひし形パターンをきれいに見せることを意識しましょう。フレアスカートやAラインスカートといった裾の広がりが大きいスカートは、チマヨの特徴的なひし形パターンをしっかりと出せます。

ヘリンボーン

ヘリンボーンは「V」字形状の柄が連なり、直線的に波打つように見える柄です。ヘリンボーンは模様としてプリントに使われるほか、右上がりの綾織と左上がりの綾織を組み合わせて織ることで模様を出す「ヘリンボーン生地」もあります。

ヘリンボーンの生地を使うときは、直線的な波打ちが身体のラインにフィットするスカートを選びましょう。タイトスカートやマーメイドスカートは裾が大きく広がらず、波打つようなヘリンボーンの柄をすっきりと見せられます。

【デザイン別】スカートにおすすめの生地

作りたいスカートのデザインが決まっているときは、デザインに合う生地を選びましょう。デザインに合う生地を使用すると、着やすさや動きやすさに優れたスカートを作れます。生地の風合いや柄を意識することで、作品としての完成度を向上することも可能です。

以下では11種類の各デザインについて、特徴や相性のよい生地などを解説します。

フレアスカート

フレアスカートはウエスト部分から裾に向かって朝顔型に広がる、ミディ丈程度のスカートです。歩いたときに裾がふんわりとなびき、やわらかなシルエットを作ります。

フレアスカートにおすすめの生地は、軽さとドレープ性がある生地です。シフォンやデシン、サテンは肌に張り付きにくく、春夏用のフレアスカート生地として使えます。秋冬用のフレアスカート生地には、しなやかな起毛生地であるビエラがおすすめです。

また、フレアスカートには裾を広げると円形になる「サーキュラースカート」や、「半円サーキュラースカート」などの種類があります。種類によって使用する生地の量や仕上がりのボリューム感が異なるため、裾の広がりをどのように出すかはあらかじめ決めておきましょう。

タックスカート

タックスカートはウエスト部分にタック(生地の織り込み)を作り、裾に向かって折り目のあるひだを出したスカートです。ひだを付けるスカートの中でも、タックスカートはひだの幅が広く、スカート表面に切れ込みのような印象的な影を付けられます。

タックスカートにおすすめの生地は、折り目をきれいに出せるハリとコシのある生地です。タイプライターは繊維が密に織られているため、タックスカートのひだを裾までしっかりと出せます。きつく織られたギャバジンや、硬めのタフタもタックスカートにおすすめの生地です。

タックスカートを作るときは、なるべく薄手の生地を選びましょう。タックはウエストベルトで隠すため、薄手の生地を選んだほうがウエストラインをすっきりと見せられるスカートが作れます。

ギャザースカート

ギャザースカートはウエスト部分の生地を縫い縮めるなどして、裾に向かってひだを出したスカートです。ギャザースカートのひだは不均等な間隔で寄せられていて、同様にひだを出すタックスカートやプリーツスカートと比較してカジュアルに着こなせます。

ギャザースカートにおすすめの生地は、薄手でやわらかい生地です。ギャザースカートはひだに折り目を付けないため、ハリのある生地は適していません。コットンローンやブロードなどのやわらかな生地で、ふんわりとしたひだを出しましょう。

ギャザースカートのひだは、ゴム通し口にウエストゴムを通してウエスト部分を絞る方法でも作れます。初心者の方は生地を縫い縮める方法よりも、簡単に作れるウエストゴムで絞る方法のほうがおすすめです。

プリーツスカート

プリーツスカートはウエストから裾にかけてプリーツ(折りひだ)を繰り返し出したスカートです。プリーツスカートのひだは規則的な折り目であり、光の当たる面と影になる面が分かれることでスカート表面に立体感を生み出します。

プリーツスカートにおすすめの生地は、ハリとコシがある生地です。タイプライターやオックス、リネンのほか、薄手のデニム生地も向いています。

初心者の方は、「ポリエステルツイル」でプリーツスカートを作ることがおすすめです。ポリエステルツイルは原料がポリエステルの綾織生地で、アイロンをかけることで簡単に折りひだを作れます。折りひだをきれいに作ることが苦手な人は、まずポリエステルツイルで挑戦してみましょう。

タイトスカート

タイトスカートはウエストからヒップにかけてぴったりとフィットするスカートです。スカート表面にプリーツやフリルなどの装飾は入っておらず、身体のラインをすっきりと見せられます。動きやすさを考慮して裾にスリットを入れるタイプも存在します。

タイトスカートにおすすめの生地は、ハリがありしなやかな生地です。タイプライターやツイードといった高密度な生地は、タイトスカートのラインをきれいに出せます。春夏用のタイトスカートにはリネンがおすすめです。

近年は、裾幅が広く取られたカジュアル感のあるタイトスカートも登場しています。カジュアルなシーンで着用するタイトスカートには、通気性のあるキャンバスやストレッチ性のあるベロアを生地として選ぶのもよいでしょう。

ミニスカート

ミニスカートは裾のラインが膝よりも上に来るデザインのスカートです。足回りをすっきりと見せることで、女性らしさやかわいさを全面的に出せます。

ミニスカートにおすすめの生地は、短いスカート丈であっても特徴的な見た目で主張できる生地です。デニムやツイード、ジャガード織りを使用すると、目を引くデザインのミニスカートが作れます。チェック・ノルディック・千鳥格子などの柄付き生地もおすすめです。

なお、ミニスカートは丈が短いスカートのデザイン全体を指す名称であり、装飾などは特に決まりがありません。プリーツを付けたり、裾をフレアやタイトにしたりと、スカート丈をミニスカートに決めた後は全体のデザインも決めましょう。

マーメイドスカート

マーメイドスカートはウエストから膝近くまでを身体に沿わせ、裾部分は人魚の尾ひれのように広がりを持つスカートです。マーメイドスカートのシルエットはタイトスカートに近く、上品なスカートを着用したい方に人気があります。

マーメイドスカートにおすすめの生地は、着心地のよいやわらかさやストレッチ性がある生地です。身体にフィットするスカートであるため、春夏用にはローンやオックスなど薄手の生地、秋冬用はウールやツイードと生地を使い分けましょう。

マーメイドスカートはもともとマキシ丈のスカートであったものの、近年はミモレ丈やミディ丈のマーメイドスカートも存在します。マーメイドスカートを作るときは、スカート丈に対して裾の広がりをどのように出すかを考えることが大切です。

ペプラムスカート

ペプラムスカートはウエストラインの下側にひだ飾りの装飾があるスカートです。ペプラムスカートを着用すると装飾がある部分のシルエットは広がり、装飾がない部分のシルエットはすっきりします。

ペプラムスカートにおすすめの生地は、薄手で軽く、やわらかな生地です。コットンブロードやリネン、秋冬用であればツイードやコーデュロイが向いています。ペプラムの生地はスカート本体の生地に縫い付けるため、厚手の生地は縫製が難しくなる点に注意してください。

ペプラムスカートは、ペプラムを付ける位置も重要です。ペプラムをウエストラインの直下に付けると足回りをすっきりと見せられ、対して裾近くに付けると上品なシルエットを作れます。

ペンシルスカート

ペンシルスカートはタイトスカートから派生したデザインで、ウエストからヒップ、裾までフィットするスカートです。裾に近づくほどシルエットが細くなり、足回りをすっきりと上品に見せられます。

ペンシルスカートにおすすめの生地は、タイトスカートと同様にハリがありしなやかで、かつストレッチ性もある生地です。ストレッチ性に優れたポリウレタンやポリエステルが混紡された、チノやコーデュロイ、デニムなどの生地を使用しましょう。

また、ペンシルスカートは裾をすぼめるように角度を付けるため、生地の裾部分にダーツ(生地の縫い合わせ)を入れる必要があります。厚手の生地はダーツの入れ方が難しいため、初心者の方は薄手の生地でペンシルスカートを作ることがおすすめです。

Aラインスカート

Aラインスカートはアルファベットの「A」のように、裾に向かってシルエットが広がるスカートのことです。フレアスカートと似ているものの、一般的に丈長で裾広がりのスカートを指してAラインスカートと呼びます。

Aラインスカートにおすすめの生地は、やわらかくドレープ性がある生地です。春夏用はローンやシフォン、デシンなど、秋冬用はウールやツイードといった生地が適しています。

Aラインスカートはプリーツなどの装飾を入れないため、カジュアルな用途であれば柄物の生地もおすすめです。花柄・チェック・ペイズリーなどの大胆な柄で目立たせたり、繊細なヘリンボーンで上品さを加えたりするなど、さまざまなデザインで作ってみましょう。

ティアードスカート

ティアードスカートはひだやフリルといった装飾を何段にも重ねたスカートです。ティアードスカートはミニ丈からマキシ丈まで幅広い丈があり、装飾の段数も特に決まりはありません。装飾を重ねることでボリューム感のあるシルエットを作り、華やかな雰囲気を演出できます。

ティアードスカートを作るときは段ごとに生地を分けて重ねるため、スカートが重くならないように薄手で軽い生地を使用しましょう。おすすめの生地はローンやブロード、デシンやサテンなどのドレープ性がある生地です。

透け感があるシフォンも、ティアードスカートにぴったりの生地ではあるものの、透けすぎてしまわないように注意が必要です。装飾のフリルを大きく重ねたり、濃い色柄の生地を使用したりすると透けすぎを防げます。

まとめ

スカート用の生地は、作りたいスカートに合わせて選ぶことが大切です。生地の厚さ・織り方・性質と、スカートのデザイン・着用シーズンを踏まえて、適切な生地を選びましょう。

初心者の方は縫製しやすい薄手でやわらかな生地がおすすめです。フレアスカートでスカートの基本的な作り方を把握してから、装飾があるスカートに挑戦してみましょう。好みの柄やデザインを選ぶことで、世界に一つだけのオリジナルスカートを作ることができます。