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公開日: 2022.05.17
最終更新日: 2022.05.17

ピケとは?素材の特徴・魅力・生地の種類も紹介

ピケとは?素材の特徴・魅力・生地の種類も紹介

ピケは、畝(うね)のような凹凸が特徴的な生地の一種です。生地表面に現れる独特の表情と機能的な魅力の多さから、シャツなどのファッションアイテムに多く利用されるほか、ハンドメイドの材料としても活用されています。

この記事では、ピケ素材の特徴や長所など、ピケの魅力を紹介します。また、ピケにはコーデュロイや鹿の子、ワッフルなど、よく似た素材も存在します。それぞれの素材との違いについても解説するため、手芸やハンドメイドの作品作りの参考にしてください。

ピケとは?素材の特徴を解説

ピケの語源はフランス語で、「浮き出し織り」を表しています。畑の畝(作物を植えるために土を直線状に盛り上げたもの)に似た立体的な模様がある生地です。本来ピケは、横方向に畝のあるものを指しますが、最近では縦方向のものやひし形、斜めの畝なども総称してピケと呼ばれるようになりました。

ピケの最大の特徴は、二重織りという折り方で作られていることによる丈夫さです。経糸(たていと)に表と裏に出るものの2種類を使い、また、緯糸(よこいと)も表裏それぞれの経糸と織り合わせる2種類の糸を用いて、表と裏を別組織で織られています。

厚手で丈夫でありながら、生地表面に立体感があるため通気性にも優れています。肌触りもサラリとしているため、シャツやパンツ、夏用の帽子など、さまざまな用途で使われている生地です。

ピケに使われる生地

ピケに使われる生地で特に有名なのはコットンで、「コットンピケ」と呼ばれています。しかし、ピケに使われるのはコットンだけではなく、ウールやポリエステルなどにも使われることがあります。

ここでは、ピケによく使われる生地それぞれの特徴を紹介します。

●コットン

コットンとは綿素材のことです。植物である綿花の種子毛から作られており、通気性と吸湿性に優れているため、夏は涼しく冬は暖かい、季節を問わず活躍する素材です。

また、コットンは繊維の毛先に丸みがあるため、肌への刺激が少なく柔らかな肌触りであることも大きな特徴で、インナーやタオルなどにもよく使われます。

リネンなどの他の天然素材と比較して、コットンは水にも熱にも強いため、自宅で気軽に洗濯やアイロンがけができる点も大きな魅力です。

●ウール

ウールとは羊毛のことを言います。正確には、アルパカやカシミヤなど、他の動物の毛から作られた生地も総じて「ウール」と呼ばれますが、羊毛以外は原材料の動物の名前で表記されることが多いため、基本的にウールと表記されているものは羊毛素材と考えて問題ありません。

ウールには、保湿性が高く吸湿性に優れているという特徴があります。冬は熱を逃しにくいため暖かく、夏は汗を発散してくれるためサラッと着られる、オールシーズン活躍する生地です。また、ウールは伸縮素材でストレッチ性が高いため、厚手の生地でも着脱しやすいというメリットもあります。

●ポリエステル

ポリエステルとは、ペットボトルと同じポリエチレンテレフタレートという化学物質を原料とする、合繊繊維で作られた生地です。

ポリエステルピケの最大の特徴は、耐久性の高さです。天然素材の繊維に比べて丈夫なため、洗濯に強く、繰り返し洗っても型崩れを起こしたり縮んだりすることがほとんどありません。

また速乾性も高く、汗によるべたつきも軽減することから、スポーツウェアにもよく利用されています。さらにポリエステルは石油を原料としているため、コットンや麻といった天然素材に比べ、虫が寄り付きにくく、保管しやすいというメリットもあります。

ピケの魅力

ピケ素材は生地表面に独特の表情があるため、1枚で着ても物足りなさを感じにくく、他の服と重ねて着る際にも重宝します。

また、通気性に優れている点もピケの大きな魅力になっています。風通しの良さと、肌にまとわりつかないふんわりとした柔らかさは、特に春や夏といった汗をかきやすい季節に活躍するでしょう。

ピケと他の素材の違い

ピケと似た素材は、多岐にわたります。これから紹介する3種類の生地は、表面に立体的な模様があるという点ではピケと共通していますが、それぞれ特徴が違う素材です。特徴が違えば、生地の長所や適した用途も変わってきます。

ここでは、コーデュロイ、鹿の子、ワッフルについて、生地の特徴やピケとの違いを解説します。それぞれの違いを知ってハンドメイド作品作りに役立ててください。

コーデュロイ

コーデュロイもピケ同様、表面に畝のような立体感のある模様がある生地です。しかし、コーデュロイとピケでは織り方が異なります。コーデュロイはパイル織物の一種であり、パイル糸を生地の下地から表面に出すという手法で作られています。そのため生地には厚みがあり、保湿性や保温性に優れているのが特徴です。

コーデュロイは主にコットンで作られますが、ウールやナイロンといった素材との混紡で作られることもあります。

またニットとの相性が良く、ビロードのような柔らかい光沢と肉厚な生地感もコーデュロイの魅力の1つです。実用的な暖かさはもちろん、見た目にも暖かみが感じられる冬にぴったりな生地となっています。その一方で、コーデュロイには摩擦に弱いというデメリットもあり、生地の表面が擦れすぎると毛羽立ちや模様が潰れる原因になってしまいます。

鹿の子

鹿の子(かのこ)は表面にひし形の凹凸がある生地です。凹凸の形が日本の伝統的な和柄「鹿の子」に似ているため、鹿の子と呼ばれるようになりました。この凹凸により生地と肌が触れ合う面積が少なくなるため、清涼感のある着心地となります。

鹿の子は通気性にも優れているため、ポロシャツやスポーツウェアといった暑い季節にぴったりの生地です。そのため、鹿の子生地は洗濯後も比較的早くに乾きます。

ピケにもひし形模様の生地がありますが、鹿の子はニット生地の一種で平編みの変形組織のため、ピケとは異なる生地になります。

ワッフル

ワッフルはその名の通り、表面にお菓子のワッフルのような凹凸がある生地です。凹凸の形から別名「蜂巣織り」とも呼ばれています。

ワッフルは厚みと柔らかさが特徴の生地で、吸水性や吸湿性が高いことから、タオルやシーツといった汗や水分の吸収が求められる商品に多く活用されています。また適度に保温性があり、ストレッチ性や柔軟性に優れた素材のため、ベビー用品に利用されることも多い生地です。その一方で、ワッフルは強い生地ではなく、洗濯によって縮んだり変形したりしやすいというデメリットがあります。

ワッフルはピケのように表面に凹凸がある生地ですが、ピケはきつく張ってできる盛り上がりが模様になるのに対し、ワッフルは経糸と緯糸を浮かすことで模様を作っている点で異なります。

ピケで作った作品のお手入れ方法

ピケで作った作品のお手入れ方法は、手洗いが理想です。ピケ素材は表面に畝状の凹凸があることが大きな特徴ですが、この凹凸は摩擦にあまり強くありません。ピケの生地は畝の部分が擦れることで毛羽立ったり潰れたりしやすいため、丁寧にお手入れをしなければピケ独特の生地感が損なわれてしまいます。洗濯機を利用する場合は、畳んで適切な大きさの洗濯ネットに入れて洗ってください。洗剤は素材に優しい中性洗剤を利用しましょう。

コーデュロイや鹿の子、ワッフルなども、ピケと同じく立体的な模様を持つ生地のため、摩擦や刺激に強くありません。そのためピケと同様に手洗いや洗濯ネットを使って洗うのがおすすめです。「水洗い不可」や「ドライマーク」の表示がある生地は自宅での洗濯ができないため、クリーニングを利用してください。生地が毛羽立ったり毛玉になったりしないよう、大切にお手入れしましょう。

まとめ

ピケは畝に似た立体的な模様のある生地です。丈夫で通気性に優れたピケ素材は、シャツやパンツ、夏用の帽子など身近な多くの商品に利用されています。

ピケに似た素材としてコーデュロイや鹿の子、ワッフルなどが挙げられます。それらに共通しているのは、生地表面に立体的な模様が生じることです。また摩擦に弱いという共通点もあるため、ピケやピケに似た素材を使った作品は、洗濯の際は手洗いをするなどして生地に負担をかけないお手入れ方法を選んでください。

手芸に関する商品はオンラインで手軽に購入できる時代です。ピケ素材で作品を作る際には、ぜひネットで道具や生地を探してみましょう。特にホビー材料の大型専門店「ユザワヤ」は、販売している商品が多岐にわたるためおすすめです。

参考:ユザワヤ