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公開日: 2021.08.20
最終更新日: 2021.08.20

ハンドメイド作家は確定申告が必要?副業・専業主婦はどうする?

ハンドメイド作家は確定申告が必要?副業・専業主婦はどうする?

近年では、自分で作成したハンドメイド作品をフリマアプリ・サイトなどでネット販売して、収入を得ているハンドメイド作家も多くいます。

ハンドメイド作家として、毎月収入をしっかり得ているのであれば、「確定申告」についても考えておかなければなりません。確定申告は個人事業主やフリーランスの方が行うものだと感じがちですが、一定額の利益を生み出しているのであればハンドメイド作家でも必須です。

もしも、一定額の収入を得ているにもかかわらず確定申告をしないままだと、税務署からのチェックが入り、脱税行為とみなされる可能性があります。

今回は、確定申告の概要やペナルティから、ハンドメイド販売で確定申告が必要なケース、確定申告の方法まで詳しく解説します。ハンドメイド作家として収入を少しでも得ようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

確定申告とは?ハンドメイドの販売も関係する?

そもそも確定申告とは、1月1日~12月31日までの「経費を差し引いた年間所得」を合算し、国に納めるべき税金額を計算・報告する手続きのことです。原則として1年に一度、毎年2月16日~3月15日までの1ヶ月間に行う必要があります。

ハンドメイド作品の販売で得た収入金額は、「所得金額」とみなされます。そのため、ハンドメイド販売で収入を得るのであれば、確定申告についての知識をきちんと得ておかなければなりません。

確定申告が必要であるにもかかわらず申告せずにいると、ペナルティを受ける可能性があるため注意が必要です。次に、確定申告を行わなかったことによるペナルティについて紹介します。

確定申告しなかった場合のペナルティ

確定申告をしなかった場合は、下記のようなペナルティを課せられます。

  • 納めるべき税額に対して15%、もしくは20%の「無申告加算税」が発生する
  • 納めるべき税額に対して35%、もしくは40%の「重加算税」が発生する
  • 最大14.6%の「延滞税」が発生する
  • 青色申告特別控除の控除額が「10万円」となる
  • 2年連続期限内に申告しなかった場合、青色申告の承認が取り消される

このように、期限内の申告を忘れてしまっただけでも金銭的に大きな負担がかかってしまうだけでなく、翌年度以降の確定申告に何らかの影響を及ぼす可能性もあります。ペナルティを受けないよう、確定申告についてきちんと知識を得ておきましょう。

確定申告の所得=「収入から経費を差し引いた金額」

ハンドメイド販売で得た収入は所得と前述しましたが、厳密には「収入=所得」というわけではありません。確定申告における所得とは、「収入-経費」の計算式で算出された金額のことです。

例えば、ハンドメイド作家で言うと「収入」は単純な1ヶ月の売上です。しかし、その売上額がすべて作家の手元に入るわけではありません。材料費や梱包資材費、送料、機器代など必要な支出があるためです。つまり「経費」とは、事業を運営するうえで必ず発生する費用を指します。

確定申告において、年間所得から算出される所得税額は「収入-経費」、いわゆる「控除された所得」に対してのみとなっています。生命保険料や配偶者の扶養控除など控除の種類もさまざまとなっていますが、どのような方も無条件で一律適用される控除が「基礎控除」です。確定申告では、基礎控除によって総所得額から48万円を差し引くこともできます。

そのため確定申告を行う際は、売上額のすべてを所得とするのではなく、「収入-経費=所得」という計算式と、所得控除のルールに則って行うようにしましょう。

ハンドメイドの販売で確定申告が必要となるケース

ハンドメイド作家として作品を販売するのであれば、確定申告について知識を得ておくべきと前述しましたが、ハンドメイド作品を販売する誰もが確定申告が必要となるわけではありません。なぜなら確定申告は、所得額によって要・不要が変わるためです。

ハンドメイド作家における、確定申告が必要なケースは下記の通りとなっています。

  • 本業のハンドメイド作家であり、所得が48万円を超えている
  • 副業もしくは専業主婦であり、ハンドメイド販売での所得が20万円を超えている

なお、本業のハンドメイド作家・副業もしくは専業主婦のハンドメイド作家がそれぞれ上記に当てはまらない場合、確定申告は不要です。

ここからは、それぞれのケースについてより詳しく解説します。

【本業のハンドメイド作家】所得が48万円を超える

本業としてハンドメイド作品を販売するハンドメイド作家の場合、年間所得が48万円を超えると確定申告が必要となります。反対に、48万円を超えない場合は確定申告の必要がありません。48万円を超えなければ、基礎控除として48万円を差し引くことで所得を0円にできるためです。

また、旦那の扶養に入っているハンドメイド作家の場合、所得が48万円を超えると配偶者控除の対象から外れてしまいます。そのため、扶養内に収めるべく48万円の所得を超える前に販売をストップして対策する方もいます。

【副業・専業主婦】所得が20万円を超える

会社勤めをしながら副業として、もしくは専業主婦の傍らでハンドメイド作品を販売する場合、所得が20万円を超えると確定申告が必要となります。反対に、20万円を超えない場合は確定申告の必要がありません。このルールは、「20万円ルール」とも呼ばれています。

給与所得者である会社員・パートの場合は特に、確定申告の必要性を感じない方が多くいるため、注意が必要です。1年間、毎月2万円の所得があるだけでも確定申告が必要となるため、「副業として・お小遣い稼ぎに」とハンドメイド作品を販売する方は、常に所得を計算しておきましょう。

ハンドメイドで得た所得を確定申告する方法

ハンドメイド販売で一定額の所得を得た場合は、確定申告を行う必要があります。しかし、確定申告をしたことがない方は、どのようにして確定申告すれば良いかわからない方も多くいるでしょう。

確定申告の方法と基本的な流れは、下記の通りです。

確定申告の方法・流れ
STEP1確定申告に必要な書類を準備する
STEP2確定申告書を作成する
STEP3住所地の所轄税務署に提出する

【STEP1:確定申告に必要な書類を準備する】

確定申告を行う前に、まずは申告内容に応じた必要な書類をすべて準備しましょう。確定申告に必要となる主な書類は、下記の通りです。

  • 確定申告書(A様式もしくはB様式)
  • 収支内訳書(白色申告の場合)
  • 青色申告決算書(青色申告の場合)
  • 源泉徴収票
  • 各控除証明書

確定申告書の入手方法には、税務署に取りに行くか、国税庁の公式ホームページからダウンロードするかの2通りがあります。

また、申告書・収支内訳書・青色申告決算書の作成には、はんこや口座情報、帳簿、領収書なども必要となります。なくさないよう、一つのファイルにまとめておくなどして事前に準備しておきましょう。

【STEP2:確定申告書を作成する】

必要な書類をすべて準備できたら、確定申告書を作成しましょう。A様式・B様式の確定申告書で書き方がそれぞれ異なるため、注意してください。

確定申告書の作成方法には主に、電卓やクラウド会計ソフトを使った手書きでの作成・確定申告ソフトでの作成・確定申告書作成コーナーでの作成・税理士に依頼しての作成の4通りがあります。普段からきちんと帳簿を付けているのであれば、確定申告ソフトでの作成が最も手っ取り早くおすすめです。

【STEP3:住所地の所轄税務署に提出する】

確定申告書の作成が終わったら、住所地の所轄税務署に必要書類をまとめて持参し、提出しましょう。提出方法には、税務署に直接提出する方法・税務署に郵送する方法・e-Taxを利用して提出する方法の3つがあります。e-Taxを利用すればオンライン上で確定申告を完結させることができるためおすすめですが、マイナンバーカードが必須となることに注意してください。

ここまでで、確定申告は終了です。しかし厳密には、この後期間内に定められた税金を納めなければ、確定申告の手続きは終了しません。所得税と消費税の納付期限日が異なることに注意したうえで、必ず期限内に納めるべき税金を納付しましょう。

ハンドメイド作家は青色申告がお得?

ハンドメイド作家として安定した収入を継続して得ている場合、青色申告で確定申告を行うことで、節税効果が生まれる可能性があります。確定申告には白色申告と青色申告の2つがあり、青色申告とは主に「個人事業主」が行える申告方法です。

青色申告は、節税面においてメリットが豊富にあります。最大のメリットは、最大65万円の青色申告特別控除が受けられる点です。また、家族(配偶者・親族)へ支払った給与も必要経費として控除することもできます。

しかし、青色申告で確定申告を行うためには、開業届を提出し事業主とならなければなりません。開業届を提出していない場合は、自動的に白色申告となります。白色申告の場合、青色申告のような節税面におけるメリットを享受することができません。

本業でハンドメイド作家として活躍している方の場合、開業届をして青色申告を行うことで、日常でかかっている生活費も経費にできる可能性が高まります。例えば、ハンドメイド作品づくりで使用する住宅の家賃や水道光熱費の一部などです。白色申告と青色申告とで、納付すべき税金が数十万も変わるケースもあるため、大きく利益を出しているハンドメイド作家の場合は、すぐに開業届を提出して今年度から青色申告を行うことをおすすめします。

まとめ

ハンドメイド作家は、人によって年間の利益が大きく異なります。そのため、確定申告の対象ではない方も多くいるでしょう。しかし、本業のハンドメイド作家の場合は48万円の所得、副業・専業主婦の場合は20万円の所得を超えると確定申告が必要です。「知らずのうちに、確定申告が必要な対象に入っていた」ということも十分考えられます。

確定申告をしなかった・期限内に手続きを忘れていたという場合は無申告とみなされ、さまざまなペナルティを課せられます。ハンドメイド作家として収入を少しでも得るのであれば、必ず確定申告が必要となるラインをあらかじめ把握しておきましょう。

また、大きな利益を出しているハンドメイド作家の場合、開業届を提出して青色申告で確定申告をした方が節税効果があります。ここまでの内容を参考に、ぜひスムーズに確定申告をすすめてください。