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公開日: 2022.06.21
最終更新日: 2022.06.23

ブロード生地の特徴とは?どんな織り方?他生地との比較も

ブロード生地の特徴とは?どんな織り方?他生地との比較も

ブロードは1本ずつの糸を交差させて作る、代表的な平織りの生地です。定番の綿素材の他、絹やポリエステルなどさまざまな素材で織られ、衣類にもよく使用されています。肌触りのよさと丈夫さを兼ね備えた扱いやすい生地のため、ハンドメイドでも定番の素材です。

当記事ではブロードの織り方や、生地の特徴と性質、よく使用されるアイテムなどについて紹介します。ブロードとその他の生地を比較した解説もするため、ブロードの魅力を知るきっかけになれば幸いです。

ブロードとは?

ブロードとは、同じ太さのタテ糸とヨコ糸を1本ずつ交差させて織る、平織り生地の1つです。発祥は1500年頃のイングランドで、元々は羊毛(ウール)による、しっかりとした質感の毛織物でした。現在では綿で作られた「綿ブロード」が一般的で、他にも絹やポリエステルなど、あらゆる素材が使われています。糸の太さも20〜120番手など幅広いため、生地の厚さも薄手のものから厚手のものまでさまざまです。

ブロードは、発祥の地であるイギリスやフランスでは、「ポプリン」と呼ばれています。一方、日本では糸の太さによって、ブロードかポプリンかを区別するケースが多いです。40番手以下の太い単糸で織られる生地はポプリン、60番手以上の細い双糸で高密度に織られた生地は、ブロードに分類される傾向があります。

ブロードはどんなアイテムに使用されている?

ブロードは扱いやすい生地のため、身の回りのさまざまなアイテムに用いられています。中でも定番なのは、綿素材を使って織られたコットンブロードによるシャツやブラウスです。ビジネスシーンや冠婚葬祭で使う無地のYシャツ(ドレスシャツ)から、色柄の入ったカジュアルなシャツまで、豊富なデザインのアイテムがあります。

シャツの他にも、ハリ感のあるギャザースカートや、シンプルなワンピースにぴったりです。小物ならハンカチやマスクの他、エコバッグや巾着といった薄手の袋小物などに使われます。

綿ブロード以外の生地も、それぞれの特徴を生かして、あらゆるアイテムが作られています。例えば、ポリエステルと綿を混紡した「T/Cブロード」は、丈夫でシワができにくく、乾くのが早いため、エプロンや制服にぴったりです。麻からできた「リネンブロード」や絹からできた「シルクブロード」は、その手触りのよさから、パジャマや布団のシーツ、ベッドカバーなどによく使われています。

ブロードの主な特徴・性質

ブロードはシンプルな平織りで主な素材は綿ですが、麻や絹、ポリエステルなどの素材も、それぞれの用途に合ったアイテムに使用されています。

ここではブロード生地全般が持つ主な特徴・性質を、肌触りのよさと耐久性の高さ、見た目の高級感という3つのポイントでまとめました。

ブロードの主な特徴・性質

・肌触りがいい

ブロード生地は柔らかい質感と、滑らかな肌触りが魅力です。細い糸であればあるほど柔らかく、反対に太い糸であればコシが出ます。表面にはしっかりとしたハリもあるため、布地のすべりのよさも特徴の1つです。

・耐久性が高い

ブロード生地は、密度が高く丈夫です。正しく手入れをすれば糸がほつれたり、生地がへたったりせず、きれいな状態を保てます。熱にも強いため、基本的には乾燥機やアイロンの使用が可能です。ただし、生地によっては使用できない場合もあるため、品質表示を必ずチェックしましょう。

・高級感がある

ブロードは目が細かく詰まっていて、織り目が目立ちません。また、ブロードの持つ適度なツヤからは、上質な印象を受けます。中でも細い番手の糸で高密度に織られた生地は、綿素材でもシルクのように上品な光沢が出て、エレガントな雰囲気すら感じさせるでしょう。

ブロード生地は、薄手ながらハリがあるため扱いやすく、ソーイングにもぴったりです。ハンドメイド初心者が家庭用ミシンで裁縫をする際にもおすすめできます。

洗濯時の注意点は?

ブロード生地やブロード素材の衣類の注意点として、シワになりやすいという性質があります。特にコットンブロードは、洗濯や乾燥でシワがつきやすく、シャツやブラウスといったきちんとしたアイテムの場合、目立ちやすいという難点があります。

シワになってしまった衣類には、アイロンがけが欠かせません。綿素材の場合には、スチームや霧吹きを使って、高温でしっかりとアイロンをかけます。綿素材に限らず、畳みジワがつきやすいため、保管するときにはハンガーにかけて仕舞いましょう。

ブロードとその他の生地・素材の比較

ブロードはビジネスシーンに欠かせない、Yシャツの定番の生地です。上品でハリのある見た目と、柔らかい着心地のよさを兼ね備えているため、日常遣いのしやすさに定評があります。

ブロード以外にも、シャツに適した生地は複数あります。例えばツイルやオックス、ローンなどはその代表格です。ブロードとそれ以外の生地を比較することで、それぞれの生地の特徴ついて、より深い理解が得られます。

そこで今回はシーチング、ツイル、オックス、タイプライター、ローンという5種類の生地とブロードを比較しました。

シーチング

シーチングはブロードと同じ平織りの生地です。基本的にブロードよりも太い番手の糸で織られるため、密度が粗く、その分通気性に優れています。ミシンを使った仕立てがしやすく、薄手のシーツやカバーなどの寝具を作るのにぴったりです。

ブロードと比べると表面に多少ザラつきがあるため、洋服など直接肌に触れるものよりも、ポーチや布バッグなどの小物を作るのに向いています。

ツイル

ツイルは綾織りの総称です。綿を使ったコットンツイルや、麻を使ったリネンツイル、インディゴ糸を使ったデニム生地などがあります。

ブロードとは異なり、生地自体に伸縮性があり、シワができにくいという特徴があります。織る際の生地密度によって生地の厚さが変わりますが、厚くても柔らかさは保たれるため、厚手のジャケットやパンツにぴったりです。

一方でデニムパンツの膝が擦り切れやすいことからも分かるように、ブロードよりも摩擦に弱いという性質があります。

オックス

オックスはタテ糸、ヨコ糸ともに2本かそれ以上並べて織る、平織りの生地です。その名の通り、元はオックスフォード大学の学生向けに作られました。日本では斜子織りとも呼ばれます。

定番のアイテムは、ボタンダウンシャツです。ブロードと同じYシャツにも向いています。ブロードよりも厚みがあるわりに通気性があり、シワになりにくいのが魅力です。夏にはリネンやレーヨンの入った生地の服を選ぶと、涼しく快適な着用感が得られます。

タイプライター

タイプライターは細長い繊維の綿糸を、高密度に平織りにした生地です。ブロードと同じ平織りですが、ブロードよりも細い糸で織られているため、薄くて軽い生地になります。

強いハリとコシ、光沢のある素材感に加えて、紙のような立体的なシワ感が特徴です。フォーマルよりも、カジュアルやナチュラルな雰囲気のスタイルにマッチします。シャツの他、ジャケットやコートなどのアウターを作るのにもおすすめです。

ローン

ローンはブロードよりも細い番手の糸を使った、シンプルな平織りの生地です。糸が細いため、他の平織り生地よりも薄くて軽く、色によっては透け感のある仕上がりになります。元々はリネン素材が主流でしたが、現在は綿を使ったコットンローンが定番です。

ほどよいハリとコシがあるため、ブロードと同じシャツやブラウス、ワンピースやチュニックを作るのにおすすめできます。特に春や夏の季節の洋服にはぴったりの生地です。

まとめ

ブロードは平織り生地の一種です。柔らかい肌触りと耐久性から、毎日身に付けるYシャツやブラウスなどによく用いられます。生地特有のツヤと光沢感には、上品な雰囲気があり、フォーマルなシーンのアイテムにもおすすめです。

適度なハリがあって扱いやすく、ソーイングにも向いています。一方でシワがつきやすいという性質があるため、素材に応じたお手入れが欠かせません。

ブロードと似たような生地として、シーチングやツイル、オックス、タイプライター、ローンなどの生地があります。それぞれブロードとは異なる個性があるため、ハンドメイドをする際の参考にしてみてください。