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公開日: 2022.07.26
最終更新日: 2022.07.26

ナイロン生地の特徴・性質|ポリエステルとの違いも解説

ナイロン生地の特徴・性質|ポリエステルとの違いも解説

ナイロンは、衣料品をはじめさまざまな製品に使われている素材です。しかし、ナイロン生地とはどのようなものが、どのような製品に使われているのか、具体的には知らない人も多いのではないでしょうか。

この記事では、ナイロン生地の特徴や使用されているアイテム、ナイロンと似た生地であるポリエステルとの違いについて解説します。また、ナイロン生地を洗濯する際の注意点や干し方なども紹介するため、ナイロン生地を扱う人、これから扱いたいと考えている人はぜひ参考にしてください。

ナイロン生地・ナイロン素材とは?

ナイロン生地とは、絹(シルク)に似た性質を持つ化学合成繊維でできた生地のことです。ナイロンは、「ポリアミド」と呼ばれる石油を原料とした合成樹脂から作られており、他の合成繊維と比べて摩擦や引っ張りに強く、丈夫で軽いという特徴があります。水に濡れても乾くのが早く、型崩れしないため、自宅で気軽に洗濯できる点が大きなメリットです。

ナイロンは、1930年代にアメリカのデュポン社のウォーレス・カロザースという科学者の指揮の下、世界で初めて開発された人工の繊維です。当時は石炭・水・空気から作られており、絹よりも丈夫で安く作れるナイロンは世界中で話題を集め、現在でもさまざまな製品に幅広く使われています。

また、女性用のストッキングとして商用化されたことが始まりのため、「伝線(run)しない繊維」を意図した「no run(ノーラン)」が名前の由来と言われています。

繊維の種類

ナイロンとは合成繊維の一種であり、合成繊維は科学的に作られた繊維のことです。繊維には他にもさまざまな種類があり、それぞれ異なるメリットやデメリットを持っています。

ここからは、繊維の種類や特徴について紹介します。

■天然繊維

植物繊維
繊維名メリットデメリット
綿吸湿性や通気性がよく、熱に強いしわや縮みが発生しやすい
吸湿性や通気性がよく、清涼感があるしわや毛羽立ちが発生しやすい
動物繊維
繊維名メリットデメリット
シルク
(絹)
発色が鮮やかで、光沢がある日光で劣化しやすく、汗や摩擦にも弱い
ウール
(羊毛)
吸湿性と保温性に優れている縮みやすく、虫害を受けやすい

■化学繊維

再生繊維
繊維名メリットデメリット
レーヨン光沢があり、吸湿性と染色性に優れている。安価で手に入りやすいしわが発生しやすく、水に濡れると強度が低下する
ポリノジックレーヨンのデメリットを改善した繊維で、水への耐性があるしわになりやすい
キュプラ吸湿性がよく、静電気が起こりにくい水に弱く、しわになりやすい
半合成繊維
繊維名メリットデメリット
アセテートしわになりにくく、光沢がある吸湿性が低く、摩擦やアイロンの熱に弱い
トリアセテートアセテートよりも光沢が優れている吸湿性が低く、しわになりやすい
プロミックス絹に似た光沢がある熱や日光に弱い
合成繊維
繊維名メリットデメリット
ナイロン丈夫で軽く、しわになりにくい熱や日光に弱く、色によっては経年による変色が目立つ
アクリル羊毛に近い見た目で、カビや虫害に強い毛玉ができやすく、熱や日光に弱い
ポリエステル非常に丈夫でしわになりにくく、洗濯にも強いため多くの衣料品で使われている吸水性・吸湿性が低く染色し辛い
ポリウレタンストレッチ性に優れており、強度も高い摩擦に弱く、比較的早く劣化する

ナイロン生地はどんなアイテムに使用されている?

ナイロン生地は耐久性が高いことから、摩擦などの負担がかかりやすいスポーツ用品やアウトドア用品などによく使用されています。また軽さも兼ね備えた生地のため、スポーツウェアやトラベルバッグなどにも多く使われています。その他、アウターやランジェリーなどのインナー、雨具、女性用ストッキングなどのファッション小物といった衣料品全般に使われており、活躍の場が広い生地です。また、ナイロン糸は衣料品だけではなく、楽器の弦や釣り糸にも使われています。

ナイロン製の布は軽くて丈夫なため、ハンドメイドにおいては、トートバッグやエコバッグ、ナップサックなどを仕立てるのに向いています。撥水加工が施されたナイロン生地であれば、レインポンチョなどの雨具を仕立てるのもおすすめです。また、ナイロンは水や油などの汚れにも強いため、子供のお食事エプロンづくりにも向いています。

ナイロン生地の主な特徴

手芸などで布を使う時は、扱う布や繊維の特徴を知っておくことが大切です。布の特徴を知ることで、布の強みを生かした作品を作ることができます。ここからは、ナイロン生地の主な特徴や性質を紹介します。

ナイロン生地の主な特徴・性質

  • 摩擦に強く丈夫である
  • 発色がいい
  • 軽量である
  • 速乾性があり簡単に洗濯できる
  • 弾力性がありしわが発生しにくい
  • 型崩れしにくい
  • 天然素材の生地に比べて安価である
  • カビや虫害を受けにくい
  • 熱に弱いためアイロンや乾燥機の使用は不向きである
  • 吸湿性が低く蒸れやすい
  • 静電気が発生しやすい
  • 経年劣化で黄ばみやすい

このように多くのメリットがあり、安価で手に入るため、ナイロン生地は多くの衣料品などで使用されています。ただし、特に白色のナイロン生地は、紫外線や時間の経過とともに黄変しやすいです。ナイロン製品を長持ちさせるためにも、洗濯した際は風通しのいい場所に陰干しするといいでしょう。

ナイロンとポリエステルの違い

ナイロンと同じくさまざまな衣料品に使われている合成繊維に、ポリエステルがあります。ポリエステル素材も、スポーツウェアやアウター、バッグなど、ナイロンに近い用途で使われることが多いです。では、ナイロンとポリエステルにはどういった違いがあるのでしょうか。

ポリエステルもナイロンのように、軽くて丈夫という特徴があります。また、しわになりにくく速乾性に優れているため、洗濯にも強いです。さらにポリエステルには、日光や熱に強いという特徴もあります。ナイロンは熱や日光に弱いため、手入れや保管の面ではナイロンよりもポリエステルのほうが優れていると言えるでしょう。

ただし、柔軟性や生地の強度、染色のしやすさやカラーバリエーションの豊富さなどは、ポリエステルよりもナイロンに軍配が上がります。その分、ポリエステルのほうがナイロンよりも安価で手に入りやすいです。

ナイロン生地を洗濯する際の注意点は?

ナイロンは速乾性が高く型崩れしにくい素材のため、自宅で洗濯しやすいです。しかし、手入れの方法を誤ると、ナイロン生地が傷む原因になるため注意しましょう。ここからは、ナイロン生地を洗濯する際の注意点をいくつか紹介します。

・洗濯表示を確認する

ナイロン100%の生地の場合は、洗濯の際に特別な注意は必要ありません。しかし、ナイロン繊維以外の繊維が混ざっている混紡生地の製品や、防水加工が施された製品などは、洗濯機で洗えない場合もあります。洗濯前に必ずタグの洗濯表示を確認し、記載事項に従って手入れをしましょう。

・お湯を使わない

ナイロンは熱に弱い素材です。洗濯の際には、お湯は使わないようにしましょう。ナイロン生地にひどいにおいや汚れがついてしまい、温度が低い水での洗濯に限界がある場合は、ドライクリーニングに出すのがおすすめです。

・洗濯ネットに入れる

ナイロン生地は洗濯ネットに入れて洗いましょう。きちんと畳んで洗濯ネットに入れることで、しわが発生しにくくなります。

・脱水時間は短めにする

ナイロンはしわが発生しにくい素材ですが、強く脱水しすぎるとしわになる可能性があります。またナイロンは熱に弱いため、しわになってしまうとアイロンがけなどの手入れが大変になります。しわの発生を避けるために、脱水機能を使う際には生地に少し水分が残る程度に留めましょう。

・乾燥器は使わない

ナイロンは熱に弱い素材のため、乾燥器を使った乾燥方法には適していません。ナイロンは速乾性がある素材のため、自然乾燥でも十分に乾きます。直射日光による変色を避けるために、風通しのいい日陰に干すのがおすすめです。

まとめ

ナイロンは、丈夫で軽く、摩擦に強い性質を持つ合成繊維です。この特徴を生かして、スポーツウェアやアウトドア用品をはじめ、インナーや雨具などさまざまな製品に使用されています。トートバッグやナップサックなどを作るのにも適している生地です。

また、ナイロンは速乾性も高いため、自宅で洗濯などの手入れをしやすいというメリットもあります。ただし、熱に弱い素材のため、お湯や乾燥器などの使用は避けるのがベストです。ナイロン生地に適した手入れ方法を実践して、ナイロン生地を長持ちさせましょう。